映画ならではの展開が楽しめる人気コミックの映画化『亜人』で佐藤健と綾野剛が激突!

 コミックを実写映画化する場合、たとえば『ジョジョの奇妙な冒険』のように俳優たちをマンガのルックスに合わせていき、ストーリー展開も原作をなぞっていくやりかたがあります。しかし、この『亜人』の場合は、逆に演じる役者に合わせて物語を再構築。年齢・性格などの設定や見た目も違いますし、人間関係にも変化が起きています(たとえば主人公の永井圭=佐藤健と妹の慧理子=浜辺美波の仲は原作ほど険悪ではなく非常に良好なものになっています。また、海斗は映画には登場しません)。原作のファンには賛否両論あるかと思いますが、映画を独立した存在として成立させる場合、より映画的な面白さを追求するための方法論としては、これもありだと思います。

 とにかく展開がスピーディー。こうした「主人公が特殊な能力に目覚める」というテーマの映画の場合、覚醒前の平凡な日常の描写から始まるものですが、本作は違います。いきなり囚われの主人公から始まり、トップギアで物語が疾走していくのです。

圭と佐藤、ふたりの亜人の対決を描く
圭と佐藤、ふたりの亜人の対決を描く

 その姿は人間と同じでありながら、死と蘇生を繰り返す新人類“亜人”が存在する世界。交通事故で死亡した直後に復活し、亜人であったことが発覚した研修医の圭(佐藤)は国家に囚われ、非人道的実験のモルモットにされていました。そこを襲撃したのは亜人の過激派である佐藤(綾野剛)。佐藤は人類に対して牙をむき、恐ろしいテロ計画を実行しようとしていたのです。佐藤が語る「亜人の未来」に共感できない圭は、逃亡し静かな暮らしを夢見ますが、それがかなうはずもなく、いやおうなしに戦いの中に引き込まれていきます。

 亜人は死なない存在ですが、不死身というわけではなく、死んだ後(当然、痛みも伴う)に再生するという設定。死ぬことによって、それまでの肉体が負ったダメージもリセットするわけですし、これ以外にもいろいろな法則がありますので(細かくは観てのお楽しみ)、そうした設定を活かしたゲーム感覚の駆け引きがストーリーを引っ張っていきます。さまざまな手を使って攻撃を仕掛けてくる佐藤とその一派。一方、生き残るために厚生労働省亜人管理委員会の官僚・戸崎(玉山鉄二)と手を組んだ圭は、それをどう防ぐのか? 息を飲む頭脳戦が展開するのです。

圭のIBMの声は宮野真守が演じる
圭のIBMの声は宮野真守が演じる

 さらに亜人の中には体から黒い胞子を放出し、IBM(インビジブル・ブラック・マター)という存在を形成して、戦闘させる能力を持つ者もいます。このIBMによる戦いも見どころ。IBMは人間には見ることができないので、この設定もストーリーに大きく関わってきますし、ダイナミックなアクションにも注目。CGで作り出されたIBMと生身の肉体による激突が組み合わされ、迫力のバトルシーンを作り上げているのです。

CGと実写が組み合わさったバトルが見どころ
CGと実写が組み合わさったバトルが見どころ

 全編に疾走感があふれるこの作品を監督したのは『SP』の本広克行。佐藤健演じる永井圭は原作ほど利己的な性格ではなく、葛藤の末の決意をみなぎらせたヒーロー的な佇まい。対する綾野剛の佐藤は、原作からぐっと若くなり、いつも薄ら笑いを浮かべ、何を考えているのかをうかがわせない不気味な存在感で、“日本版ジョーカー”的な雰囲気を醸し出しています。この二人が『るろうに剣心』以来の共演で、知力と体力のすべてを振り絞って対峙するクライマックスは圧巻! 共演陣は、佐藤の仲間に城田優、千葉雄大、山田裕貴。戸崎の秘書・下村泉に川栄李奈という顔ぶれです。アクションは『るろうに剣心』のチームが担当。

(『亜人』は9月30日から公開)

(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社