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「銀魂」アニメ15年の歴史についに終止符 事実上の最終回は動画配信

河嶌太郎ジャーナリスト(アニメ聖地巡礼・地方創生・エンタメ)
事実上の最終話となった「銀魂 THE SEMI-FINAL」

 週刊少年ジャンプなどで2004年1月から2019年6月まで15年半にわたり連載されていた「銀魂」。漫画は実に全77巻におよび、週刊少年ジャンプの歴史の中でも、「こちら葛飾区亀有公園前派出所」、「ONE PIECE」に次いで3番目の長期連載作品となっています。

 テレビアニメも原作の連載開始から2年後の2006年から放送され、2018年までの12年間、4期にわたって放送されていました。放送話は367話にもわたり、原作75巻までが映像化されています。

 原作の完結から遅れること1年半、アニメシリーズにも終止符を打つ最新作「銀魂 THE FINAL」が2021年1月8日(金)から全国の劇場で公開されています。「THE FINAL」の文字通り、原作最終巻の内容をアニメ化したものになっています。

 ただし、連載が15年という長期にわたっていた「銀魂」の場合、「銀魂」を知っていても77巻という最終巻まで全て読了したという人はそう多くはありません。特にテレビアニメでは2016年まで、18時台や19時台という多くの人が視聴する時間帯に放送されていたのもあり、漫画の「銀魂」を読んだことがなくても、作品のキャラクター達や話の大筋はなんとなく知っているという人が少なくありません。アニメ以外にも、2017年と18年に2回にわたる実写映画化やドラマ化もされており、アニメもあまり見ない人でも「銀魂」が好きという人もいます。

 このように「銀魂」ファンには様々な人がいるため、「銀魂 THE FINAL」は漫画やアニメシリーズを最後まで見ていない人が見ても楽しめるように作られています。ただし、「銀魂」の後半はシリアスな展開が続いており、恐らく多数を占めるであろう、コメディ中心の序盤から中盤しか知らない人が観ると、新しい「銀魂」の魅力に触れられるかもしれません。

「銀魂 THE FINAL」は原作最終巻である77巻の最終決戦の様子を映像化しています。ところが、テレビアニメ最終話時点では、75巻まで映像化したものになっています。つまり、1巻分のブランクがあるのです。

 この間の76巻を中心に映像化したアニメ「銀魂 THE SEMI-FINAL」が、NTTドコモが手がける動画配信サービス「dTV」で独占配信されています。時系列順では「銀魂」最後の映像作品になります。2021年1月8日(金)の劇場公開後の2021年1月15日(金)に「万事屋篇 後先考えずに風呂敷を広げるものじゃない」が、2021年1月20日(水)に「真選組篇 直前になって大事なことを決めるものじゃない」が配信されました。「FINAL」よりも「SEMI-FINAL」が最後にくるあたり、「銀魂」の荒唐無稽さを表しているのかもしれません。

「SEMI-FINAL」は一般的なテレビアニメと同じく1話各24分となっています。オープニングやエンディングもテレビアニメ同様存在していますが、テレビアニメ342話以降の「銀ノ魂篇」と同一の映像となっています。つまりテレビアニメ最終話に続く、事実上の368話と369話という位置付けになっています。「万事屋篇」では76巻の前半が、「真選組篇」では後半部分が描かれています。

「銀魂 THE FINAL」が公開された2021年1月8日(金)は、1都3県で緊急事態宣言が再発令された日でもあります。再発例された地域では、映画館の開館が20時までとなっているところが多く、映画の上映開始が17時台で終わってしまうのが現状です。不要不急の外出の自粛が呼びかけられているのもあり、発令地域に住む方にとっては、映画を見に行きたくても敷居が高い状況が続いています。

 こうした状況下で、劇場版の前日譚が自宅で好きなときに見られるのは「銀魂」ファンにとっても嬉しい展開と言えます。映画館に足を運ぶのは緊急事態宣言が明けてからでも遅くはないでしょう。

 夕方の時間帯に放送されていた「銀魂」しか知らない人が、「SEMI-FINAL」や「FINAL」を観ると、あるキャラクターの見た目の変わりぶりに驚く人もいるかもしれません。「銀魂」の終盤は往時から2年後の世界となっており、それぞれ成長したキャラクター達の姿が描かれています。長らく「銀魂」の世界から離れていた人でも、2000年代の「銀魂」を知っている人であれば是非自宅で視聴してみてはいかがでしょうか。

■「銀魂 THE SEMI-FINAL」特設ページ:https://video.dmkt-sp.jp/ft/s0007147

ジャーナリスト(アニメ聖地巡礼・地方創生・エンタメ)

1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。「聖地巡礼」と呼ばれる、アニメなどメディアコンテンツを用いた地域振興事例の研究に携わる。近年は「withnews」「AERA dot.」「週刊朝日」「ITmedia」「特選街Web」「乗りものニュース」「アニメ!アニメ!」などウェブ・雑誌で執筆。共著に「コンテンツツーリズム研究」(福村出版)など。コンテンツビジネスから地域振興、アニメ・ゲームなどのポップカルチャー、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。

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