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PS5の映像イベントあす早朝配信 価格発表に注目 見どころ三つ

河村鳴紘サブカル専門ライター
ソニーの新型ゲーム機「プレイステーション5」=SIE提供

 今年の「年末商戦期」に発売予定の新型ゲーム機「プレイステーション5(PS5)」の映像イベントが17日午前5時から開かれます。先週の9日、ライバルであるマイクロソフト(MS)の新型ゲーム機「Xbox Series X(Xbox SX)」の発売日と価格(11月10日、499ドル)が発表されただけに、ゲームファンの期待が高まっています。イベントの見どころを三つ挙げます。

◇PS5の価格は?

 一つめは、価格です。PS5は、従来のゲーム機と同じディスクドライブを装備した「スタンダードモデル」と、ディスクドライブがない「デジタル・エディション」の2種類があります。注目は、部品のコストカットができるデジタル・エディションです。さすがにXbox SXの廉価版「Xbox Series S(Xbox SS)」の299ドルと張り合うのは、厳しいでしょうが、どこまで下げられるかです。

 目安は、これまで成功したPSシリーズの価格で「4万円を切る」もしくは「400ドルを切る」ラインです。450ドル近辺でもゲームファンは大満足でしょうが、ややインパクトに欠けるのは確かで、一般メディアの評価は辛くなるかもしれません。

 なお、スタンダードモデルは、ライバル機「Xbox SX」の価格の499ドルが目安になるでしょう。PS5の前評判が高いとはいえ、ライバルのゲーム機の価格は無視できません。

◇日本の発売日は?

 二つめは、発売日です。これまでのPS5のイベント開催時間を考えると、米国ファーストなのは明らかです。米国は、商戦期である「Thanksgiving(サンクスギビング)」(11月第4木曜日)より前にするのが妥当ですね。問題は米国以外の地域の発売タイミングで、特に日本の発売時期でしょう。

 PS4の場合、北米発売は2013年11月15日、欧州は2週間遅れの11月29日でした。日本の発売時期は当初こそ「年末」としていましたが、結局は年明けの2014年2月22日になりました。

 日本のゲームファンには大ブーイングの決定でしたが、この決断はビジネスとして大正解でした。PS4は約5カ月で当初計画の500万台を上回る760万台を出荷し、欧米で売り切れ続出。2014年5月の経営説明会で、ソニーの平井一夫社長(当時)は、わずか半年で“勝利宣言”をしました。現在、1億1000万台を出荷したPS4ですが、日本市場のシェアは1割弱と推測されます(ソニーは地域別の出荷台数は非開示)。

 PS5も、PS4の例に習えば、日本の発売時期を後ろにずらすのがベターとなります。ライバルのXbox SXは、米国と同じ11月10日に発売されますが、Xboxシリーズは日本の普及に相当苦戦した歴史があります。つまり「日本では恐れなくてもいい」という判断もありますから、読みづらいところです。

 日本の年内発売が実現しても、PS5の台数が相応に確保できないと、商品不足で転売のターゲットになり、価格が高騰する可能性があります。ゲームファンの不満が爆発して、批判の矛先がソニーに行くのは防ぎたいところです。

◇さらなる有力ソフト発表できるか

 三つめは、新たな有力ソフトを発表できるかです。既に「バイオハザード8」や「グランツーリスモ7」などは発表済みですが、出れば出るほど望ましいのは言うまでもありません。

 ただしソフトメーカーのゲームは、ライバルのゲーム機やPCでも出る可能性があります。可能ならソニーグループ傘下のゲーム開発会社からの大作ソフトが出るのが理想です。ゲーム画面を見せずとも、自社の有力ソフトの続編をにおわせるだけでも、PS5への期待はさらに高まります。

 イベントで、PS5の発売日も価格もスルーされる可能性もあるわけですが、ファンもメディアも興ざめし、逆効果でしょう。新型ゲーム機の発売は6~7年に一度しかない“お祭り”でもあります。無料のスマホゲームでは楽しめない、豪華なゲームを披露し、専用ゲーム機を買う意義や欲望を刺激するなどしてほしいものです。そしてゲームは「エンタメ」なのですから、予想外のサプライズも期待しています。

サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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