『アリータ:バトル・エンジェル』のクリストフ・ヴァルツ来日インタビュー「すべては脚本の中にあるんだ」

撮影:筆者

 クエンティン・タランティーノ監督の2作品、冷酷非情なナチス軍人を演じた『イングロリアス・バスターズ』と、人間味あふれるドイツ人賞金稼ぎに扮した西部劇『ジャンゴ 繋がれざる者』で2度のアカデミー助演男優賞に輝いたクリストフ・ヴァルツ。日本のマンガを原作に、ジェームズ・キャメロンが製作・脚本、ロバート・ロドリゲスが監督したSFアクション大作『アリータ:バトル・エンジェル』(2月22日公開)のキャンペーンのために来日しました。彼が演じるのはヒロインのサイボーグ少女アリータをクズ鉄の山から拾い上げ、修理して愛情を注ぐサイバー医師イド。数々の印象的な役を演じてきた名優は、穏やかで自然体を崩さない紳士でした。

 今回の『アリータ:バトル・エンジェル』は全編特殊効果だらけの映画ですが、演じる上で通常の劇映画と違った点はありましたか?

「より簡単、というわけにはいかないが、さほど困難は感じなかった。CGキャラとの戦闘シーンも、ちゃんと目の前に相手がいる状態で撮影したからね。セットも構築されていて、グリーンバックの前でただ一人、ということはなかった」

 セットの規模はどのぐらいだったのですか?

「二階建ての建物ぐらいのものは建てられていて、そこから上はコンピューターで加工されて巨大な都市に見えるようになっている。無限の背景を作り出しているんだね。しかし、目の前には俳優がいて、小道具や衣装もしっかり用意されていたから、リアルな芝居ができたんだ」

 こういうファンタジー系の作品と、現実的な作品とでは、役に対するアプローチに違いはありますか?

「作品によっての違いはあるけれど、ジャンルに対する差はない。どんな映画でも私が出ている場面はリアルな部分だし、ローサ(アリータ役のローサ・サラザール)がいて、ジェニファー(イドの元妻チレン役のジェニファー・コネリー)がいて、そこで演技をする、という点においては同じだよ」

 脚本を書いたジェームズ・キャメロンは、あなたが演じたドクター・イドとアリータの疑似親子の関係を、自分と娘を投影して書いたそうですが、それに関して彼とお話などはされたのですか?

「実は、そのことは演じた後で知ったんだ(笑)。ただ、彼が込めた想いは、脚本の中にすべて書かれていた。イドがアリータに向ける感情を明確に感じ取れたから、演技に迷いはなかった」

クリストフ・ヴァルツが演じるドクター・イド
クリストフ・ヴァルツが演じるドクター・イド

 役作りの際にリサーチはされるのですか?

「一番は脚本をしっかり読み込むことだね。そこにはすべてがあるから。そうして、自分のイマジネーションに栄養を与え続けて、いつでも完全に満たされた状態を保つように努力している。さながら大きな動物にエサをあげるようなものかな。足りないと大変なことになるからね(笑)」

 よく俳優が「なかなか役が抜けなくて…」と言ったりしますが、ご自身ではいかがですか?

「そんなの神話みたいなものだと思っているよ。あるいは自己宣伝かな(笑)。演じるということは全速力で200メートルを走り抜けるようなもので、ずっと続けていたら呼吸困難になるし、健康にも悪いだろう?」

 今回の監督のロバート・ロドリゲスとクエンティン・タランティーノとの演出法の違いは何でしょう?

「ロバートは低予算の映画で鍛えられてきたから、とても撮るのが速い。それにカメラも編集も音楽も、何でも自分でやろうとする傾向がある。クエンティンの場合は作品の全体像を把握した上で、他の人にそれぞれの部分を託しているんだ。ただ、今回の『アリータ:バトル・エンジェル』は今までにロバートが経験したことのない規模の大作なので、スタッフの数も比べものにならない。だから今回は有能なスタッフを信頼して演出に専念していた。彼の思考は柔軟なので、うまく回していたと思うよ」

 ヴァルツさんは、様々な個性的キャラクターを演じてきましたが、お好きなキャラ、あるいは演じていて楽しかったキャラはありますか?

「そうした特別なものはないんだ。演じていた時に間違ったことを思い出してしまうからね。いつも、『今、あのキャラクターを演じたら、いったいどうなるだろう?』と考えてしまう。たぶん、まったく違った演技をすることになるだろうね」

(『アリータ:バトル・エンジェル』は2月22日から公開)

配給:20世紀フォックス映画

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