7月4日に再開するJ1。現在はサブだが、チャンスをもらえれば間違いなくブレイクする7人

(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

7月4日に再開する明治安田生命J1リーグ。開幕から4ヶ月が経ち、中断期間でいかに準備できたかが再開後のスタートダッシュにかかってきそうです。どのクラブにも現時点でおおよそレギュラーとサブの序列は存在するが過密日程、しかも5枚まで選手交代が認められる特殊なレギュレーションの中で、通常より多くの選手にブレイクのチャンスがあるはず。

今回は筆者の独自の視点で、現在はサブでもチャンスをもらえれば間違いなくブレイクしそうな7人をピックアップしました。

小泉慶(鹿島アントラーズ)

ザーゴ監督のもとボールポゼッションをベースにした新しいスタイルにトライしている鹿島アントラーズですが、J2のFC町田ゼルビアとの45×4本マッチなど観ても、まだまだ戦術の浸透に時間がかかることを認識させる内容でした。そうした中で目を引いたのが、2本目の途中からレオ・シルバに代わり、ボランチに入った小泉慶です。

攻撃時はパートナーの三竿健斗がセンターバックの間に入り、一時的な3バックを形成するシステムの中で、中盤のスペースにうまく顔を出してパスを引き出し、高い位置でチャンスの起点になれていました。攻守の切り替わりにおける守備やカバーリングも素晴らしく、自陣のバイタルエリアにおける守備も効いていました。

現状では三竿とレオ・シルバという前体制からのコンビがそのまま2ボランチの主力を構成している様子ですが、ザーゴ監督のスタイルとの相性を考えると、このコンビは少し役割分担を明確にしにくい向きもあります。小泉はサイドバックやサイドハーフも高水準にこなせることから、良くも悪くも”便利屋”と見られがちですが、新しいスタイルが彼の新境地につながる可能性は高いかもしれません。

宮代大聖(川崎フロンターレ)

リーグ開幕戦は長い時間ボールを握り、チャンスも作りながらサガン鳥栖の堅守を打開することができず、スコアレスドローに終わった川崎フロンターレ。鬼木達監督が4年目を迎えるチームですが、左右のウィングが幅を取る4ー3ー3という新しいスタイルに取り組むプロセスにおいて、中断期間にどこまで攻撃がブラッシュアップされているかが再開後の躍進の鍵を握りそうです。

残念なのは小林悠が、右膝関節内遊離体により再開後の数試合を欠場することが確実になったことです。ストライカーとして頼りになることに加えて、4ー3ー3のセンターフォワードと右ウィングの2ポジションをこなす小林の離脱はかなり痛いでしょうが、同じ2ポジションをこなす若い宮代には大きなチャンスです。

昨シーズンの途中、J2のレノファ山口に期限付き移籍し、指導力に定評のある霜田正浩監督のもとで攻撃ビジョンに磨きをかけた宮代。もともとUー17日本代表の頃から現在はA代表の久保建英(マジョルカ)に次ぐ注目株でしたが、器用すぎるところがフィニッシャーとしての壁を作ってしまっていた向きもあります。

しかしながらキャンプでの動きなど見ても”武者修行”を経験して、非常にたくましさを増した感があります。「シュート技術なら川崎でナンバーワン」と先輩の選手たちからも認められ「川崎の大砲」の異名を取る宮代が大きく飛躍する時が来たかもしれません。あとは鬼木監督がいかに起用し、宮代がゴールという結果で期待に応えられるかだけでしょう。

梅田透吾(清水エスパルス)

アカデミー育ちの2000年生まれ。184cmとGKにしては大きい選手ではありませんが、非凡な観察眼に裏打ちされたポジショニングからのセービング、広域のカバーリングなど、ポテンシャルは東京五輪の守護神候補である大迫敬介にも迫るものを感じさせます。すぐにでも試合に出て実戦経験を積めば来年に延期された東京五輪の候補に滑り込んでもおかしくないというのが筆者の評価です。

しかし、ピーター・クラモフスキー新監督が攻撃的なスタイルを導入している清水エスパルスにはネト・ヴォルピというインターナショナルな新守護神がおり、まだまだチームの戦術に多くの課題が見られる中で、最後の砦として多くのピンチを防ぎ、鋭い弾道のロングフィードでも存在感を示しています。

過密日程と言ってもG Kというポジションで若手が出場チャンスを得ることは簡単ではありませんが、そうした厳しい立場を覆してチャンスを掴めば、大きくブレイクする可能性があると見ています。

菊池流帆(ヴィッセル神戸)

イニエスタ、ドウグラス、酒井高徳らを擁するJリーグ屈指のタレント集団であり、ドイツ人のフィンク監督のもとで組織的にも進化しているヴィッセル神戸ですが、ディフェンスラインが優勝争いに絡んでいくための生命線であることは確かでしょう。ベルギー代表のフェルマーレンという実力者はいるものの、全体の中で層が厚いとは言い難いポジションがセンターバックで、場合によっては移籍期間が延びた秋口の補強もあり得ます。

しかし、J2のレノファ山口から加入した菊池流帆が主力のフェルマーレンや大崎玲央に迫り、一気に追い越すぐらいの台頭をすれば話は別になります。山口でも最初のうちはミスも多く、ビルドアップにも大きな課題がありましたが、試合を重ねるごとにグングン伸びてJ1神戸への移籍を勝ち取ったタレントです。

ラインコントロールは現時点で不安は拭えませんが、卓越した身体能力と対人守備のセンスは代表クラスと言ってもおかしくないだけに、フィンク監督が求める戦術をどれだけ理解して、身に付けているか。再開後の飛躍が非常に楽しみな選手の1人です。

渡辺皓太(横浜F・マリノス)

攻撃の起点としてのセンスはJ1でもトップレベルですが、J1王者の横浜F・マリノスには喜田拓也と扇原貴宏というJリーグを代表する中盤のコンビがおり、もともと主力だった天野純もベルギーから帰ってきました。そういう意味で、過密日程であっても当面はなかなかチャンスを得にくいかもしれません。

ただし、中立地での集中開催が有力となっているACLもあり、シーズンの中では確実にアピールの機会があるはずです。昨シーズンも出場機会が無かったわけではありませんが、どうしても喜田や扇原の補佐役、もしくは試合の途中から流れを作る”サーキュレーター”としての役割がメインで、本来のゲームメイクや全体をオーガナイズしていく能力を発揮しにかった様子です。

彼が本当の意味でのブレイクを果たすには東京ヴェルディ時代のようにスタートからしっかり出て、90分のパフォーマンスで評価されることが必要になるので、果たしてそのタイミングがいつになるのか期待して、あまり焦らずに見守って行きたい選手です。

鮎川峻(サンフレッチェ広島)

パリ五輪世代の2001年生まれ。秋に予定されるAFC Uー19選手権の候補でもありますが、西川潤(セレッソ大阪)や斉藤光毅(横浜FC)など注目のタレントが揃うこの年代でも、実際に現場でチェックして最も目を引いたひとりが鮎川です。アンダー代表ではサイドハーフがメインのポジションですが、やはりサンフレッチェの基本フォーメーションである3ー4ー2ー1のシャドーがスペシャルなポジションであるようです。

164cmと小柄な体格を生かす俊敏な飛び出し、仕掛けなどがストロングポイントですが、いざコンタクトプレーになっても、自分よりひとまわりも二回りも大きな相手に怯むことなく挑み、セカンドボールを奪い取ってゴールに向かう姿勢が素晴らしいです。サンフレッチェはJ1の中でもとりわけプレーの強度が高いチームですが、そうした環境に揉まれることで持ち前のボールスキルに加えて、判断スピードや身のこなしも磨かれているようです。

サンフレッチェには森島司や東俊希と言った若いタレントも多く競争は激しいですが、5枚という交代枠の恩恵を最も受けそうな選手であり、あまりプレッシャーをかけすぎない範囲で、早期のブレイクに期待しています。

トーマス・デン(浦和レッズ)

東京五輪に出場するオーストラリアUー23代表のDF。実力面では今回あげた7人の中で最も主力レベルに相応しく、もしかしたら再開初戦でスタメンの一角に名を連ねているかもしれません。

浦和のトレーニングマッチを見ていても、2年目の大槻毅監督が新たに取り組んでいる4ー4ー2をベースにした後ろからのビルドアップがうまく浸透しているとは言い難い状況ですが、このデンが4バックの中央にいると安定感がグンと増して、中盤から前の機能性も格段に上がっていました。

今年1月にタイで行われたAFC Uー23選手権に浦和レッズがスタッフを派遣し、右サイドバックとセンターバックのマルチとして獲得されたデンですが、対人戦にめっぽう強く、スピードで負けることがほとんどない守備は粗削りながら、横浜F・マリノスのチアゴ・マルチンスを彷彿とさせるものがあります。

そしてレッズのコーチングスタッフにも驚きを与えたのがビルドアップのセンスと正確なパスでしょう。大柄な体型から無骨なイメージもありますが、実際はかなり器用で足回りが良く、相手FWのプレッシャーをうまくいなしながら、相棒のセンターバックやサイドバックに前を向いて受けさせることができる。これだけで浦和のビルドアップの安定度がかなり変わります。

岩波拓也、鈴木大輔、槙野智章、マウリシオと言った実力者のいる浦和のセンターバック陣ですが、後ろからのビルドアップを生命線とするスタイルでうまく適応できているのが岩波ぐらいで、その岩波も一瞬の攻守の切り替わりにおける対応やデュエルに課題を残しているので、デンとの補完関係はかなり良好です。

橋岡大樹というスペシャルなタレントが超人的な体力でフル稼働している右サイドバックより、センターバックの主力候補としてフォーカスしていく方が得策に思えますが、大槻監督がどういう選択をしていくか楽しみなポイントです。