【AFC U-23選手権タイ2020】東京五輪18人へのサバイバル。シャドーと1トップの競争が加速

小川航基は1トップでゴールという結果にこだわり、生き残りを狙う(写真:ロイター/アフロ)

タイで開幕したAFC U-23選手権は16カ国が参加し、東京五輪の予選も兼ねている。すでに東京五輪の出場は決まっている日本だが、アジアでの本気の戦いに身を投じる中でチームの成長はもちろん、東京五輪のメンバー選考に向けた生き残りのためのアピールの機会にもなる。

FIFAの国際Aマッチデーではないため、欧州組はガンバ大阪からマンチェスター・シティに移籍し、現在は期限付きでスコットランドのハーツに在籍する食野亮太郎だけが参戦している。その食野もグループリーグのみで代表チームを離れる見込みだが、久保建英(マジョルカ)をはじめ堂安律(PSV)、三好康児(アントワープ)、前田大然(マリティモ)、安部裕葵(バルセロナ)、板倉滉(フローニンゲン)、中山雄太(ズウォレ)など、錚々たるメンバーがいない中で「このチームでもできることを見せたい」と橋岡大樹(浦和レッズ)が語るように、この大会に優勝して、結果的に個人でのアピールもしたいところだ。

東京五輪は18人という登録人数で、しかもオーバーエイジを3人まで加えることができるため、A代表の指揮を兼ねる森保一監督も彼らの起用は当然ながら考えている。ただし、無理やり3人を選ぶのではなく、どこにどういう選手を加えれば、よりチームの完成度やクオリティが高まるかを想定しながら必要に応じて加えることを表明しており、真夏の東京に気候が近く、過密日程で進行する今大会はシミュレーションにもってこいだ。

最も競争が過酷になりそうなのは3ー4ー2ー1の”シャドー”と呼ばれる2列目のポジションだ。上記にあげた欧州組の顔ぶれを見れば明らかであるように、この2列目にタレントが揃っているのが東京五輪世代の特徴でもある。今回は年末のE-1選手権にA代表として参加した森島司(サンフレッチェ広島)と田川亨介(FC東京)に食野、旗手怜央(順天堂大 → 川崎フロンターレ)の4人がメインで、さらにウィングバックでの起用が想定される相馬勇紀(鹿島アントラーズから名古屋グランパスにレンタルバック)、遠藤渓太もオプションとして候補になる。

シャドーの候補の中では森島がボランチと前線をつなぐリンクマンとして特徴を出せる選手であり、一味違う役割をこなすことができる。欧州組では三好や安部が近く、彼らがいない今回は大きなアピールチャンスだろう。一方で田川、旗手、食野は”シャドーストライカー”に分類できるタイプで、飛び出しからのフィニッシュを得意としている。

ただし、食野はウィング寄りのポジションからチャンスに絡むプレーも得意な選手で、4バックにした場合は左のサイドハーフでの起用も想定される。田川は2トップの一角が本職で1トップもこなせるが、持ち味の縦のスピードを最大限に発揮するポジションとして3ー4ー2ー1ではシャドーが適しているだろう。今回のメンバーでは旗手、さらに細かいタイプは異なるが、前田大然もライバルになって来そうだ。

上田綺世(鹿島アントラーズ)と小川航基(水戸ホーリーホックからジュビロ磐田にレンタルバック)も熾烈な生き残りをかけた戦いの最中にいる。シャドーと違って、逆に本職のタレントが少ないポジションであり、A代表の主力である大迫勇也のオーバーエイジ招集もさけばれるポジション。それは二人も承知しているだろう。

前線でしっかりとポストプレーをこなしながら、タイミングよくゴール前に入り込んで正確なトラップとシュートにつなげる上田と、よりゴール前に構えてのフィニッシュにこだわる小川でタイプは異なるものの、ゴールを狙うという目的は変わらない。ここまで確かな存在感を示しながらゴールという結果がなかなか付いて来ていない上田、同世代のエースとして期待されながら大怪我を経験し、そこからE-1香港戦のハットトリックなど、当落戦から結果を出し続けて評価を取り戻した小川という二人のライバル関係がどうなって行くのか。

基本的には上田か小川のどちらかが1トップに起用される構成の中で、良い意味で刺激しあってグループリーグ突破、さらに決勝トーナメントでの躍進につなげてもらいたいところだ。ボランチ、左右のウィングバック、3バック、GKというしおれぞれのポジションでも競争はあるが、チームとして結果を残せないことには話にならない。大会に向けた合宿の最初に”優勝”という目標を確認しあったというが、森保監督が大目標として掲げる東京五輪の金メダルに向けて、ここで負けるわけにはいかない。