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新型Switchのポイント 読み込み時間は? バッテリーの持続時間は?

河村鳴紘サブカル専門ライター
「ニンテンドースイッチ」シリーズの新モデル「有機ELモデル」=任天堂提供

 任天堂が家庭用ゲーム機「Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)」シリーズで、新モデルとなる有機ELディスプレーを搭載した「Nintendo Switch(有機ELモデル)」を発表しました。10月8日発売予定で、価格は3万7980円(税込み)です。同機のポイントについて触れます。

◇5000円アップの「高級モデル」

 最大の売りは、鮮やかな発色が可能になる有機ELです。本体サイズは通常版のスイッチと同じですが、画像サイズが6.2インチから7インチになります。また本体保存メモリーが64GBになり(通常版とスイッチライトは32GB)、背面スタンドが付き、有線LAN端子を搭載しています。

 有機ELモデルの登場で、通常版(3万2978円、税抜き2万9980円)と、ライト(2万1978円、税抜き1万9980円)の3種類から選べることになります。有機ELモデルとライトの価格差は1.7倍強。同じソフトが遊べるゲーム機としては異例ですね。

 なお有機ELモデルの税抜き価格ですが、任天堂広報グループによると「税込み価格で統一しているため、税抜き価格は伝えていない」とのこと。単純計算をすれば、3万4500円強といったところでしょうか。一言で言えば、高価な有機ELを搭載し、本体保存メモリーが64GBに強化された「高級モデル」になります。通常版より約5000円アップしたことをどう考えるかです。

◇ロード時間は? バッテリーは?

 新商品のポイントの一つ目は、もちろん有機ELであることです。映像のコントラストに優れ、黒の再現度が高く、動きに強い利点もあります。ただし、ゲームのロード時間(読み込み速度)が速くなるわけではありません。同社に聞くと「通常版やスイッチライトと同じ、エヌビディア製のチップを使っているので同じ」とのことでした。

 二つ目は、携帯ゲーム機として持ち歩いたときのバッテリーの持続時間ですが、従来機と同じ「4.5~9時間」になるそうです。有機ELは液晶(通常版やスイッチライトで使用)より消費電力量が多いため、バッテリーを増強するなどして対応していると思われます。詳細を尋ねると「そこまでは開示していない」とのことでした。

 そして最後のポイントは、スイッチがかつて苦しみ、PS5がいまだに苦しんでいる「高額転売」の対策です。任天堂は「現場(流通)の話なので、弊社からは明言できることはないが、多くのお客様にお届けできるようにしたい」としています。人気のゲーム機は、「高額転売」のターゲットになり、希望小売価格以上の価格で取り引きされることが近年続いています。ゼロにするのは無理にしても、商品を売る流通と協力してどのような対策を取り、少しでも抑え込むかです。もっとも効果的なのが有機ELモデルが店頭に潤沢に並ぶことですが、生産に時間のかかるゲーム機の需要と供給を読み切るのは至難です。

 そうなった場合、希望小売価格よりも高い「高額転売」には手を出さないということに尽きます。また個人間取引のリスクも念頭に置きつつ、そもそもネット取引では相手次第でトラブルがありえることも踏まえるしかないでしょう。問題があったとき相談に乗ったり、返品を受け付けてくれるような、希望小売価格で売る良心的な店で買うのがベターですね。

◇出荷計画の修正「なし」

 なお任天堂は、2021年度(2021年4月~2022年3月)のニンテンドースイッチシリーズの年間出荷計画を2550万台に設定していますが、出荷計画や業績の情報修正は「ない。(有機ELモデルの売り上げは)期初から織り込み済み」とのことでした。つまり、2021年度中に「有機ELモデル」を発売する気だった……ということになります。

 合わせて、有機ELモデルの出荷数も尋ねましたが、そちらについては「開示していない」とのこと。ただし、任天堂は四半期決算発表で詳細の数字を発表しています。どこまで売れるか気になるところです。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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