スマホ版「ラブプラス」も終了へ ガチャ一辺倒でスマホゲーム“屍の山”

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 スマートフォン用ゲーム「ラブプラス EVERY」のサービスが8月で終了すると発表されました。国内のスマートフォン市場は右肩上がりですが、人気コンテンツでも1年足らずでサービスに幕を下ろすという、厳しい現実が突きつけられています。厳しいスマホゲームの事情について探ってみます。

◇スマホゲーム続々終了

 「ラブプラス」は、3人の美少女キャラクターのうち1人との濃密なコミュニケーションを楽しむ恋愛ゲームです。他のゲームでは恋人になって終わり!……というゲームが大半ですが、「ラブプラス」は、恋人同士の甘い時間の演出に重きが置かれています。DS版や3DS版では、実際にゲーム機(カノジョ)を手に旅行に行くユーザーが続出するほど、人気のあるゲームでした。

 スマホ版は、昨年10月に鳴り物入りでサービスが始まったものの、直後に不具合が発生して1カ月強のメンテナンスに突入。恋人のビッグイベントであるクリスマスイブ前には再開にこぎつけたものの、悪い流れは断ち切れませんでした。「ラブプラス」はもともと買い切り型の携帯ゲームソフト向けに作られたものです。スマホゲームに合わせてゲームシステムを変更するのは、至難の業といえます。ある意味、仕方のないところもあります。

 そして、今年に入って有力スマホゲームのサービス終了が相次いでいます。「ドラゴンボールZ ブッチギリマッチ」と「聖闘士星矢 ギャラクシースピリッツ」が今年3月、「ファイナルファンタジー」の野島一成さんら豪華な開発陣で話題になった「最果てのバベル」が4月に幕を下ろしました。「はたらく細胞」や「蒼き鋼のアルペジオ」などのアニメ化作品のスマホゲームも終了し、「パズドラW」や「ポケモンスクランブルSP」といった有力IPを使ったスマホゲームも終了を発表しました。まさに“屍(しかばね)の山”が築かれています。

 ではスマホゲーム市場が縮小したかと言えば違うのです。矢野経済研究所が今年2月に発表した2018年度の国内スマホゲーム市場規模は前年度比5.4%増の1兆850億円で、2020年度の予測も1兆1920億円と右肩上がりなのです。

国内スマホゲーム市場の推移=矢野経済研究所HPから
国内スマホゲーム市場の推移=矢野経済研究所HPから

 ではなぜ“屍の山”になるのかといえば、「パズル&ドラゴンズ」や「モンスターストライク」などビッグタイトルが上位を占めたままで、そこに新規タイトルが食い込むのは極めて難しいからです。しかし人気のスマホゲームでも収益が低下し、決算では株主から厳しい目線を向けられています。新規と人気作のいずれも苦戦という構図なのですね。

 そんな厳しい状況の中、「マリオ」や「ドラゴンクエスト」の名前を冠するビッグコンテンツが圧倒的に有利となります。新規だけでなく既存のユーザーをどんどん奪い取りますし、ビッグコンテンツの激突の様相を呈しているので、普通の会社は指をくわえて見るしかありません。おまけにスマホの高性能化を受けて、グラフィックの向上による開発費の高騰もネックになっています。

◇限界も「ガチャ」頼み変わらず

 スマホゲームは、基本無料で遊べることを武器にして市場を拡大してきましたが、数年前から壁に当たっていると指摘されているにもかかわらず、その流れが動きません。ゲーム内容が、ギャンブルのようなランダム要素の「ガチャ」一辺倒で、似たり寄ったりなのです。これはスマホゲームの開発者が悩む問題でして、打開できないのが現状です。

【参考】元ソーシャルゲーム開発者が語る、ガチャの功罪とは──「繊細に綿密に作ったゲームが、ガチャの快感になぎ倒されていく」(電ファミニコゲーマー)

 もちろん、開発者も手をこまねいているわけではありません。スマホゲーム市場は、2割の課金ユーザーが市場を支えていると言われてきました。そこで、8割の無課金ユーザーから「広く浅く」収益を得る方法を模索しています。「ポケモンGO」は当初から「広く浅く」の課金を目指す方向性を打ち出してきました。しかし、他ゲームがそれに追随する流れにはなっていません。コアユーザーから収益を上げるほうが数字(売り上げ)が読めるため、このビジネスから動かないわけです。

 さらにスマホゲームは、プレーをやめるとき「飽きる」か、サービス終了しかありません。蓄積したデータが「ゼロ」になり、ブランドのイメージはマイナスになります。それを嘆くクリエーターの声も実際にあります。

 一方、家庭用ゲーム機のソフトは、「エンディング」という結末があり、区切りをつけられます。そのため、ブランドイメージがプラスになりやすく、それが後々の続編やシリーズにもつながっています。

 ゲームの市場規模から見れば、メインはスマホゲームであり、家庭用ゲーム機は既に傍流に過ぎません。ゲーム業界団体のCESAが発行する「CESAゲーム白書」によると、2018年の家庭用ゲーム機(ハード)市場が1710億円、ソフト市場が1796億円です。「2018年」と「2018年度」で期間が3カ月ずれるため、あくまで参考としての比較になりますが、ハードとソフト合計の3506億円でもスマホゲーム市場の約3分の1、ソフトだけで比べれば2割にも届きません。

 しかし、家庭用ゲーム機用ソフトは、定期的にシリーズものを展開し、10年、20年にわたって収益が見込めるビジネスモデルを確立しています。東証一部上場企業の決算を見ても、家庭用ゲーム機を展開する企業は軒並み好調で、逆にスマホゲームを主力にする企業はほぼ苦戦の傾向にあります。

 ゲーム業界に詳しいゲーム教育ジャーナリストの小野憲史さんは「要するにガチャ以上にもうかる仕組みがまだ発明されていないからです。以前は複数作り、うち一つが当たれば良かったのですが、開発費用の高騰でそれが厳しくなってきたのです」と指摘しています。そんな状況に見切りをつけて、少人数でのゲーム開発に取り組む「インディーズゲーム」などを手掛ける流れもあります。

 「ガチャ」を武器にここ10年で急成長したスマホゲームですが、次のビジネスモデルを確立しないかぎり、このまま血みどろの競争を続けることになりそうです。

ゲームを愛するものの、ゲームには愛されないヘタレなゲーマー。ゲーム好きが高じて、記者として兜倶楽部にも出入りし、決算やメーカーの各発表会、PS3の米国発表会、中古ゲーム訴訟、残虐ゲーム問題など約20年間ゲーム業界を中心に取材をする。合わせてアニメやマンガにも手を伸ばし、作品のモデルになった場所をファンが訪れる“聖地巡礼”現象も黎明期から現地に足を運ぶなどしている。マンガ大賞の選考員も担当しており、好きなジャンルはラブコメ、歴史もの。

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