「PS5」の飛び交う“価格”が話題に 垣間見えるユーザーの本音

ソニーの新型ゲーム機「プレイステーション5」=SIE提供

 今年の「年末商戦期」に発売される新型ゲーム機「プレイステーション5」で、価格が未発表にもかかわらず、12日のオンライン発表会の後から、ネットの情報でさまざまな価格が出回り、ファンの間で話題なっています。

◇うわさの掲載 確信犯

 うわさは、約8万円もあれば、約4万円もあります。元になっているのは、ネット販売サイトですね。誰かが価格の表示を見つけるや、証拠のスクリーンショットをアップ。それが次々と拡散されています。事実そっちのけでうわさを積極的に掲載するまとめサイト、一部のサイトも記事に仕立てており、それが拍車をかける流れです。グーグル検索でも「PS5」と打てば、予測ワードに「値段」「価格」が表示されますから、確かに注目度は高いと言えます。

 もちろんある程度の人は、それが「うわさ」であることは承知で楽しんでいるのでしょうが……。

 ただ、こうした価格予想の混乱は、想定の範囲内です。PS5は昨年春の初報以後、本体のデザインや発表時期、価格など「リーク」「フェイクニュース」が何かしら出ている状況です。以前から関係者も「話題になっていてありがたいですが……」と苦笑いするほどです。

 12日の発表では、PS5の本体のデザインが発表されました。ネット販売サイトが注目を集めるため、この手の情報を流すかも……と思っていました。中には「価格は未発表」という文言を入れつつ、価格を出していました。現時点で価格は消去しているようですが、スクリーンショットがある以上、うわさの広がりを止めらません。

 また、誰かが「価格」を出せば、それ自体は事実です。「うわさですが…」「~の情報ですが…」とただし書きをつけて情報発信すれば、ウソをついているわけではありません。確信犯なのですね。

◇歴史を追えばある程度予測できる価格

 面白いのはユーザーの本音が見えることです。やはりPS5の価格は8万円だと高く、過去のゲーム機と同じような4万円の価格だと喜んでいます。つまりPS5の性能の高さから相応の値段は覚悟しているものの、PS4のときのような4万円の期待をしているという感じですね。非公式情報が拡散するのは、ネットの負の側面であるのは確かですが、ユーザーの本音が垣間見えるのも確かです。また、商品を発売する際に一番まずいのは無関心でいられることなので、話題になるのは悪いことではありません。

 さらにネット販売サイトが、価格の不明な段階で予約を取ろうとするのは、PS5が売れると予想しているからです。ちなみに言えば、価格を予想すること自体は自由なのです。ただしネット販売サイトもまとめサイトも、うわさを流すことがビジネスになっているところがあります。アクセス増加もそうですし、アフリエイトの利益も見込めますから、話題になるような突拍子もないネタほど取り上げたいでしょう。

 ソニーのゲーム機の歴史を追えば、おおよその値段は予測が付きます。PS3のみが約5万円で、初代PSとPS2、PS4は約4万円からスタートしました。PS3は1億台を割り、他は1億台以上を売りました。いくらコンテンツが重要で、新型ゲーム機の性能は大事とはいえ、価格は当然ながらそれ以上に大事です。低価格よりも性能に重きを置いたPS3の売れ行きという結果、そしてゲームはビジネスであることを考慮すれば、どう動くかは予想できるはずです。PS5の価格は、経営上の超重要情報で、株価や業績に直結します。ネット販売サイトや、一個人が知りえるはずもないのは常識で考えると分かるはずなのですが、それでも思わず探してしまうのが人の心理なのでしょう。

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 価格は、ゲーム機のコストはもちろん、ビジネスモデル、ライバルの動向など、複雑な要素が絡みます。今回は、ディスクなしの「デジタル・エディション」が発表されました。ディスクドライブの部品が不要になりますから、それがPS5の低価格の期待を増幅している点はあります。

 ただしPS5の場合、最初は品切れになる可能性もあるため、安ければすべて良し……というわけにいかないのは大変かもしれません。PS4の発売時は欧米で慢性的な品不足になるほど飛ぶように売れ、決算ではソニーが言及するほどでした(日本は普通に売っていました)。今回は新型コロナウイルスの影響もあり、工場の稼働ができるかという不安定要因があります。もちろん利益が出るに越したことはないので、価格設定は腕の見せどころといえるでしょう。

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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ゲームやマンガ、アニメなどサブカル分野を取材すること20年以上。現場から経営までの取材経験を元に、取材側から見える視点、今だから明かせる昔話、業界の矛盾などに切り込みます。ネット向け記事を執筆して多くの話題を提供した実体験を元に、記事を作る上での“仕掛け”なども明かします。記事の制作が効率優先のお手軽になりつつある現状を勝手に憂いつつ、情報の発信方法に悩む皆様の“助け船”になれば幸いです。

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