『ドラゴン・タトゥーの女』の続編登場!『蜘蛛の巣を払う女』で天才ハッカーは武闘派ヒロインに変身!

本作ではクレア・フォイがリスベット・サランデルを演じる

 デヴィッド・フィンチャー監督(『セブン』)が2011年に発表した『ドラゴン・タトゥーの女』の、スタッフ・キャストを一新しての続編。『ドラゴン~』はスウェーデン発のベストセラー・サスペンス『ミレニアム』シリーズ1作目のハリウッド版リメイクでした。ノオミ・ラパスがヒロインのリスベット・サランデルに扮し、三部作として映画化されたスウェーデン版は日本でも公開され、話題となりましたが、原作者のスティーグ・ラーソンは3作品を書き終えたところで急逝。そのあとを引き継いだダヴィッド・ラーゲルクランツの著書『蜘蛛の巣を払う女』を映画化したのが本作なのです。ハリウッド版では『ミレニアム』の2作目と3作目にあたる部分は描かれず、『ドラゴン~』に直結した物語になっています。前作のラストでリスベットとミカエルが別れてから3年後という設定。

 前作では雑誌「ミレニアム」のジャーナリストであるミカエルの調査を、凄腕のハッカーであるリスベットがサポートする形でストーリーが展開していましたが、本作はリスベット自身の物語。彼女の秘められた過去に焦点が当てられていきます。

 NSA(アメリカの国家安全保障局)のために世界中の防衛システムにアクセス可能なソフトウェア「ファイヤーウォール」を作った科学者が、それを取り戻したいとリスベットに依頼してきます。見事な手際でNSAのシステムに侵入し、ソフトを盗み出すことに成功したリスベット。しかし彼女の行動は監視されていて、謎の集団に襲撃され、ソフトを奪われてしまいます。ソフトは暗号化されていたため、科学者とその息子にも危機が迫り、リスベットは3年ぶりに再会したミカエルに協力を求め、謎の組織を追っていきます。やがて「スパイダース」と呼ばれる闇の組織が浮かび上がってきますが、それにはリスベットの父親と彼女の双子の妹カミラが深く関わっていたのでした…。

今作のキーパーソン、シルヴィア・フークス扮するカミラ(リスベットの妹)
今作のキーパーソン、シルヴィア・フークス扮するカミラ(リスベットの妹)

 ともかく「闘うヒロイン」としてのリスベットの存在感がすごい! 初登場シーンから大企業CEO のDV男にきついお仕置きをかまして、つかみはOK。彼女はどんなに痛めつけられても、すぐに立ち上がり、反撃していきます。肉体的には小柄で、戦闘能力はそれほど高くないのですが、何よりも不屈の闘志と一瞬の判断力が素晴らしい。ハッキングの能力は、もはや電子使いの超能力者レベル。漆黒のライダースーツに身を包みバイクで疾走する姿は惚れ惚れするほど格好いいのです。ノオミ・ラパス、ルーニー・マーラに続く3代目リスベットに選ばれたのはTVシリーズ「ザ・クラウン」のエリザベス女王役でゴールデングローブ賞に輝いたクレア・フォイ。セリフに頼ることなく、孤高の存在であるリスベットの魅力を表現しています。彼女は2月公開の『ファースト・マン』では本作とはまったく違ったキャラ(宇宙飛行士の妻)を好演していて、これからが注目される女優です。

 一方、前作でダニエル・クレイグが演じていたミカエルに扮するのはスウェーデンの男優スヴェリル・グドナソン。先日公開された『ボルグ/マッケンロー 氷の男と炎の男』でボルグの役を演じていた人です。リスベットの黒衣と対照的な真紅の衣装に身を包んで登場するカミラを演じるのは、『ブレードランナー2049』のレプリカント役が印象的だったシルヴィア・フークス。

 フィンチャーは本作では製作総指揮にまわり、監督に抜擢されたのはリメイク版『死霊のはらわた』や『ドント・ブリーズ』のフェデ・アルバレス。寒々としたストックホルムの風景を活かしたサスペンス描写に手腕を発揮。リスベットたちをこれでもかという絶体絶命の窮地に追い込んでいきますが、それゆえにこそ逆転劇の爽快感が増すのです。

(付記)

最初の3作を執筆したスティーグ・ラーソンは熱烈な人種差別反対主義者でもあることから、「ネオナチの脅威」が各作品に共通したテーマとして描かれていました。本作の原作を書いたラーゲルクランツは、ラーソンの作品に名前のみ登場していたリスベットの妹を重要人物として創造するなどうまく物語を引き継いでいますが、このテーマが薄れてしまったのはやや残念です。

(『蜘蛛の巣を払う女』は1月11日から公開)

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント