ハリウッド映画のエンドクレジットは、なぜあんなにも長いのか?

そもそも、いつからあんなに長くなったのか? 

 昔の映画を観ていると、ラストに「THE END」の文字が出るだけであっさり終わるのにびっくりしたりします。でも、よくよく考えてみると、かつてはこれが普通だったんですよね。クレジットが流れ始めても、せいぜいがキャスト表ぐらいで終わっていたのです。

 しかし、最近の映画はこのクレジットが長い長い。劇場でこれが流れ出し、主題歌が聞こえると、気の早い人は席を立ってしまいますが、このごろはクレジットの最後にサプライズのオチや次回作への引きを用意していたりするので、油断できません。仕方なく最後まで眺めることになるのですが、これを全部ちゃんと読んでいる人は(関係者以外で)いるんでしょうか? いったいここには何が書かれているのか?

 エンドクレジットをこんなに長くした犯人(?)、それは皆さんご存知の大ヒット作『スター・ウォーズ』(77)でした。この映画、誰もスターの出演していない作品で(主演の3人は当時はほぼ無名、アレック・ギネス、ピーター・カッシングという英国の名優は出ていますが、いわゆる人気スターではありません)、特撮がメインといえる異色の存在でした。監督のジョージ・ルーカスのビジョンを実現させるために多くのスタッフが集められ、試行錯誤しながら誰も見たことのない映像を作り上げていったのです。以前なら、特撮監督の名前だけがクレジットされていたのですが、ルーカスはそれをよしとせず、スタッフへの感謝をこめて彼ら全員の名前を残そうとしたのです。かくしてジョン・ウィリアムズ作曲によるシンフォニックなメロディーに乗せて、長い長いクレジットが流れていきました。

 ではなぜ、これがこの1作にとどまらず、恒例化してしまったのか? そこにはハリウッド映画界のスタジオとユニオン(組合)の力関係がありました。映画界では職能別の組合が強い力を持っていて、ここに加盟していない人はなかなか仕事につけないばかりか、ここと揉めれば数年前にあった脚本家組合のストの時のように映画の製作自体がストップしてしまう事態になることもあるのです。組合対策は長年の映画界の課題で、あのアカデミー賞だって、もともとは組合を懐柔するために始まったもの。したがって、映画の製作に関係した人間はすべてクレジットする、という慣習ができたのでした。

こんな人までクレジットされている!?

 しかし、最近はこれが少々行き過ぎでは?というところまで行っているのもまた事実です。CGが多用されるようになってスタッフの人数が増えたのはまあ理解できるとしても、カーチェイスのない映画でも”ドライバー”のクレジットがあったりします。これはスタント・ドライバーではなく出演者やスタッフを現場まで運ぶ運転手さんのこと。現場で食事の用意をするケータリング・スタッフ、病人や怪我人が出た時のために待機している医療班、出演者に子役がいる場合に学校の代わりに勉強を教える家庭教師、主演級のスターのお付きの人、さらにはトラブルが起きた時に備えて契約した保険会社の担当者や、その長いクレジット自体を作っている人の名前までが登場するのですから。普通の企業に置き換えれば、商品の説明に営業や経理や人事の担当者名まで書いてあるようなもの、と言えばわかりやすいでしょうか。もちろん映画の中で使用した楽曲や引用した映像、使った衣装や小道具のメーカー名も外せません。

 そりゃ長くなるはずですよね。

(付記)さらに付け加えますと、ディズニーやピクサーのような、完成までに何年もかかるアニメ作品の場合は”プロダクション・ベイビー”として、作品製作中に生まれた赤ちゃんの名前までクレジットされています。