ゲーム会社は“優等生” 簡単に分かる決算の見方

(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

 会社の“成績表”と言える決算ですが、経営者でも経理担当でもなく、簿記を知らない人であれば、「よく分からない」というのは、もっともな意見です。ですが、基礎的なことは簡単に分かるもので、かつ面白い情報を読み取れます。ゲーム会社を題材に、簡単に分かる基礎ポイントをお伝えします。

 決算といえば、PLやBS、営業外収益、負債など難しい言葉が並びますが、放っておきましょう。まずは冒頭の決算短信の1ページだけを見て、そこにある「売上高」と「営業利益」(赤字だと「営業損失」と名称が変わります)の二つが分かればオッケーです。

 簡単に説明すると、売上高は、会社が活動して手に入れたすべてのカネです。そして営業利益は、「利益」が意味する通り、会社が本業で稼いだもうけです。

 このままでは分かりづらいので、ゲーム会社に置き換えてみましょう。ゲームソフトを作って売り、得たカネが売上高です。正確には、ゲームソフトの販売以外で会社が得たカネも売上高に入りますが、普通であればゲームソフトの販売で得たカネが最も大きくなり、売上高の大半を占めます。

 営業利益は、ゲームソフトを売って得たカネから人件費、材料費などのコストを引いた差額です。ちなみに決算短信には、「当期純利益」という用語があり、営業利益と似ているので注意してください。ちなみに当期純利益は、会社の最終的な利益を指します。

 一見すると「当期純利益の方が大切では?」と思えるかもしれません。しかし決算が分かる人は、まず営業利益の方を見て、それから当期純利益と比べます。経済系の決算記事を見てもらえれば分かるのですが、まず売上高と営業利益に触れているのがほとんどです。当期純利益もよく出る用語なのですが、売上高と営業利益の二つの用語の扱いが上になっています。

 営業利益と当期純利益の違いを理解するため、またゲーム会社に置き換えてみましょう。ゲームソフトが売れないと、黒字が減り、最悪だと営業赤字になります。このままでは倒産する可能性があるので、持ちビルを売ったりしてカネを得て、本業の失敗(ゲームソフトの不振)をカバーして最終的な黒字を確保しようとします。つまり当期純利益は、経営陣がコントロールできるのです。

 そこで取材側は、営業利益を見るわけです。営業利益が悪いのに当期純利益が良いと、「本業が良くないな。危ないかな?」となるわけですね。

 さらに売上高と営業利益の二つの数字を比べることも大切です。基本的には「営業利益は、売上高の1割が理想」と考える人が多いですね。

 このバランスは業種によっても、前年度の成績によっても、合格のラインが変わってきます。ただゲーム会社の場合は、営業利益が売上高の2割以上の好成績になることが少なくありません。私が大手ゲーム会社の決算記事を出したとき、先輩記者は「(利益が出すぎて)おかしい」とよく苦笑いしていました。

 なぜゲーム会社が好成績を出せるのかといえば、もちろん理由があります。ゲームソフトの開発は、人件費の塊で、材料費が極端に少ないためです。材料費のメインといえば、ディスクとパッケージだけ。ハードメーカーに払うライセンス料を入れても他の業種に比べて材料費がかなり安く、爆発的な利益が出せます。ゲーム会社は高い利益を稼げる“優等生”なのです。