任天堂のスイッチライト10日間で195万台の意味 日本市場の低迷示唆か

ニンテンドースイッチライト=任天堂提供

 任天堂の2020年3月期の中間連結決算(2019年4~9月)が10月31日に発表されました。ニンテンドースイッチの低価格版「ニンテンドースイッチライト」(9月20日発売、1万9980円、税抜き)がわずか約10日間で195万台売れました。決算の数字を丁寧に追って分析すると、スイッチの年間出荷数2000万台が現実味を帯びている状況などが見えてきました。

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 任天堂の中間決算は、売上高が前年同期比14.2%増の約4440億円、本業のもうけを示す営業利益が同53.4%増の約942億円で、増収増益でした。株主もホクホクでしょうが、スイッチは今が“収穫期”ですから当然です。注目ポイントは、スイッチシリーズの出荷数が年間2000万台を突破する流れにあるかどうかです。

 なぜかといえば、WiiやニンテンドーDS、PS2、PS4といった大成功したゲーム機がいずれも超えた“合格ライン”だからですね。そしてそのカギを握るのが、スイッチより1万円安くした低価格ゲーム機のスイッチライトです。ゲーム機の“値下げ”はユーザーの拡大に貢献するのですが、スイッチライトが「携帯ゲーム機」に特化したため、特に欧米で受け入れられないのでは?という疑問が、業界にあったからです。発表時に聞いても否定的な意見や懸念ばかりでした。

 任天堂の第2四半期(2019年7~9月)のスイッチシリーズの出荷数は約480万台でした(4~9月の合計は約693万台)。内訳はスイッチが約285万台、スイッチライトは約195万台。発売期間が10日間しかなかったのに、購入者の約4割がスイッチライトでした。もちろん前年同期のスイッチの出荷数は約319万台ですから「スイッチの数字がスイッチライトに食われた」という見方もできますが、前年同期比で約160万台増は大きいといえます。

 任天堂は「業績予想の変更はなし」として、スイッチシリーズの計画出荷数を1800万台から動かしませんでした。スイッチの残り半年(2019年10月~2020年3月)の売れ方が昨年度と同じと仮定すれば、1881万台です。昨年度は目標2000万台のところが結果は1695万台でした。約300万台も及ばなかったので、堅実に見るのは、ある意味妥当でしょう。

 ですがスイッチライトが売れて最大商戦期を迎えるところに加え、今月に「ポケットモンスター ソード・シールド」、2020年3月に「あつまれ どうぶつの森」という2本のビッグタイトルが控えています。こうした状況を踏まえると、ニンテンドーDSや3DSしか持っていない子供たちの需要を取り込む可能性は高く、有力ソフトの発売延期などのトラブルがない限りバラ色の未来しか見えません。

 ちなみにスイッチライトの約195万台の出荷内訳ですが、日本は約39万台で、米国約80万台、欧州は約54万台、その他が約22万台でしたから日本の占める割合は2割、欧米は約7割ということになります。これまでのスイッチシリーズの累計出荷数の比率は日米欧でだいたい1対1.6対1で、元々米国に強いのが特徴ですが、スイッチライトは「携帯ゲーム機が売れない」とされる欧米に向けてプッシュしているのが分かります。

 スイッチライトの日本の初週販売数を見て否定的な市場の反応もあったようですが、日本の動きだけを見て、世界のゲーム市場を予想するのは無理があると思いますし、1万円の“値下げ”効果は大きかったのでしょう。PS4も日本での苦戦をよそに、欧米で爆発的に売れて累計出荷数が1億台を突破しました。スイッチライトの10日間を見る限り、日本有利とされた携帯ゲーム機でさえこの状況ですから、ゲーム市場における日本の地位は予想以上に低下しているといえそうです。