東京五輪に飛び級選出も?注目のパリ五輪世代セブン

(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

新型コロナウイルスの蔓延をうけて東京五輪が来年に延期、サッカー界もJリーグを含めた世界各国のリーグが中断・中止に追い込まれています。そうした状況でも明るい話題はあります。

延期の特例措置としてU-24の大会になることが決まっている東京五輪のサッカー男子ですが、この1年の延期というのは若手の大きな成長を促し、新たなタレントの台頭にもつながるでしょう。そうした見込みを持ちつつ、東京五輪のメンバーに食い込む可能性もあるパリ五輪世代(2001年以降の生まれ)の代表的な7人をピックアップしました。

彼らの来年予定されるU-20W杯の主力を担いうる選手ですが、一人でも飛び級で東京五輪の競争に加われば、それが東京五輪の3年後、2024年に開催されるパリ五輪、早ければ2022年冬のカタールW杯に向けた新たな力にもなるはずです。

なお、すでにA代表の常連でもある久保建英は”殿堂入り”ということで除外します。

西川潤(セレッソ大阪)  2002年2月21日生まれ

久保をのぞけばパリ五輪世代の筆頭格とも呼べるタレントであり、昨年は飛び級でU-20W杯に出場。さらにU-17W杯で日本のエースとして牽引しました。高度なテクニックに加えて特筆に値するのが強いメンタリティで、立ち居振る舞いやメディア対応など、中堅選手にも引けを取らないものがあります。

ジュニアユースまで横浜F・マリノスのアカデミーでスキルを磨いていましたが、周囲のアドバイスもあり、高校サッカー(桐光学園)の環境に身を置いて心身を鍛えた経歴を持っています。

チャンスメイクからフィニッシュまで、万能性の高いプレーで多くの攻撃に関われる選手ですが、1つ決定的な武器を伸ばせるかどうかが上の世代の競争に加わっていくためには大事でしょう。ただ、どんな選手と組んでも高いパフォーマンスを発揮できるところは強みになるはずです。

斉藤光毅(横浜FC) 2001年8月10日生まれ

切れ味の鋭いドリブルを絶対的な武器にもつ横浜FCアカデミー育ちのアタッカーで、右利きですが”カットイン”からフィニッシュに絡むプレーを生かすべく、左サイドが主戦場になっています。ドリブルはおそらく誰が観ても非凡な才能を感じると思いますが、ワンツーなど周りを使って決定的なエリアに侵入する能力も高いです。

ただ、伸びしろを考えれば、ドリブルに磨きをかけることも大事です。松尾佑介や中山克広などサイドアタッカーの人材が豊富な横浜FCのチーム事情もあり、当面はジョーカーとして投入される機会が多くなりそうですが、再開後の過密日程ではおのずとスタメンのチャンスも回ってくるでしょう。

U-19日本代表の影山雅永監督は西川とともに”飛び級”で参加したU-20W杯の大会中に負傷した斉藤の負担や昇格のかかっていたクラブ事情を配慮し、その後の活動には招集していませんでした。当然、来年のU-20W杯の主力候補ですが、前回の久保建英がそうであったように、東京五輪の有力候補になってU-20の招集が困難になるぐらいの成長が期待できるタレントであることも確かです。

鈴木彩艶(浦和レッズ)  2002年8月21日生まれ

ガーナ人の父を持つアメリカ生まれのGK。まだ高校年代でありながら名門クラブのトップチームで開幕戦にベンチ入り。守護神の西川周作に続く2番手のポジションを掴みつつあります。抜群の身体能力に目を奪われますが、特筆したいのが類い稀な観察眼で、相手の状況と味方のディフェンスを見極めながら、的確なポジションを取って対応に備えることができます。

また今シーズンの浦和はGKからのコーチングを非常に重視している様子ですが、そうした面でも高い資質を見せており、同世代の選手にとってはこの上なく頼りになる存在でしょう。ちなみに「ザイオン」は聖書で丘を意味しますが、まさしく丘のようなGKです。攻撃の起点となるキックやスローもしっかりしています。

パリ五輪世代にはベンフィカU-23所属の小久保玲央ブライアンのようなタレントもいます。まずは今年秋にウズベキスタンで開催されるAFC U-19選手権の守護神争いになりますが、延期された東京五輪に向けても大迫敬介(サンフレッチェ広島)や小島亨介(アルビレックス新潟)の牙城に迫る成長を期待したいところです。

荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)  2002年1月29日

新シーズンの鹿島に加入した高卒トリオの一人。鋭いドリブル突破を持つMF松村優太と得点感覚が抜群のFW染野唯月も有望なタレントですが、ボランチを本職とする荒木は上の東京五輪世代にもいない特徴がある。鹿島でポジションを摘めれば、代表にも直結する可能性が十分にあります。

その特徴は柔軟なボールコントロールと姿勢の良さ。鹿島OBである柴崎岳(デポルティーボ)が憧れという通り、視野が広くピッチを俯瞰的に見て攻撃のタクトを振ることができます。キープ力やパスセンスもあるので、より攻撃的なポジションで起用したくなる監督もいるかもしれませんが、ボランチや3ハーフのアンカーで育てたほうが面白いというのが筆者の見解です。

課題はディフェンスですが、そこは本人も加入当初から主張しているポイントなので、三竿健斗やレオ・シルバと言った先輩たちから貪欲に学びながら、ゆくゆくはポジションを奪う意識で取り組んで行くことを期待したいです。

成瀬竣平(名古屋グランパス)  2001年1月17日

早生まれの2001年なので、パリ五輪世代としては最年長になります。風間八宏前監督が率いていた2018年にJデビューを果たし、昨シーズンも1試合に出ていますが、右サイドバックの宮原和也がキャンプで別メニューになっていたこともあり、プレシーズンの練習試合からファーストチームで出ていました。

そしてルヴァン杯、リーグ戦でも開幕戦に先発しましたが、ベガルタ仙台の攻撃の起点を消しながら、サイドから効果的なパスを前線に供給しました。本来アップダウンを苦にせず、高い位置からクロスに持ち込むなど、もっと攻撃的な特徴を出せる選手なので、再開後にはそうしたプレーも期待したいですが、中村拓海(FC東京)や畑大雅(湘南ベルマーレ)など気鋭のタレントが多い右サイドバックでもクラブレベルでは1つ先を行っている存在です。

半田陸(モンテディオ山形)  2002年1月1日

昨年のU-17W杯で日本のキャプテンマークを巻いたリーダーシップに溢れるタレント。ディフェンスラインならどこでも高水準にこなすことができます。山形のアカデミー育ちで、2019年にプロ契約するなど、パリ五輪世代でも早い時期から注目されていましたが、気持ちの強さはさらなる成長につながる期待を抱かせます。

176cmとサイズに恵まれている訳ではないですがラインコントロール、チャレンジ、カバーリングと守備に関しては全ての面で、この年代で突出したレベルにあります。U-17W杯のラウンド16メキシコ戦は肉離れでベンチから敗退を見届けました。昨年はU-18とトップの”二足のわらじ”を履く生活でしたが、貪欲に3バックの競争に割って入れるか期待です。

守備が強見ながら攻撃面のベースも高く、4バックなら右サイドバックがメインでしょう。ただ、A代表だと遠藤航(シュトゥットガルト)に似たキャラクターがあり、将来的にボランチが勝負のポジションになる可能性もありそうです。

松岡大起(サガン鳥栖)  2001年6月1日

サガン鳥栖が力を入れている育成年代の象徴的な存在であり、2018年に天皇杯でトップデビュー。昨年は高校生ながらカレーラス前監督によりスタメンに抜擢され、金明輝監督に交代してからも多くの試合に起用されました。

サイドハーフもこなしますが、本質的にボランチの選手で、現在のサガン鳥栖では4ー3ー3のアンカーを担っています。昨年、サガン鳥栖U-18を取材した時に、同級生の選手に聞いたところではオフザピッチも含めたプロ意識が非常に高く、チーム全体にも大きな影響を与えいたようです。カレーラス監督も技術面やフィジカル面だけでなく向上心を高く評価していました。

鮮やかなボール奪取、素早いファーストパス、タイミングを見た攻め上がりなど、実戦能力が非常に高い選手で、90分のあらゆる状況に対応することができます。得意のミドルシュートもここというシチュエーションで狙っている様子です。

すでにトゥーロン国際や年末のU-22日本代表にも招集された松岡。アカデミーの同期である本田風智も開幕戦でスタメン出場しており、厳しい経営状況が伝えられるサガン鳥栖を引っ張って行くとともに、彼らが代表レベルでも活躍することがクラブの関係者、ファンサポーターに勇気と希望を与えることになるでしょう。