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令和初コミケ開幕! 新設の南展示棟は快適 有料化の注意点は?

河嶌太郎ジャーナリスト(アニメ聖地巡礼・地方創生・エンタメ)
新しく使用が開始された南展示棟。「快適」との声が相次いでいる

 世界最大の同人誌即売会・コミックマーケット96(C96)が8月9日(金)に東京ビッグサイトで開幕した。開催期間がこれまでの3日間から4日間開催となった。史上初めてのことだ。

 事情を知らない人からすると、日本が世界に誇るオタク文化もいよいよ隆盛を極め、3日間開催では足りなくなってきたか、とお思いの方もいるかもしれない。だが、まずその見方は残念ながら間違いであるということから申し上げなければならない。

2020年12月まで仮展示棟として使用される青海展示棟
2020年12月まで仮展示棟として使用される青海展示棟

■コミケ4日間化は会場が狭くなったから

 なぜ史上初の4日間開催となったのか。それは来年開かれる東京五輪と大きく関係している。オリンピックで東京ビッグサイトが世界中のメディアの基地となるプレスセンターとして使用されるため、それに向け改修工事を行っているのだ。ビッグサイトは大きく西展示棟と東展示棟に分かれている。既に西展示棟の改修工事は終わったものの、現在は東展示棟が工事中で使用できない。そのため開催期間を4日に延ばした事情がある。

 そのため、今回のC96から2020年ゴールデンウィーク開催予定のC98にかけて、コミケはイレギュラーな運用を強いられているというわけだ。どう変わっているのか、この違いについて整理してみたいと思う。

 施設面で最大の違いは、企業ブースの会場がビッグサイトの外に移転していることだ。「青海展示棟」と呼ばれる工事期間中の代替施設として用意された建物で、ビッグサイトからは約1.5km離れている。最寄り駅もビッグサイトから西に1駅離れており、りんかい線では東京テレポート駅、ゆりかもめでは青海駅が最寄りとなっている。

青海展示棟の企業ブースの様子
青海展示棟の企業ブースの様子

 20分ほどかかるが、ビッグサイトから歩いて移動することも可能だ。コミケの準備会によると、青海展示棟までの徒歩連絡ルートを策定し、1.5kmの道中にスタッフや警備員を配置するとしている。だが、1年で最も暑い時期に行われる夏コミの場合、道中熱中症にかかるリスクも高い。徒歩での移動は避けたほうが賢明だろう。先述の通り最寄り駅も異なるため、4日間のうちこの日は企業ブースだけ、というように行動範囲を区切ったほうがいいかもしれない。

 もう一つの大きな違いが、西展示棟の南に新たに南展示棟が新設されている点だ。ビッグサイトの駐車場を潰して建てられた施設で、2階建て4ホールの作りになっている。展示面積は計2万平方メートルとなっているが、工事中の東展示棟の合計展示面積6万6780平方メートルには及ばない。

初日は緑色のリストバンド片手に入場する人の姿が見られた
初日は緑色のリストバンド片手に入場する人の姿が見られた

■史上初の有料化へ

 このように、今回のコミケから会場面積は狭くなり、出展サークルの数も限られ、準備会に入るサークル参加費が低下したこと。一方で青海展示場への動線が生まれたことや、4日間化によって必要な警備員の数が増えたことから、コミックマーケット準備会は一般参加者から入場料を取ることになった。

 そのため参加者目線で見た場合、今回のコミケの一番の違いは入場料がかかるようになった点だろう。入場料は1日あたり事前購入価格が税込み540円、当日販売価格が500円で、このほか冊子版のカタログ(書店価格2500円、会場販売価格2000円)を買うことで、4日間分の入場券こと「参加証」がついてくる。「参加証」は色つきのリストバンドとなっていて、これを手首に巻くことで識別する。

 色は日ごとに異なり、1日目が緑、2日目が青、3日目が赤、4日目が黄色に分かれている。メイン会場であるビッグサイトに入る時はもちろん、別棟の企業ブースに入るときにも必要となるので注意が必要だ。また、汗などで破れてしまい巻けなくなった場合でも、持っているだけで有効なので覚えておこう。紛失しても再発行できないので要注意だ。

 準備会によると、入場規制が解除されたのちはリストバンドなしでも会場に入れるようになるとしている。実際に初日の9日は、ビッグサイト会場は12時半ごろ、青海の企業ブースは14時頃に入場規制が解除され、リストバンドなしでも入れるようになった。しかし明日以降、何時に規制が解除されるかどうかは準備会の判断を待つことになる。

 企業ブースの規制解除が遅くなったのは、建物の外周部分が小さく、以前と比べ買い物列を長くしにくくなったためだと考えられる。筆者も企業ブースに足を運んだが、大半のブースが会場内のみで列が形成され、外に列が伸びているブースはわずかであった。もちろんこれは入場者数を規制し調整しているためであり、明日以降も似た傾向が続くと考えられる。

西展示棟4階から見た南展示棟の外観。そのままバリアフリーに移動することができる
西展示棟4階から見た南展示棟の外観。そのままバリアフリーに移動することができる

■南展示棟は快適との声も

 今回初めて、南展示棟がコミケに使用された。筆者が1階の南1,2ホールに入ると、新築の建材の匂いがした。同じように「新築の匂いがする」と声を漏らした参加者もいた。

 南展示棟の“使い心地”はどうだろうか。10年来コミケにサークル出展を続けている、ある30代参加者はこう話す。

「これまでの東展示棟と違って、会場が適度に狭く、柱もないせいか冷房の効きが遙かにいいですね。今年の夏は暑いですが、かつてないくらいに快適です。即売会をする広さとしてはちょうどよい大きさで、できれば今後も南展示棟に配置されたいぐらいです」

 ツイッターなどを見ても、「南展示棟は快適」という声が相次いでおり。コミケの不快さでさえも最新テクノロジーで解消したようだ。東京五輪ではここがメディアプレスセンターとして活用される予定だが、まさに五輪にふさわしい公共施設とも言えよう。

 とはいえ、東京オリンピックを控え、全体的にはイレギュラーな使い勝手が悪い状態がまだまだ続く。それでも、年々コミケの環境は少しずつ良くなっている。紛れもなく、コミックマーケット準備会のボランティアスタッフの方々の努力と知恵のたまものである。もし明日以降、コミックマーケットに参加されることがあれば、炎天下の中動き回っているスタッフに目を向けてみるのもいいかもしれない。

(撮影・全て筆者)

ジャーナリスト(アニメ聖地巡礼・地方創生・エンタメ)

1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。「聖地巡礼」と呼ばれる、アニメなどメディアコンテンツを用いた地域振興事例の研究に携わる。近年は「withnews」「AERA dot.」「週刊朝日」「ITmedia」「特選街Web」「乗りものニュース」「アニメ!アニメ!」などウェブ・雑誌で執筆。共著に「コンテンツツーリズム研究」(福村出版)など。コンテンツビジネスから地域振興、アニメ・ゲームなどのポップカルチャー、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。

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