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橋本vs久保、上田vs植田&昌子、川崎対決も?A代表vsU-24代表の布陣を予想

河治良幸スポーツジャーナリスト
筆者撮影

3日に札幌で予定されていたジャマイカ戦がジャマイカ側の移動トラブル(欧州側から向かう10人が新型コロナウイルスの陰性証明の書類に不備があり、現地空港の税関を通過できなかった)により、半数のメンバーが政府の定める特例条件を満たす期限に間に合わないため、中止となってしまいました。

そうした中で”ウルトラC”として実現することになったのがA代表とU-24代表によるチャリティマッチです。東京五輪のための最終サバイバルとなるUー24代表は5日には福岡でガーナ戦があるため、移動の負担や過密日程による選手のコンディションを不安視する声もあります。

しかしながらU-24代表側にも前向きな要素はあります。代表戦は基本的に国際戦でどれだけできるかを観る機会ですが、本大会で五輪代表を率いる森保一監督に対戦相手として直接アピールすることができます。

関連記事:東京五輪へのラストサバイバル。U-24日本代表のアピール合戦を展望する。

「この試合ができることの喜びのほうが大きいですし、試合が多くなればアピールのチャンスも増えるのでそこは歓迎しています」

と三好康児(アントワープ)が語るように、東京五輪の最終選考を意識した27人が2試合で十分な出場時間を確保するのは難しく、3試合あれば選手はアピールする時間が増えることは確かです。森保監督や横内コーチが試合でチェックする時間も増えて、オプションをテストする余地も出てくるかもしれません。

ただ、実際問題としてガーナ戦との間隔や国内組が合流して3日目に試合ということを考えると、基本的にはオーバーエイジを含むミャンマー戦のメンバーが中5日でA代表との試合ではメインになると想定できます。ただし、GKとFWにはA代表からU-24に流れた選手がおらず、そこは国内組からコンディションの良い選手を起用していくことになりそうです。

そうした観点も含めて両チームのスタメンを予想するとこうなります。

■A代表

----------------大迫------------------

南野----------鎌田-------------伊東

---------守田-------橋本-------------

長友----昌子------植田-------室屋

-------------シュミット-------------

監督:森保一

■U−24(4−2−3−1の場合)

----------------上田------------------

遠藤渓-------久保-------------三好

---------中山------遠藤航-----------

古賀----板倉------吉田-------酒井

----------------大迫------------------

監督:横内昭展

■U−24(3−4−2−1の場合)

----------------上田------------------

---------久保---------三好-----------

遠藤渓--中山------遠藤航----菅原

-------板倉----吉田-----酒井-------

-----------------大迫------------------

A代表の方は基本的にミャンマー戦のスタメンからオーバーエイジの3人を抜かし、そこに室屋成(ハノーファー)、橋本拳人(ロストフ)、昌子源(ガンバ大阪)を入れた形です。ただセンターバックに関しては一人が必ず週明けから合流の国内組になる中で、谷口彰悟(川崎フロンターレ)か中谷進之介(名古屋グランパス)が入る可能性もあります。

一方のU−24ですが、オーバーエイジ以外にも9人のA代表選手がいます。彼らは代表で調整してきており、コンディションに加えてオーバーエイジとの連携面にもアドバンテージがあります。

ただ、ミャンマー戦にも帯同していた堂安律(ビーレフェルト)が左膝、冨安健洋(ボローニャ)が右膝に違和感を抱え、別メニュー調整してきた事情があり、堂安はすでに全体練習に合流しているとはいえ、ここで無理をさせない可能性が高いです。

また国内組では三笘薫(川崎フロンターレ)が初日に少しランニングしただけで、あとはマット運動だけで切り上げており、左サイドには遠藤渓太(ウニオン・ベルリン)や相馬勇紀(名古屋グランパス)もいることから、今回はよりコンディションの良い二人が優先的に起用されるはず。

山根視来(川崎フロンターレ)が「本当に頼りになる存在なので、相手にしたらすごく厄介な選手であるとは思いますけど、こっちも一緒にやっているし、負ける気はさらさらないので、がっちりいってやりたい」と語る川崎対決が実現すれば楽しみですが、その後の試合でも生き残りへのアピールのチャンスは十分にあります。

左サイドバックは3月のアルゼンチン戦で1試合目に先発起用された旗手伶央(川崎フロンターレ)もいますが、土曜に試合をしている古賀の方がタイトではないということでスタメンにしました。ただし、マルチロールである菅原由勢(AZ)が左サイドバックに回る可能性もあります。

3−4ー2ー1の場合は2列目が二枚になり、代わりにセンターバックが一枚入りますが、右ウィングバックを菅原か橋岡大樹(シント=トロイデン)が担い、酒井宏樹は3バックのストッパーに入ると見ます。

ただ、オーバーエイジをこの期間にフィットさせながら、彼らとの相性をチェックすることが目的なので、フルに出る可能性は高くないはず。ガーナ戦に向けて45分で退く可能性もあります。その場合は橋岡が3バック右で菅原がウィングバックと言う関係になるかもしれません。

前半と後半でガラリとメンバーを替える形を取るのか、それとも公式戦をある程度想定した起用になるか分かりませんが、A代表もU-24も国内組の多くは後半に出場機会を得る流れになると見ています。

筆者の予想で行けば元FC東京の橋本拳人と久保建英(ヘタフェ )が中盤でマッチアップ。元鹿島の昌子が楽しみな相手の一人にあげていた上田綺世とのマッチアップが実現します。もちろん同じく鹿島にいた植田直通(ニーム)との”UEDA対決”が実現する可能性が高そうです。

A代表から見て右サイドでは元柏の伊東純也(ゲンク)と古賀太陽(柏レイソル)のマッチアップが見られるかもしれません。また原口元気(ハノーファー/ウニオン・ベルリンに移籍決定)が左サイドで出れば、橋岡大樹との浦和ユースの先輩後輩による対戦になります。ボランチで昨シーズンまで一緒にプレーしていた守田英正(サンタ・クララ)と田中碧(川崎フロンターレ)の対戦が実現するとしたら後半でしょうか。

とにかく楽しみな要素は多い試合ですが、両チームにとって良い強化になると同時に、怪我なく試合を追えられることを願っています。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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