『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』ついに丑嶋と仲間たちの過去が明らかに…

 2か月連続で公開され、ついに完結を迎える『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』。前後編の構成ではなく、9月に公開された『Part3』とはストーリー的なつながりはありませんので、前作を観ていない人でも(基本的な人間関係をご存知なら)安心して楽しめます。

 そして、今回の『ザ・ファイナル』の特徴は、初めて丑嶋馨(山田孝之)や柄崎(やべきょうすけ)、戌亥(綾野剛)らの過去が明らかになる、ということ。丑嶋の現在と中学生時代が交互に描かれ、かつて心を許した友人との関係が描かれていきます。原作は「ヤミ金くん編」で、そこに映画オリジナルのキャラクターたちがからんでいくのです。バイオレンス度も、前作と比べてかなりアップ。

 泣く子も黙る非情な金貸し、丑嶋のオフィスを「カオルちゃん、いる?」と訪ねてきた貧しい身なりの男。彼が今回の映画のキーパーソンになる竹本(永山絢斗)。丑嶋や柄崎の中学時代の同級生でした。底なしのお人好しで、どこまでも人の善意を信じ続けている竹本は、今は日雇いの仕事もクビになり、住む家もない境遇。やがて彼は住み込みで仕事ができるという「誠愛の家(ラブ・ハウス)」に勧誘されて行きますが、そこは住人達に過酷な労働を強いてその賃金をピンハネする、いわゆる“貧困ビジネス”の場だったのです。しかも、そこを仕切る武闘派の鍔戸三兄弟(安藤政信、YOUNG DAIS、間宮祥太朗)は丑嶋の中学時代の仇敵でもありました。かくして丑嶋は自身の過去と向き合うことになっていくのです。

 中学時代、周囲から孤立し、蒸発した母が残していったウサギだけが友だった丑嶋に、唯一声をかけてくれたのが竹本でした…。この12年前のパートで丑嶋や柄崎、戌亥などを演じる少年たちが実に雰囲気を出していて、一風変わった青春映画の趣も。丑嶋と柄崎との出会いのエピソードも、現在の二人の関係を知っていると微笑ましく見られます。映画版のオリジナル・キャラで丑嶋を敵視するライバル金融会社の犀原茜(高橋メアリージュン)も玉城ティナが演じる中学生として登場、なぜ茜が丑嶋を憎んでいるのかも明らかにされるのです。玉城は『貞子vs伽椰子』の弱々しいヒロインとは打って変わって、ドスのきいた凄味ある演技を見せてくれます。

 また、時事ネタに敏感な山口雅俊監督だけに、貧困ビジネスのネタ以外にも、昨今TVコマーシャルなどでよく見かける「弁護士による過払い金返還請求」の話をオリジナルで追加。八嶋智人が債務整理で稼ぎまくる“ザックリとした”弁護士・都陰をいつもの飄々とした調子で演じています。その部下で、法律事務所の杜撰なやりかたに疑問を抱く新人事務員に真野恵里菜。法律を武器に丑嶋に戦いを挑む都陰ですが、果たしてその結果は…。

 これまでは傍観者として、金儲けに奔走し、あるいは欲望に翻弄されていく人々を外から眺めていた丑嶋ですが、今回は自身が金をめぐる争いの渦中に巻き込まれていきます。なぜ、彼のような人間が誕生したのか。なぜ丑嶋は闇金融という、日の当たらない裏稼業に進んだのか。そんな謎の一端が、彼の少年時代から解けてくるのかもしれません。そしてあくまでも他人を信じ続け、我が身を犠牲にしても仲間を救おうとした竹本が迎える結末とは…。それを見届けた時、丑嶋は今までとは少しだけ違う顔を見せてくれます。その表情こそが“ファイナル”の醍醐味なのでしょう。

(『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』は10月22日から公開)

(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会

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