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欧州主要リーグ初、5月16日に再開するブンデスリーガの注目ポイント

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

ドイツサッカーリーグ(DFL)は新型コロナウィルスの蔓延を受けて休止されていたブンデスリーガを5月16日に再開することを発表しました。

欧州でも被害の規模や対応は異なり、早々に今シーズンの終了を宣言する国も出ていましたが、ドイツ政府はロックダウンを段階的に緩和する方針を示しており、ブンデスリーガについても合意が得られたことで、無観客での再開に踏み切ることになりました。

第26節から再開するブンデスリーガ1部。いきなりドルトムントとシャルケのレヴィアダービーが行われるなど、注目試合が目白押しですが、注目は優勝争いと来シーズンのチャンピオンズリーグ争い。ここまでバイエルンが勝ち点55で首位に立ち、リーグ記録を更新する8連覇も近づいていますが、2位のドルトムントが勝ち点4差で追いかけ、勝ち点50の3位ライプツィヒ、勝ち点49の4位ボルシアMG、勝ち点47で5位のレバークーゼンまでは逆転優勝の可能性が残されていると言えます。

5月16日(土)

ドルトムント vs シャルケ

ライプツィヒ vs フライブルク

ホッフェンハイム vs ヘルタ・ベルリン

アウクスブルク vs ボルフスブルク

フランクフルト vs ボルシアMG

デュッセルドルフ vs パダーボルン

5月17日(日)

ケルン vs マインツ

ウニオン・ベルリン vs バイエルン

5月18日(月)

ブレーメン vs レバークーゼン

チャンピオンズリーグ出場圏内は4位まで。これも上記の5クラブで争われる構図ですが、勝ち点37で、4位のボルシアMGと勝ち点12差のシャルケも数字上は可能性があります。その希望を残り試合つなげる意味でも、ドルトムントとのダービーに是が非でも勝利したいでしょう。ヨーロッパリーグの出場権は6位以内で、現在7位のヴォルフスブルク以下、勝ち点32で10位のケルンあたりまでは射程圏内でしょう。

長谷部誠と鎌田大地が所属するフランクフルトは勝ち点28の12位。6位のシャルケとは勝ち点9差と厳しい状況ですが、、大迫勇也を擁するブレーメンとの第24節の試合が、暴風警報によるヨーロッパリーグの1日延期を受けて延期になったため、1試合少ない状況で、ヨーロッパリーグの出場権もわずかながら可能性が残されている状況です。4位のボルシアMGに勝利して波に乗れるか注目です。

大迫勇也を擁するブレーメンは勝ち点18で現在17位。降格危機にありますが、上記のフランクフルト戦が未消化であるため、勝ち点4差で16位にいるデュッセルドルフ、勝ち点26の15位マインツあたりまで追い抜ける可能性は残していますが、5位レバークーゼンとの対戦でも勝ち点3が求められます。ここまでリーグ4得点の大迫は第13節以降、ゴールがありません。再開後の爆発的な活躍にクラブの命運もかかっています。

得点王争いはバイエルン・ミュンヘンのレバンドフスキが25得点でトップを走り、2位のヴェルナーが21得点で追いかける状況です。3位のサンチョは14得点なので、上位二人に絞られたと言えるでしょう。ただ、マンチェスター・シティのアカデミー育ちである20歳のサンチョは来シーズンのプレミアリーグ行きも噂されており、残り試合のゴールが”置き土産”になるかもしれません。

そのサンチョに勝るとも劣らない注目株が同じドルトムントのハーランド。ザルツブルクで南野拓実(リバプール)の同僚だった若きノルウェー代表FWは引く手数多の中で、成長に適した環境を求めてドルトムントに加入。ここまで8試合(先発5試合)で9得点を記録しています。さすがに残り試合で得点王争いに食い込むのは厳しいと思われますが、ブレイク中の19歳がどこまで得点を伸ばすかはブンデスリーガを超えた関心を呼びそうです。

さらにレバークーゼンの至宝ハヴェルツをはじめ多くのヤングタレントがひしめくリーグだけに、普段はプレミアリーグやリーガ・エスパニョーラを優先的にチェックしているサッカーファンも、ブンデスリーガに注目する機会かもしれません。

2部に目を移すと、ビーレフェルトが勝ち点51で昇格争いを大きくリードしており、日本代表の遠藤航を擁するシュトゥットガルトが勝ち点44で2位、ハンブルガーSVが勝ち点1差で3位に付けています。4位のハイデンハイムも勝ち点41で射程圏内ですが、シュトゥットガルトとハンブルガーSVというドイツ有数の名門クラブによる昇格争いが最後までもつれれば、大きな注目を集めそうです。

原口元気が所属するハノーファーは勝ち点32の9位。3月に同クラブから新型コロナウイルスの感染者が出て、早期の活動休止を強いられるなど難しい状況からの再開となりますが、原口は自身のインスタグラムなどで元気にコンディション作りをしていることを明かしており、再開後の大活躍が期待されます。宮市亮のザンクト・パウリは勝ち点2差の11位となっています。

シュトゥットガルトは16日にアウェーで16位ヴェーエン、ハノーファーは17日に18位ディナモ・ドレスデン、ザンクト・パウリは14位ニュルンベルクと対戦します。

早くファンサポーターの熱狂に包まれた主要リーグのサッカーやJリーグを観戦したい気持ちはありますが、まず無観客ながら再開するブンデスリーガに注目したいと思います。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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