6試合ぶりスタメンで1ゴール1アシストの久保建英。若き日本代表が全てに絡んだ3得点を検証

(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

マジョルカの久保建英はラ・リーガ第25節のレアル・ベティス戦で6試合ぶりとなるスタメン出場。主に右サイドハーフから躍動した久保は3得点の全てに絡む活躍を見せました。

1点目は久保のシュートが相手ディフェンスの跳ね返ったところをクチョ・エルナンデスがダイレクトで叩き込む形。さらにアンテ・ブディミールによる2点目をアシスト、自身の右足で同点となる3点目を決めました。

結果は3-3の引き分けでしたが、アウェーの地で守備的な貢献も多く求められる中で、あらためて久保の才能を示すとともに、確かな成長も感じさせた久保。そのマジョルカの3得点を検証します。

【1点目】前半16分 クチョ・エルナンデス 

レアル・ベティスがマジョルカ陣内で攻めていた流れで、右サイドでチャンスの起点をつくりかけましたが、そこでマジョルカのダニ・ロドリゲスが鋭い動きでインターセプトし、そのまま一気にボールを運びます。これに最も早く反応したのが右サイドでディフェンスに参加していた久保でした。

ベティスの戻りを上回るスプリントで反対サイドのボールホルダーのダニ・ロドリゲスを追い越す久保。ボールは左の大外を走るバリエントに展開されますが、久保は右に開きながらフリーでサイドチェンジのパスを引き出し、カットインでアレックス・モレノ、セルヒオ・カナレスの二人を交わします。

そこからすぐに左足でシュートに持ち込みますが、ポルトガル代表のウィリアム・カルバーリョが長い足を伸ばして久保のシュートをブロック。しかし、左側に跳ね返ったボールをペナルティエリア内の左からクチョ・エルナンデスが右足ボレーで叩き込みました。

マジョルカは完全な堅守速攻の戦術をとっていましたが、久保も守備をこなしながらカウンターからのチャンスに絡む機を逃さないビジョンと集中力、さらにスプリントからのプレーでもブレない精度が光ったシーンでした。

【2点目】前半27分 アンテ・ブディミール

相手の惜しいシュートがポストの外側に当たってゴールキック。そこからマジョルカは自陣でボールをつなぎます。この時間帯、久保建英はトップ下のようなポジションにいましたが、そこから左に流れてサイド攻撃に絡もうとします。

そこから一旦ボールは左センターバックのアントニオ・ライロに戻されますが、そのタイミングでダニ・ロドリゲスが左寄りからディフェンスの裏に抜け出し、アントニオ・ライロがロングパス。久保は手前のスペースを走ります。

戻りながらディフェンスに入ったウィリアム・カルバーリョがダニ・ロドリゲスに付きますが、ダニ・ロドリゲスはゴール前にドリブルで切り込むふりをしてスパイクの裏で外側に来た久保にパス。久保がマイナスの丁寧なショートパスを送ると、ペナルティエリア内まで来ていたアンテ・ブディミールが受けて、ディフェンスをかわしながら流し込みました。

このシーンはロングパスを引き出したダニ・ロドリゲスの手前に生じるスペースを利用しながら、彼がカットインすることでディフェンスを引き付けた外側でパスを受けるという形でした。おそらくトレーニングで仕込んでいるものと思われますが、これだけ縦幅の大きな展開の直後で、そうした状況から最適なパスでシュートに持ち込ませる冷静さが見事でした。

【3点目】後半25分 久保建英

3-2とされたところからマジョルカは高い位置に押し上げて、活路を見出そうとしていた時間帯でした。

左のスローインからの攻撃はアンテ・プディミールへの縦パスがカットされ、一度はベティスのボールになりますが、アンテ・プディミールとダニ・ロドリゲスが瞬時に囲んでボールホルダーから奪い返します。

そのルーズボールを巡って交錯しますが、そここぼれをアンテ・プディミールが粘り強く久保につなぐと、久保は左足と右足の細かいタッチで右前に運び、DFマルク・バルトラのチェックをかわします。

さらにトリッキーなタッチで縦にボールを運んでおいて、アレックス・モレノとの間合いを外すと利き足ではない右足を振り抜き、GKホエル・ロブレスに触られながらもゴールに吸い込まれました。

このシーンは久保のドリブルに連動して外側に走り直したアンテ・プディミールの動きも効いていましたが、久保が相手ディフェンスとの間合いを見極めながらドリブルで優位に立ち、チャンスがあれば右足で狙っていく姿勢が結果に結び付きました。

もともとスプリントや右足の活用といったところに課題がありましたが、着実にレベルアップしていることがプレーから見られます。マジョルカのスタイルはレアル・マドリーとも大きく異なり、武者修行の環境としてあまり相応しくないという見方もありましたが、久保自身はそうした境遇も受け入れて、成長していくためのプロセスを踏んでいるようです。

大きなアピールになったことも間違いなく、ここからのさらなる活躍を期待するに足るパフォーマンスでした。