キアヌとウィノナの共演で描く、こじらせ男女の出会いから始まるロマコメ『おとなの恋は、まわり道』

 旅先で出会ったワケありの男女が、いきなり衝突しケンカしながらも次第に惹かれ合っていく。ラブコメ映画ではよくあるシチュエーションです。ですから、その中でどう個性を見せていくのかがスタッフの腕の見せどころ。さて、今回の『おとなの恋は、まわり道』の場合は…?

 それは最悪の出会い。リゾート地、サンルイスオビスポのワイナリーで開催される結婚式に出席するために空港に向かったリンジー(ウィノナ・ライダー)は、同じ飛行機を待っていたフランク(キアヌ・リーヴス)と隣合わせ、初対面同士の軽い挨拶の会話のつもりが口論に発展。しかも飛行機の中でも席が隣同士! やがてリンジーが新郎キースに捨てられた元カノで、フランクがキースとは絶縁中の異父兄弟ということが判明。二人ともキースからお互いの悪口を散々聞かされた者同士で、しかもいやいや式に出席するという共通点がありました。さらにリンジーはまだキースへの未練が捨てきれていません。

 パターン通り、迎えの車は一台だけで、ホテルの部屋も隣。部屋にあったサービスチケットを使ってフットマッサージに行けば、そこでもお隣さんになってしまいます。恋愛に興味のない偏屈男のフランクと、やたらとイライラして毒舌ばかりのリンジーは、互いの発言に激しくツッコミを入れていきますが、なぜかそのテンポはピッタリで、言葉のラリーはまるで長年のコンビのように息が合っています。やがて葡萄畑でのリゾートウェディングが始まると、二人はそっと式場を抜け出してしまうのですが…。

飛行機の中でもなぜか席は隣同士。
飛行機の中でもなぜか席は隣同士。

 この映画で監督・脚本を手がけたヴィクター・レヴィンが仕掛けたのは、登場人物が多数いるにもかかわらず、セリフがあるのがキアヌとウィノナの二人しかいない、という大胆な構成(テレビから流れてくる音声とかはあります)。最初に出演をオファーされたのはウィノナの方で、脚本を読んで快諾した彼女は、相手役に長年の友人であるキアヌを指名したのです。二人の共演は92年の『ドラキュラ』を皮切りに、『スキャナー・ダークリー』『50歳の恋愛白書』に続く4度目。気心が知れた二人ならではの言葉のキャッチボールが楽しめる映画なのです。多くの映画では寡黙なキャラが多いキアヌがこんなに饒舌で、しかも浮いていないのは珍しい。それもウィノナとのコンビで起きた化学反応なのでしょう。実際に二人は台本通りのセリフをしゃべるのではなく、彼ら自身の言葉として自由にアレンジして会話していたそうで、会話劇の魅力がたっぷりと味わえる作品になっています。軽快な音楽に乗せて展開する、肩の凝らないロマンティック・コメディです。

(『おとなの恋は、まわり道』は12月7日から公開)

配給:ショウゲート