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ルヴァン杯で猛アピール。J1リーグでの活躍が期待される気鋭のタレント5+

河治良幸スポーツジャーナリスト
ブルーノ ウヴィニ / 写真提供 F.C.TOKYO

J1リーグは開幕からシーズンのおよそ3分の1を消化しました。並行して行われているYBCルヴァン杯も第4節を終えています。

ルヴァン杯は重要なタイトルの1つですが、リーグ戦になかなか絡めていない選手がチームの監督にアピールできる場所でもあります。

今回は水曜日に行われたルヴァン杯の第4節から今後のJ1リーグでの活躍が期待できるタレントをピックアップしました。

高橋秀人(横浜FC)

ルヴァン杯の柏戦でセンターバックの一角を担い、2−0の勝利を支える活躍を見せました。ディフェンス面では対人戦だけでなく、後ろからのコーチングで周囲を支え、意図の見える組み立てで攻撃にも良い影響を与えるなど、ゲームコントロールのプラスが目を引きます。

サガン鳥栖から加入した高橋。怪我からの長いリハビリを乗り越えてルヴァン杯で復帰6デビューを果たしましたが、攻守に芯を通せる選手が加わることで、リーグ戦でここまで勝ち点2と苦しむ横浜FCにどういう変化がもたらされるのか、早川知伸新監督の今後の起用に注目です。

樺山諒乃介(横浜F・マリノス)

川崎とのリーグ開幕戦でデビューした高卒ルーキーですが、その後はなかなか出番を得られない中でルヴァン杯が主戦場となっています。しかし、仙台戦では得意のドリブルを生かしたゴールに加えて、守備でも成長を見せました。

前半いっぱいで交代したのはおそらく体力面の課題によるものですが、週末のFC東京戦でのベンチ入りにも期待が持てます。個の打開力には疑いの余地がないタレントですが、マリノスのスタイルを考えれば、コンビネーションの中で周囲を邪魔することなく、自分の持ち味を発揮できるかが鍵です。その意味でも明るい兆しが見えた試合でした。

杉岡大暉(鹿島アントラーズ)

サガン鳥栖を相手に2−2で引き分けた試合の中で、最大級のインパクトを残したのが左サイドバックの杉岡です。CKからヘディングでゴールを決めると、質にこだわっているというクロスをファーサイドの広瀬に合わせ、相手のオウンゴールを誘発しました。

もともと東京五輪の主力候補にも挙がっていたタレント。昨シーズンから加入した鹿島で幸先の悪い怪我もあり、なかなか試合に使われない時期が続いていました。しかし、本人が「ザーゴ前監督のもとでも多くのことを学んだ」と主張するように、プレーの視野が広がった中で持ち前の積極性を発揮。相馬直樹新監督のもとチームが上位に浮上する原動力になるだけのポテンシャルは十分にあります。

長沼洋一(サンフレッチェ広島)

2016年に加入してから山形、岐阜、愛媛と期限付き移籍を繰り返し、ようやく戻ってきた広島で、ここまでなかなかリーグ戦の出番がありませんでした。プロ入り後は右サイドがメインでしたが、昨年の愛媛では左サイドでも多く起用され、広島ではトップ下やインサイドハーフでも起用されてきました。

しかし、ルヴァン杯の清水戦では2トップに入り、鮎川峻とともに前線から鋭い攻撃を引き出しました。そして東俊希のクロスから屈強な相手ディフェンスに競り勝ってゴール。さらに最終的にオウンゴールとなる2点目の起点にもなりました。178cmながら身体能力が高く、勢いを持ってゴールに飛び込める特長はシンプルにダイナミックな攻撃を繰り出すスタイルにぴったりで、上位進出の強力なオプションになるかもしれません。

ブルーノ・ウヴィニ(FC東京)

2011年のU−20W杯で、ブラジル代表のキャプテンとして優勝トロフィーを掲げた選手であり、ロンドン五輪で銀メダルを獲得。オランダのトゥウェンテでレギュラーを務めるなど、抜群の経験値と実績を誇るセンターバックです。

”Jリーグバブル”を経て、ようやくチームに合流してきた新外国人選手ということで、上記の4選手と立場は異なりますが、間違いなくリーグ戦の主力を担っていく資質をルヴァン杯の徳島戦で示しました。1−1の引き分けとなった試合で、失点シーンは右サイドを崩された形でしたが、対人戦で強さを発揮。大卒ルーキーの蓮川壮大とのコンビも良好で、レアンドロのCKをファーサイドで合わせるゴールも圧巻でした。

現在のFC東京は森重真人が中盤のアンカーで起用される試合も増える中で、最終ラインの対応の甘さが失点を招く試合が目立っており、ゴール前のタイトな守備を統率できる存在が必要な状況でした。ブルーノ・ウヴィニはまさにうってつけの存在で、同時に渡辺剛などセンターバック陣に刺激を与える存在としても期待されます。

そのほか、新加入選手やルーキーではサガン鳥栖福井太智が鹿島戦で湯澤洋介の同点ゴールをアシストするなど、「何もできなかった」と語った開幕戦の同カードとは明らかに違う存在感を見せ、大分トリニータの屋敷優成もゴールこそ無かったものの、中盤で起用された弓場将輝や右サイドの黒崎隼人との連動から、持ち前のスピードで神戸のディフェンスを脅かしました。

そして浦和レッズの期待の高卒ルーキー藤原優大が湘南戦でウェリントンに競り勝つなど、絶対の自信を持つ空中戦でアピール。ユース出身のGK鈴木彩艶や左サイドバックの福島竜弥とともに、リーグ戦デビューに向けてアピールしていたのが印象的です。J1の各クラブにとって収穫のあったルヴァン杯の第4節。週末のリーグ戦での起用法にどう影響してくるのか注目です。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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