これがスタローン最後のロッキー!? 40年を超える彼の物語は『クリード 炎の宿敵』で完結する!

ロッキー(シルヴェスター・スタローン)とアドニス(マイケル・B・ジョーダン)

 2015年の『クリード チャンプを継ぐ男』の続編ですが、それだけではありません。なんと1985年の『ロッキー4/炎の友情』の続編でもあるのですから。

 その『ロッキー4』で、ロッキー(シルヴェスター・スタローン)のライバルで親友でもあった、アドニス(マイケル・B・ジョーダン)の父アポロ・クリード(カール・ウェザース)は、ソ連(当時)のボクサー、イワン・ドラゴ(ドルフ・ラングレン)とリングで戦い、この世を去ってしまいます。ロッキーは親友の無念を晴らすためにドラゴとの決戦のリングに上がり、辛くも勝利を収めました。

 歳月は流れ、『クリード』で成長したアドニスのトレーナーとなったロッキーは彼を鍛えていくのですが、その間、ドラゴはどうなっていたのか? ロッキーに敗れたことで名誉も特権もすべてを失った彼は妻にも去られ、息子のヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)と二人暮し。ソ連崩壊後のウクライナで、息子に過酷なトレーニングを課し、地下の賭けボクシングのリングに立たせていました。アドニスがついにチャンピオンの栄光を手にした頃、あるプロモーターがドラゴ親子に目を付け、ヴィクターをアドニスに挑戦させようと目論みます。ロッキーはこの対戦に猛反対しますが、アドニスは父親を殺した男の息子を倒したいという欲求を止めることができません…。宿命の戦いは、ついに息子同士の世代に移っていくのです。

ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と息子のヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)
ドラゴ(ドルフ・ラングレン)と息子のヴィクター(フロリアン・ムンテアヌ)

 もともと『クリード』は『ロッキー』シリーズのファンだったライアン・クーグラー監督(この時点では『フルートベール駅で』で注目の若手でした。後に『ブラックパンサー』を大ヒットさせます)が、すでに『ロッキー・ザ・ファイナル』(06)で完結していたシリーズの続きとしてスタローンに提案した企画が実ったものでした。そう、これは『ロッキー』サーガの中でスタローンが脚本に参加していない唯一の作品だったのです。その『クリード』でアカデミー助演男優賞候補になったことでスタローンの魂に火が付いたのか、今度はスタローンの主導(彼とジョエル・テイラーの共同脚本)で続編のシナリオが書かれることになりました(今作ではクーグラーは製作総指揮にクレジットされています。監督はクーグラーの推薦で起用されたスティーヴン・ケイプル・ジュニア)。

 そのため、本作『クリード 炎の宿敵』は、今までの『ロッキー』サーガの総決算的な内容になっています。アポロからアドニスへと続くクリード家、イワンからヴィクターへのドラゴ家、そしてロッキーのバルボア家、三つの家族のドラマがきっちりと描かれているのです。アドニスは恋人ビアンカ(テッサ・トンプソン)の妊娠を知り、父になる重責を感じながら宿命のリングに立つことになります。ヴィクターは、彼と父を捨てて政府高官の妻になった母のルドミラ(『ロッキー4』公開後にスタローンと結婚し、その後離婚したブリジット・ニールセンが同じ役で再登場)に対する複雑な感情を抱いています。そしてロッキーは不仲な息子ロバート(これも『ロッキー・ザ・ファイナル』と同じミロ・ヴィンティミリアが演じています)との関係修復にあと一歩が踏み出せないでいるのです。

 特にロッキーの家族の問題に関しては、スタローン自身が息子セイジ(『ロッキー5/最後のドラマ』ではロッキーの息子役で起用)を36歳の若さで亡くしていることもあり(薬物中毒にもなっていた)、その描写には力が入っています。親友の息子アドニスを鍛え、疑似親子的な関係を築いていくことで、ロッキーは彼自身の息子とどう向き合っていくのか。彼の出した答えは感動的です。

 もちろん、このシリーズですから、ファイト・シーンの迫力は言うまでもないこと。若いジョーダンとムンテアヌは専門のトレーナーのコーチを受け、すさまじい迫力のボクシングを見せてくれます。一度は絶望の淵に落ちたアドニスが、砂漠でロッキーの猛特訓を受けて体を鍛え上げていくシーンはお約束だとわかってはいても興奮を止めることができないし、試合のクライマックスにあのビル・コンティ作曲のテーマ曲が流れてくる瞬間の高揚感は、やはり『ロッキー』ならではの感動。

 スタローン自身も満足したのか、インタビューで「ロッキー・バルボアを演じるのは、これが最後」と発言しています。まあ、これ以上続けても“ロッキーの死”を描くしかなくなってしまうので、この幕の引き方が最良なのでしょう。1976年から40年以上も我々を興奮させてくれたヒーローの最後の雄姿を目に焼き付けたいと思うのです。

(付記)

 スタローンは現在、彼のもう一つの代表作である『ランボー』シリーズの新作『RAMBO5:LAST BLOOD』の撮影に入っています。このタイトルは1作目の『ランボー』(82)の原題が『FIRST BLOOD』だったのに呼応するもの。それにしても『ロッキー5/最後のドラマ』といい、『ランボー 最後の戦場』といい、邦題で「最後の」と付けると、最後にならずに続いてしまうのですね(笑)。

(『クリード 炎の宿敵』は1月11日から公開)

配給:ワーナー・ブラザース映画

(c)2018 METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC. AND WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

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