ノオミ・ラパスが一卵性の7人姉妹を一人七役で演じた近未来SFサスペンス『セブン・シスターズ』

『ミレニアム/ドラゴン・タトゥーの女』(09)で国際的に知られるようになったスウェーデン女優ノオミ・ラパス。『シャーロック・ホームズ シャドウゲーム』(11)でヒロインを演じ、SF大作『プロメテウス』(12)では主演という存在になりながらも、『ラプチャー 破裂』(16)では顔面を蜘蛛が這いまわるというゲテモノっぽい役を演じるなど、チャレンジングな姿勢が見られる人です。そんな彼女がこの『セブン・シスターズ』で挑んだのは、なんと一人七役! 一卵性の7人姉妹をすべて彼女一人で演じ分けているのです。

 舞台は今からそう遠くない未来。世界規模の人口爆発と干ばつによる食糧難を解決するために、収穫量の多い遺伝子組み換え作物が開発されます。しかしその作物には副作用があり、多生児の出生率が急増してしまいました。このままではさらなる食糧危機の恐れが…。こうして欧州連合は一家族につき子供1人だけを認める「児童分配法」を施行。違法に生まれた2人目以降の子供は、地球資源が回復する時まで冷凍保存されることになりました。

 しかしそんな中、孫である七つ子の姉妹を守って、こっそりと家の中で育てている男・テレンス・セットマン(ウィレム・デフォー)がいました。彼は孫たちに月曜から日曜までのそれぞれの曜日の名前を付け、一週間に一日ずつ“カレン・セットマン”という共通の人格で外出させるという方法で世間や「児童分配局」の目を欺いてきたのです。もちろん帰宅した後はその日の出来事を語り、情報の共有は欠かせません(しかも、誰かがケガをして体に欠損が出た場合、残りの姉妹も同じ場所を傷付けなければならないという過酷な条件も…)。やがて時は流れ、カレンは銀行員としてエリート街道を歩んでいました。が、ある日“月曜”が出勤したきり戻ってこないという異常事態が発生したのです。彼女に何が起こったのか? 誰かが当局に密告したのか? やむなく翌日、“火曜”が調査を開始しますが、そこに待っていたのは…。

姉妹を育てた祖父役でオスカー俳優ウィレム・デフォーが出演
姉妹を育てた祖父役でオスカー俳優ウィレム・デフォーが出演

 厳格な一人っ子政策を強要する超管理社会に対して戦いを挑んだ姉妹を描くSFサスペンス・アクション。なんといっても最大の見どころは、それぞれに違った性格の7人姉妹を演じ分けたノオミ・ラパスです。顔は同じでもその内面はまったく違い、野心家だったり繊細だったり、反抗的、戦士タイプ、理系、まとめ役、ロマンチストとバラバラ。それぞれの個性を前面に出しつつ、かなりハードなアクションにも挑戦。いかにもノオミらしい攻めた役どころです。

ノオミはかなりハードなアクションにも挑戦
ノオミはかなりハードなアクションにも挑戦

 近未来の描写もかなりシビア。至る所に検問所が設けられ、個人データは完全に当局に把握されています。そんな中でいかにして中核である児童分配局に潜入し、事件の謎を突き止めることができるのか? やがて管理社会の恐るべき実態が明らかにされていくのです。児童分配局の長官であるニコレット・ケイマンを演じるのは6度のオスカー候補という実績を持つ大ベテランのグレン・クローズ。冷徹な悪役ながら、その主張には彼女なりの使命感があり、単なるステレオタイプの役にしていないところはさすがです。

悪役を演じたのは大女優グレン・クローズ
悪役を演じたのは大女優グレン・クローズ

 監督は『処刑山 デッド・スノウ』や『ヘンゼル&グレーテル』のトミー・ウィルコラ。彼を抜擢したプロデューサーには『デューン砂の惑星』のラファエラ・デ・ラウレンティスも名を連ねています。

 しかし、7人全員が顔を合わせるシーンなどは、まったく同じ場面を7回撮影しなければならなかったわけで、撮影現場は大変だったでしょうね…。

(『セブン・シスターズ』は10月21日から公開)

(c)SEVEN SIBLINGS LIMITED AND SND 2016

ノオミ・ラパスの顔面を蜘蛛が這いまわる『ラプチャー 破裂』のレビューはこちら