戦場の湖底に眠る3億ドルの金塊を奪還せよ! 陸海空に激戦が展開する戦争アクション『ネイビーシールズ』

 どこかで聞いたようなタイトルで損をしている映画です。かつては90年にチャーリー・シーンらが出た『ネイビー・シールズ』があり、2012年には本物の海兵隊員を起用した『ネイビーシールズ』がありましたから。今回は差別化するためにサブタイトルが付いていますが、『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』と、なんだかビデオスルーのB級アクション映画みたいな雰囲気に。しかし、この作品、けっこうな拾い物なのです。

 製作と原案・脚本はリュック・ベッソン。この人、自分の監督作品は趣味に走ったものが多いのですが、こと製作に回ると『TAXi』『トランスポーター』『96時間』シリーズなど娯楽アクションを着実にヒットさせる敏腕プロデューサーぶりを見せるのです(非シリーズ作にも面白いものが多い)。今作でもイーストウッドの『戦略大作戦』あたりにヒントを得たような、戦争映画と宝探しサスペンスを合体させた快作に仕上げています。監督には『イントゥ・ザ・ストーム』のスティーヴン・クォーレを起用。

 プロローグで描かれるのは、戦時中の1944年の挿話。ナチスがヨーロッパの各国から奪った金塊をある村に隠匿したところ、レジスタンスがダムを爆破。ドイツ軍は水流に飲み込まれ、村全体も水没してしまいます。

 時は流れて1995年。サラエボ紛争末期。ここにリーダーのバーンズ(『300/帝国の進撃』のサリヴァン・ステイプルトン)以下5人のはみ出し者ネイビーシールズがいました。冒頭から、彼らの強引かつ大胆な活躍が描かれていきます。敵の本拠地に潜入して将軍を拉致するという隠密任務のはずが、敵に発見されて派手な銃撃戦を展開。戦車まで持ち出しての脱出作戦になってしまうのですから。この数分間でつかみは充分。彼ら5人の個性や腕前が観客に披露され、“やることは無茶苦茶だが、凄腕のエキスパートたち”という印象がしっかりと残るのです。

『セッション』のオスカー俳優J・K・シモンズが上官役で出演
『セッション』のオスカー俳優J・K・シモンズが上官役で出演

 もちろん、上官のレヴィン少将(オスカー俳優のJ・K・シモンズ)からは大目玉を食らうわけですが、そんなことでめげる5人ではありません。メンバーの一人、ベイカー(チャーリー・ビューリー)が恋仲になったウェイトレスのララ(『ブレードランナー2049』のシルヴィア・フークス)から聞いた、湖の底にナチスの金塊時価3億ドル分が眠っているという話に飛びつきます。

 しかし、5人には転属命令が出てしまったため、残された時間は8時間しかありません。その間に水深45mの湖底から重さ27トンにもなる金塊を引き上げることができるのか? しかも金塊が沈んでいる場所は敵陣の真っ只中。さらにこの情報は敵の知るところにもなってしまい…。

 次から次へと降りかかる難問をどうクリアしていくか、という部分はなかなかにサスペンスフル。冒頭の戦車チェイス以外にも、ヘリと戦闘機の空中戦に生身の体を使った肉弾戦、水中でのバトルもあって、陸海空と戦闘シーンのバリエーションも豊かで飽きさせません。CGに頼ることなく本物を追求したのも嬉しいところで、湖底に眠る水中都市はマルタ島に巨大なセットを建造。そこに実際に大量の水を流し込んで撮影が行なわれていますし、戦車や戦闘機も実機にこだわって作られています。このリアルな肌ざわりはCGでは出せない本物ならではの迫力なのです。

(『ネイビーシールズ ナチスの金塊を奪還せよ!』は1月12日から公開)

配給:アスミック・エース

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