デンゼル最強! アメリカ版必殺仕事人(?)『イコライザー』

デンゼル・ワシントンの出演作には、自分の信念に従って生き、決してぶれない、というキャラクターが数多く見受けられます。それは悪人を演じても、途中で死ぬ役柄でも変わりなし。今回の『イコライザー』で彼が演じたロバート・マッコールもまた、その典型でした。

ボストンでホームセンターに勤務しているマッコールは、人当たりが良く面倒見もいいため職場でも人望があり、時には同僚と軽口を叩くことも。深夜には終夜営業のカフェに向かい、静かに読書する日々。そんな彼に話しかけてくるのは常連のテリー(クロエ・グレース・モレッツ)でした。まだあどけない顔にどぎついメイクを施した彼女は、ロシアン・マフィアの支配下にある娼婦。そんなある日、テリーが客をいやがって逃げたことから見せしめのために暴力をふるわれ入院してしまいます。歌手になりたいという彼女の夢を知っていたマッコールは、テリーを自由にしてほしいと頼み込むためにロシアン・マフィアの本拠地へ単身乗り込みます。そんな彼の願いをせせら笑う男たち。その時、マッコールはすばやく意外な動きを見せました!

屈強な5人の男たちをわずか19秒で仕留めたマッコール。証拠も目撃者も残さず、あざやかに立ち去った彼の正体は? やがて彼の目に、町にはびこる様々な悪の姿が見えてきます。その時、彼のとった行動とは…。

マッコールは武器をまったく携帯していません。身体検査や不審尋問に遭っても怪しまれないためです。彼が使うのは、その場にあるあらゆるもの。灰皿や花瓶、フォーク、コルク抜き、ペーパーウェイト…、一瞬で状況を読み取り、秒単位で相手の反応を予測。すぐれた判断力と反射神経、そして体術で悪を葬り去っていくのです。昼と夜の顔を使い分ける、まさにアメリカ版必殺仕事人! しかし仕事人とマッコールの決定的な違いは、お金による依頼を受けるのではなく、内なる正義感(自分のルールと言い換えてもいいでしょう)に従って悪を制裁する、と言う点。しかも助けられた者にすら、その事実を感じさせない完璧さ。いかにもデンゼルが演じるのにふさわしいキャラクターです。そして問答無用のその強さは圧巻。マフィアだけでなく、悪徳警察官や強盗などが、あっけなく始末されていくのです。

しかし、それだけで終わらないのがこの映画のいいところ。ボストン支部を失ったマフィアは、本国からテディ(マートン・ソーカス)という幹部を送り込みます。このテディが、まさに極悪非道を絵に描いたような凶悪なキャラクター(元KGBのエージェントで異常性格の殺人者)。しかもただ単に残忍なだけではなく、頭もキレ、数少ない物証からマッコールの存在に迫っていくのです。この二人の対決に向かって、サスペンスはいやがうえにも盛り上がっていきます。やはり悪が強くなければ、主人公の魅力が引き立ちませんからね。圧倒的な武力で迫る組織に対して単身で立ち向かうからこそ、マッコールの最強ぶりが輝いて見えるのです。

監督は『トレーニング デイ』でデンゼルをアカデミー主演男優賞に導いたアントワーン・フークア。マッコールに西部劇のヒーロー(それもマカロニの)をダブらせて描いています。もともとイコライザーというのは80年代に放映されたTVシリーズの主人公でした。そこでは主人公の過去は明らかにされていなかったのですが、そこに踏み込み、新たなるヒーローの誕生を描いたのがこの作品なのです。すでに全米での大ヒットを受け、シリーズ化の動きも出てきたようで、実現すればデンゼルにとって初めてのシリーズ・キャラクターということになります。

(付記)

クロエが娼婦役、ということも話題を呼んでいますが、それほどきわどいシーンはありませんのでご安心を…(期待しすぎないように、と言った方がいいのかな?)。

(『イコライザー』は10月25日から公開)