菅田将暉・大爆発! 仁義なき選挙バトルを描く学園コメディ『帝一の國』

古谷兎丸・原作の同名コミックを映画化した作品。この作者ならではの、美麗にしてコミカルなキャラクターを、見事に具現化した映画です。

時は昭和。全国屈指の頭脳を持つ800人のエリート学生が集う超名門校・海帝高校に主席で合格した1年生・赤場帝一(菅田将暉)。彼には大きな野心がありました。それは「総理大臣になって自分の国を作る」こと。官僚でありながら大臣への夢を果たせなかった父親(吉田鋼太郎)から託された夢でもありました。そのための絶対条件が「海帝高校で生徒会長になる」こと。政財界に強力なコネを持つこの学校でトップ=生徒会長になることは、将来の内閣入りが確約されることでもあったのです。しかも、生徒会長候補は現会長が指名するという選挙方式。したがって2年後の会長選挙で候補者になるためには、1年生時の会長選挙で誰につく(=恩を売る)かが最重要課題になります。戦いはもう始まっている! 「ライバルを全員蹴落として、必ずここでトップに立つ。そのためには、どんな汚いこともする。次期会長候補のためなら、犬にでもなる!」かくして帝一の、なりふり構わぬ命がけの選挙バトルが幕を開けます。

設定も極端ならば、登場人物たちもアクが強い個性派ぞろい。それを、今をときめくイケメン俳優たちが演じます。現大臣の息子で帝一を敵視し(父親同士もライバル)、人の足を引っ張ることを常に企む情報通の東郷菊馬(野村周平)。公明正大、文武両道、謀略に明け暮れる帝一たちとは正反対、まるで少年マンガの主人公のような真っ直ぐな男・大鷹弾(竹内涼真)。メカに強く、常に帝一を補佐する名参謀、なぜか語尾に「にゃん」を付ける美少年・榊原光明(志尊淳)。次期生徒会長の大本命と言われる富豪の息子で、すでにして王者の風格を身につけている氷室ローランド(間宮祥太朗)。将棋部の天才で通称“100手先を読む男”。物静かながら確かな戦術眼とカリスマを持つ森園億人(千葉雄大)。彼らがマンガの登場人物になりきって、思いっきりカリカチュアされた演技で笑いを誘うのです。監督は『世界から猫が消えたなら』などを手がけてきたCM界の鬼才・永井聡。紅一点、帝一の恋人・白鳥美美子役で永野芽郁も出演しています。

原作のファンで、連載中から「この役は自分が演じるためにあるんじゃないかと感じていた」という菅田が、ブレーキの外れた暴走演技を見せてくれます。オーバーアクトすれすれの過剰演技&百面相ですが、それがこの濃密な世界観にはぴったりハマっていくのですね。他のメンバーもやりすぎ感漂う演技(&演出)なのですが、それがシュールな笑いを誘い、観ていてやみつきになりそうな快感があるのです。

女性ファン向けには、この面々がふんどし一丁になり、一糸乱れぬ太鼓の群舞を見せるというサービスシーンもありますし、裏切りと謀略のドラマの奥には友情や家族愛の感動要素もあり。選挙が題材ですから、政治に対する風刺も感じられるわけで、まさに盛りだくさんな青春学園政権闘争コメディなのです。

(『帝一の國』は4月29日から公開)

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