『闇金ウシジマくん』クライマックスは映画2本連続公開! 第1弾は夢をお金で買おうとした人々の狂騒曲

『闇金ウシジマくんPart3』(9月22日公開)

 2010年にTVドラマとして放映がスタートし、劇場版映画2本、TVで3シーズン続いた『闇金ウシジマくん』もついにファイナル。しかし、普通の終わり方はしないぞ、とばかりに、映画は2作連続公開という異例の展開でラストを迎えます。『Part3』が9月22日から『ザ・ファイナル』が10月22日から公開というスケジュールですが、これは前後編ではなく、それぞれが独立したストーリー。しかも作品のテイストを変えてまったく違った楽しみ方ができる工夫がこらされています。今回は、まず『Part3』をご紹介。

 原作の「フリーエージェントくん」編と「中年サラリーマンくん」編の映画化。その日暮らしのギリギリの生活をしているフリーターの沢村真司(本郷奏多)は、ある日広告で見かけた“ネットで秒速1億円を稼ぐ”という天生翔(浜野謙太)の無料セミナーに参加。そこで“必ず成功する”というメソッドを手に入れるためには100万円が必要だと言われ…。貧乏人のまま生きるのか、すべてを賭けて成り上がる道を選ぶのか。沢村は“勝ち組”に入ることを決意、そのため丑嶋(山田孝之)のカウカウファイナンス(10日で5割=トゴという違法な超高利で金を貸すアウトローの金融屋)を頼るのです。

 一方、大手企業のサラリーマン・加茂守(藤森慎吾)は妻帯者でありながら、会社に出入りの生保レディと不倫し、その上キャバクラ嬢に入れあげているクズ男。やたらと借金を申し込んでくる会社の同僚に不倫を感づかれて脅迫されていると思い込み、その資金と遊ぶ金欲しさにカウカウファイナンスに頼るハメに…。

 この二つのエピソードには相互の関連はほとんどなく、沢村の恋人になる新人タレント・れな(乃木坂46の白石麻衣)と加茂が夢中になっているキャバ嬢・花蓮(筧美和子)が友人同士というぐらいの繋がり。それぞれの話が交互に描かれる中で、欲にまみれた人間たちの愚かさと、その転落の様子が描かれていくのです。丑嶋とカウカウファイナンスの仲間たち、柄崎(やべきょうすけ)、高田(崎本大海)、新加入の受付嬢・モネ(最上もが)は主人公格でありながら物語の中心になることはなく、あくまでも途中から彼らの人生に介入していくだけなので、沢村や加茂の空回りぶりがより強調されるわけなのですね。今回はセレブの世界とセックスが題材になっているため、その空虚さがぐいぐい突き刺さってきます。

 そもそも沢村が売りまくって一時は高級マンションなどを手に入れる“メソッド”なるものにしても、よく考えれば“ねずみ講”みたいなものなのですから、いずれ破綻することは確実。加茂の場合も、借金がふくらんでいくうちに出入り業者にキックバックを要求するなど、嘘に嘘を重ねて身動きがとれなくなっていきます。ひとつ間違えば破滅の坂を転げ落ちていく状況のなかで、“自分の欲しいもの”を追い続けていく人々の姿は、滑稽でやがて哀しくさえ思えてくるのです。その中で沢村とりなの間にラブストーリーらしい香りが漂っているのがせめてもの救いかな?

 俳優陣では、丑嶋の幼馴染み・戌亥を演じる綾野剛が飄々とした演技でオイシイところをいただいていきます。実在する実業家(やはり破綻していますが)をモデルにしたと思しき天生翔を演じる浜野謙太のうさんくささは特筆もの。オリエンタルラジオの藤森慎吾も、普段の“チャラ男”キャラとは違う小市民感を出していて、演技者としての前進を感じさせてくれました。

 ところで、沢村のライバル的存在として前野朋哉扮する“しんこch.”というキャラが出てくるのですが、彼は映画版第1作で大島優子扮する未來に出会いカフェでからんだ客と同一人物。山口雅俊監督の中ではシリーズがひとつの世界として繋がっているんだな、ということも実感させてくれたのです。

 続いて公開される『闇金ウシジマくん ザ・ファイナル』では、これまで明らかにされてこなかった丑嶋の過去が描かれ、柄崎や戌亥の若き日も登場します。お楽しみに。

(付記)

闇金は犯罪です。危険ですので、できることでしたら利用しないようにしましょう。

(『闇金ウシジマくんPart3』は9月22日から公開)

(C)2016真鍋昌平・小学館/映画「闇金ウシジマくん3」製作委員会

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