まさに当たり年。Jリーグの再開後に注目したい東京五輪世代の大卒ルーキーは?

(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

今シーズンのJリーグは”大卒ルーキーの当たり年”です。東京五輪世代ということもありますが、在学中から特別指定として出場経験がある選手を含めて、多くの選手が開幕戦から出番を得て活躍しており、今後の活躍が期待できるタレントも目白押しです。今回はJ1の大卒ルーキーにフォーカスし、再開後の注目選手をピックアップしました。

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FC東京はACLで活躍していた安部柊斗(明治大)が手の負傷で開幕戦を欠場しましたが、再開後のJリーグで注目するべきルーキーの筆頭でしょう。同じ明大卒の中村帆高(明治大)は右サイドバックが本職ながら、J1の開幕戦は左サイドバックで先発フル出場を果たし、紺野和也(法政大)がACLに引き続き、途中出場ながら切れ味鋭い仕掛けで存在感を見せました。FC東京の”大卒ルーキートリオ”はそれぞれ、来年に延長された東京五輪のメンバーに割って入るポテンシャルが十分ありそうです。

川崎フロンターレではU-23日本代表の三笘薫(筑波大)旗手怜央(順天堂大)も途中出場しています。特に後半45分の谷口彰悟からのパスを受けて抜け出した三笘が鋭い切り返しでディフェンスをかわし、折り返しをペナルティエリア内に飛び出してきた旗手が左足で捉えたシーンはゴールにはならなかったものの、大きな可能性を感じさせるものでした。

昇格組の横浜FCでは昨シーズン特別指定選手ながら、左サイドの主力として昇格に大きく貢献した松尾佑介(仙台大)が開幕スタメンを飾っていますが、もう一人、大卒ルーキーとして先発した瀬古樹(明治大)がボランチのポジションから機を見た攻撃参加でクロスのこぼれ球を流し込んで記念すべきデビュー戦ゴールをあげました。

さらにサガン鳥栖ではジュビロ磐田のアカデミー育ちでもある森下龍矢(明治大)が右サイドバックで奮闘し、特に守備ではルヴァン杯の清水戦で猛威を振るったフロンターレの長谷川竜也を封じ、終盤には同じ大卒ルーキーの三笘と激しいデュエルを演じました。

開幕戦では出番がなかったものの、再開後の活躍が期待される大卒ルーキーの一番手は北海道コンサドーレ札幌の田中駿汰(大阪体育大)です。スケールの大きなボランチであり、3バックの中央もこなせるタレントです。守備のデュエルは特筆すべきものがあり、得意と自負する組み立て能力もスピードやプレッシャーに慣れてくれば存在感が際立ってくるはずです。

同じ札幌のMF高嶺朋樹(筑波大)も注目するべきタレントの一人。コンサドーレのアカデミー出身で、筑波大では中盤から三笘薫を擁するアタッカー陣に好パスを配球する存在でした。昨年のユニバーシアードのメンバーでもあった高嶺はボールを奪う能力が高く、そこからファーストパスでチャンスの起点になることもでき、展開力もあります。キャプテンの宮澤裕樹など実力者が揃うポジションですが、プレーの面ではクオリティをさらに加えられる可能性があり、再開後の過密日程で重用される可能性は十分にあるでしょう。

復権を狙う川崎フロンターレには三笘薫と旗手怜央の他にも有望な大卒ルーキーがいます。イサカ・ゼイン(桐蔭横浜大)は昨年の関東大学リーグのアシスト王で、本来はサイドアタッカーとしてもプレーできますが、スピードと運動量を生かしてサイドバックから攻め上がるプレーが期待されます。本人は右サイドが本職と語るものの、キャンプでは左サイドバックでも起用されており、高精度の右足クロスに加えて、左足のバリエーションも増やしていければ出場のチャンスはより増えるはずです。

左利きのセンターバックである神谷凱士(東海学園大)も面白い選手です。左足からの長短のキックは精度が高く、フロンターレが獲得するにふさわしいタレントであることは間違いありません。特に左ウイングに一本で通るワイドな展開は攻撃の幅をもたらす武器です。J3のカマタマーレ讃岐に加入した双子のFW神谷椋士とともに築き上げてきたベースはあると思います。直接的なライバルは谷口彰悟になってくるので、いきなりファーストチョイスになることは不可能に近いかもしれませんが、やはり過密日程の中でチャンスを得られるか期待です。

大分トリニータの羽田健人(関西大)は184cmという体格以上にデュエルで強さを発揮するセンターバックです。ポジショニングの正確性も売りで、オフで裏を取らせることなく厳しい対応ができる。昨年、すでに特別指定選手として参加しており、11月30日のベガルタ仙台戦で、3バックの左としてJ1デビューしました。今季の開幕戦はベンチ入りしませんでしたがポテンシャルはすでに片野坂監督も認めるところだと思うので、三竿雄斗やヴァンフォーレ甲府から加入した小出悠太と言ったライバルもいる中で、いかに成長をアピールできているかがポイントになってきそうです。

J1王者である横浜F・マリノスのGKオビ・パウエル・オビンナ(流通経済大)も来年に延長された東京五輪を目指すタレントの一人。193cmのサイズとバネを生かす、身体的な優位性は大迫敬介(サンフレッチェ広島)や小島亨介(アルビレックス新潟)と言った同年代で先を行くライバルと比較しても明らかで、反射神経も光ります。準優勝したトゥーロン国際の活躍は記憶に新しいところです。

GKに幅広い対応力が問われるマリノスにおいて朴一圭や梶川裕嗣と言った猛者に今年どこまで迫れるか。JFAアカデミー育ちで足下の基本技術は高く、パントキックの精度は主力を争う二人にも引けを取らないものがあります。ハイボールの処理も最高到達点は非常に高く、現在マリノスの不安要素になっている部分を大いに補えるのは魅力的です。

ヴィッセル神戸の山川哲史(筑波大)はアカデミー育ちのホープでしたが、昇格の話を断って筑波大に進学し、文武両道の生活を送った選手。186cmの長身を生かした空中戦やデュエルも魅力ですが、本人が自負するのは声で人を動かせるという部分で、早期から統率力を発揮できる資質は備えています。ヴィッセルにはフェルマーレン、ダンクレー、大崎玲央、渡部博文というセンターバックがいますが、若手選手らしい溌剌とした部分を出しながら、締めるところは締めるというメリハリをうまく出して行ければ、新たな五輪候補として競争に加わっていくことも期待できます。

ガンバ大阪の黒川圭介(関西大)は昨シーズン特別指定として4月のルヴァン杯でデビュー戦ながらアシストを記録。5月のサガン鳥栖戦に出場しています。左足の精度が高く、しかも推進力を生かしながらアウトサイドもインサイドも狙うことができます。宮本恒靖監督が高い位置からのディフェンスを志向する中で、ボールを奪う守備とカバーリングの両面をアピールしていく必要はありますが、再開までにどこまでアピールして出場チャンスを生かしていけるか楽しみな一人です。