最初の三部作に直結したシリーズ総決算的な快作!『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』

『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの5作目は、前作『生命の泉』から6年ぶりの登場。ずいぶん間が空いたのと、正直言って前作が期待したほどではなかったので、「もういいかな…」と思っている方がいたら、ちょっと待ってください! 今作『最後の海賊』は最初の三部作から直結した、シリーズ集大成とも言える作品なのですから。

第3作『ワールド・エンド』のラストで、幽霊船フライング・ダッチマン号の船長になることを選び、呪いによって10年に一度しか陸に上がれない体になってしまったウィル・ターナー(オーランド・ブルーム)。彼とエリザベス(キーラ・ナイトレイ)の間に生まれ、立派な若者になった息子ヘンリー(『キング・オブ・エジプト』のブレントン・スウェイツ)は、父を呪いから解き放つべく旅立ちます。彼が探し求めるのは、あらゆる呪いを解くことができるという秘宝“ポセイドンの槍”。そのためにはジャック・スパロウ(ジョニー・デップ)が持つ、「それを持つ者が望む場所へと導いてくれる」不思議な力を持つ“決して北を指さないコンパス”が必要なのでした。しかし、ちょうどその頃ジャックは酒代としてコンパスを手放してしまい、持主に裏切られたコンパスは「ジャックが最も恐れるもの」を解き放ってしまいます。それは“魔の三角地帯”に幽閉されていた“海の死神”サラザール(ハビエル・バルデム)。かくしてヘンリーとジャックは秘宝をめぐる危機また危機の冒険の旅に…。

今回の中心人物はヘンリーとカリーナの若いカップル
今回の中心人物はヘンリーとカリーナの若いカップル

3作目のラストに直結したお話で、ウィルとエリザベスの物語に決着をつけようとしたもの。前作がジャックを物語の中心に据えたため、いまひとつ盛り上がらない展開だったのを反省したのか、今回はヘンリーと若き天文学者カリーナ(『メイズ・ランナー』のカヤ・スコデラリオ)を実質的な主人公にして、ジャックはトラブルメイカー的な立場に置いています。これが大成功。ストレートな冒険物語になりそうなところで、ジャックが問題を起こしてさあ大変、というひねった展開と笑いが楽しめるのです。ジャックの永遠のライバル、キャプテン・バルボッサ(ジェフリー・ラッシュ)ももちろん登場。彼とジャックの因縁にもひとつの結末が訪れますし、若き日のジャックの姿も描かれ、彼がなぜ船長になったのか、あのスタイルをしている理由は、といった過去も明らかになるのです。まさにシリーズの集大成にして総決算的な内容。

監督はノルウェー人のヨアヒム・ローニングとエスペン・サンドベリのコンビ。幼なじみで、一緒にミュージックビデオやCMを監督、『コン・ティキ』でアカデミー外国語映画賞にノミネートされたこともありますが、ハリウッド大作はこれが初めて。見事に抜擢に応えて快調な演出ぶりを見せます。秘宝探し、サラザールの復讐、バルボッサとの対立や共闘、ヘンリーとカリーナの恋、英国海軍の追撃など、盛りだくさんな内容をうまくさばいて、シリーズ最短の2時間9分にまとめているのですから。

もちろんジェリー・ブラッカイマー製作作品だけにお金のかけ方も段違い。冒頭のジャックと仲間たちによる銀行強盗シーンでは、家が町を破壊しながら激走するという、岸和田のだんじり祭りをスケールアップしたような常識外れなチェイスが見られますが、なんとこの撮影のために、町をまるごとひとつオープンセットで作ってしまったというから凄い。建造には3~4か月を費やし、小道具までもがすべて本物という凝りようです。

サラザールのVFX処理された姿がすごい!
サラザールのVFX処理された姿がすごい!

またサラザールとその部下は、死ぬことをゆるされない“死者でも生者でもない存在”という設定のため、すべて体のどこかが欠損している状態(向こう側が透けて見えたりする)。これはすべて画面にVFXで処理が加えられており、その手間を想像しただけで気が遠くなりそうです。

笑いとスリルと感動が詰まった作品。最初の三部作のファンは必見です。そうそう、過去にはジャックの父親役でローリング・ストーンズのキース・リチャーズが出演していましたが、今回は“ジャックおじさん”としてポール・マッカートニーが特別出演。一見誰だか判別できない容貌ですが、歌声ですぐにわかりますよ。

(『パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊』は7月1日から公開)

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