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モンハン「アイスボーン」出荷数を大胆予想【前編】本編「ワールド」のクリア率高く 売上「ホット」確実

河村鳴紘サブカル専門ライター
「モンスターハンターワールド:アイスボーン」のパッケージアート

 世界で1300万本超を出荷したカプコンの人気ゲーム「モンスターハンター:ワールド」の超大型拡張コンテンツ「モンスターハンターワールド:アイスボーン」が6日に発売されます。ワールドクラスのコンテンツだけに、どのくらい売れるかでも注目なので、大胆に「アイスボーン」のダウンロード数を含む出荷数を予想してみました。

 「モンスターハンター」シリーズは、大森林や砂漠などを舞台に巨大なモンスターと戦うアクションゲームで、最大4人の通信協力プレーが楽しめるのがミソです。「モンスターハンターポータブル 2nd G」(PSP)は、ゲームをする若者があちこちの店で長時間居座るなど社会的な現象となりましたね(もう10年以上前の話)。18年1月に発売された「モンスターハンター:ワールド」は、久々の据え置き型ゲーム機向けにして映像を重視、欧米のプレーヤーが好むシステムにしたところ、予想を超える世界的な大ヒットとなりました。

 実は同作の発売前、ゲーム誌「ファミ通」の編集長などを務めた「Gzブレイン」の浜村弘一さんが「うまくすれば世界で1000万本が狙える」と予想しましたが、ネットの反応は「ありえない」という見方が大勢を占めていて、証券会社の担当者さえも否定的でした。私もロングテール的には可能にしても、発売から約半年での大台到達は予想外でした。PSP版のヒットもそうでしたが、社会的な現象を起こすクラスのヒット商品は、狙ってできることではありませんから、仕方のないことですね。

 さて追加コンテンツの「アイスボーン」を遊ぶには本編「ワールド」が必要になり、ゲーム1本分相当の価格(4800円)になっています。私もベータテストも遊んでみましたが、雪での戦いが楽しいのが印象的でした。ちなみにカプコンに「アイスボーンの予約数、目標数を教えて」と図々しく尋ねましたが、苦笑いされて教えてもらえませんでした。

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 さて「アイスボーン」がどれだけ売れるかの予想に入ります。同作は、本編「ワールド」をクリアしている人向けの、上級者向けコンテンツでして、本編「ワールド」を既に持つ人向けのダウンロード版と、「ワールド」を持ってない新規ユーザーを対象にしたセット版の2種類があります。分けて考える必要があるので、まず前者のケースを考えてみましょう。

 「アイスボーン」の数値を予想するためには、「ワールド」の(想定)販売数を出す必要があります。同社が発表した「ワールド」の出荷数(1300万本以上)は、メーカーが店に卸した数であって、実際にプレーヤーが購入した販売数ではありません。追加コンテンツのダウンロード版を買うのは、既に持っている人が主力ですからね。

 ゲームの販売数は、タイトルごとにばらつきがあるので予想が難しいのですが、初週の消化率(販売率)が6割で合格、7割で好調、8割だと絶好調で欠品の可能性……というのがゲームの営業担当の基準です。さすがに発売から1年以上が経過して売れ行きも落ち着いていますから、販売数は7~8割と見るのが妥当でしょう。

 ただし「ワールド」は、ネット販売も好調でして、ネット販売は「出荷=販売」になります。パッケージ版とダウンロード版の比率は、日本では9対1というレベルなのですが、海外になると話は変わり5対5になるケースもあるほどダウンロード販売が強いのです。カプコンによると「ワールド」の地域別売り上げで海外の割合は75%(日本は25%)で、かつダウンロード版が想定以上に売れたことも明かしています。一連の事情などを考慮して、販売数は出荷に対して強気に8割と想定します。すると販売数は1000万本超になります。

 ベースの数字から、続いて「アイスボーン」の予想ダウンロード数を割り出しましょう。ゲーム業界団体のCESA(東京都新宿区)が発行する「2019 CESAゲーム白書」によると、家庭用ゲーム機の追加ダウンロードコンテンツ購入の割合は、29.4%となっています。それを当てはめれば約300万本となります。「アイスボーン」は追加コンテンツですが、実質的にはソフトを買う感覚のため、この数値も上ブレする可能性が高いでしょう。

 もう一つのデータからも考えましょう。PS4にはプレーヤーのゲームのやり込み具合を表示する機能「トロフィー」があり、そこで「ワールド」のエンディングを迎えたプレーヤーの割合が約45%と表示されています。ゲームの難易度、他のゲームと比較しても「ワールド」のクリア率は高めでよく遊ばれていますね。そこから「アイスボーン」をすぐ遊べるプレーヤーの数は約450万人と推測できます。エンディングまで遊んだプレーヤーは、相応に買うと考えてよいでしょう。そこから8割が買えば約360万本、9割であれば約405万本となります。

 追加コンテンツにもかかわらず、人気シリーズの「ドラゴンクエスト」や「ファイナルファンタジー」の全盛期の国内出荷数に匹敵、もしくは上回るとんでもない数です。ゲーム会社が世界で勝負しようとすることが理解できますね。

 ちなみに大手ゲーム会社の営業経験者に「アイスボーン」の販売数を経験から予測してもらったところ「うーん、(新規を含めて)5割買えば十分だと思いますよ」との回答でした。ここでも上記の推測の数字と近いところに着地しますね。タイトルは「アイス」ですが、販売成績は「ホット」になりそうです。(明日掲載の後編に続く)

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サブカル専門ライター

ゲームやアニメ、マンガなどのサブカルを中心に約20年メディアで取材。兜倶楽部の決算会見に出席し、各イベントにも足を運び、クリエーターや経営者へのインタビューをこなしつつ、中古ゲーム訴訟や残虐ゲーム問題、果ては企業倒産なども……。2019年6月からフリー、ヤフーオーサーとして活動。2020年5月にヤフーニュース個人の記事を顕彰するMVAを受賞。マンガ大賞選考員。不定期でラジオ出演も。

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