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”森保ジャパン”はE-1タイトルをかけた韓国戦へ。”マリノスの同僚”遠藤渓太が描く仲川輝人の生かし方

河治良幸スポーツジャーナリスト
Photo :Yoshiyuki Kawaji

森保一監督が率いる日本代表は韓国の釜山で行われているEAFF E-1選手権で中国、香港に連勝。新たな3ー4ー2ー1のシステムを固定的に使いながら、中国戦と香港戦で11人を総替えするプランでチーム内の競争心と一体感を同時に植え付けています。そして18日には同じく2勝の韓国とアウェーの地で対戦します。

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自国開催でモチベーションも高い韓国との試合は間違いなく厳しいものになりますが、日本代表は全員が国内組、しかも東京五輪の強化をにらんでU-22の14人を入れる大胆な決断をしながら、韓国と優勝をかけての直接対決という最高の流れで来ているのは確かです。

その中で1つの問題として話題を集めているのが2019年のJリーグMVPに輝いた仲川輝人(横浜F・マリノス)の活用法です。J1王者となった横浜F・マリノスでは4ー3ー3(4ー2ー1ー3)の右ウィングからタイミングよくゴール前に絡んで15得点9アシストという驚異的な数字を残しましたが、A代表デビューとなった香港戦は2シャドーと呼ばれる2列目のインサイドで目立った活躍ができず、U-22の選手たちが次々とゴールを決める中で、個人としての結果を残せませんでした。

しかしながら試合後に森保監督は「(仲川)本人はボールをなかなか受けられずに少しストレスがたまる展開。ただ、相手の3ボランチが我々のシャドーについて来たので、そこで我慢して引きつけてくれてパスコースができた」と評価し、右ウィングバックのポジションから多くのチャンスを作った相馬勇紀も「ビンどめというか、サイドバックを少し寄せながら僕にスペースを開けてくれていたし、相手のボランチが引いた時はマンマークで付かれていたので、今日は僕のところにスペースを開けてくれた」と感謝していました。

香港戦の翌日練習で仲川は森保監督と会談(Photo: Yoshiyuki Kawaji)
香港戦の翌日練習で仲川は森保監督と会談(Photo: Yoshiyuki Kawaji)

そうした役割に関して仲川本人も「あんまりそこ(外側)に流れると相馬の良さも消えちゃうので、離れると言うかいい距離感でスペースを与えてあげる。そこで一人で抜け切れちゃってたので、その抜いた後のポジショニングとかクロスの入り方とか、こぼれ球の準備は意識してました」と振り返りますが、そこからしっかりとゴールに絡めなかったことを課題にあげていました。

もちろんF・マリノスのようにアウトサイドから飛び出しや仕掛けができれば、もっと仲川の持ち味が発揮されるでしょうが、チームとして良い結果にならなければ意味はありません。3ー4ー2ー1の場合は2シャドーからどう効果的に関わって、ゴールやアシストを決められるかは代表における仲川のテーマでしょう。

「自分の良さを出すには自分がどこで欲しいか、味方に伝えていけばいいと思う。自分の良さは裏に抜けることですが、シャドーだから裏に抜けないとかはないので、あとは出し手と受け手と言うか、タイミングが合えば裏に抜ける動きも狙えるので、そこは話し合っていければいい」

そう語る仲川としても短い時間の中で周りとコミュニケーションを深めることで生かし方、生かされ方というのを改善していく必要があります。言い換えれば、それなくしてA代表で生き残って行くことはできません。その仲川が代表で輝くためのヒントを語っていたのが横浜F・マリノスの同僚である遠藤渓太です。

中国戦に先発した遠藤は香港戦をベンチで見守りましたが、ハットトリックの小川航基や同じ左ウィングバックで先制ゴールをあげた菅大輝、そして遠藤も「プレースタイルは似ているなと思ってます」と認める相馬の活躍に刺激を受けたようです。特にアンダー代表からの仲間である小川に対して「やっぱりこの世界は結果だと思っている」とポジションに関係なく競争心を燃やしていました。

遠藤渓太にとっても仲川を生かしてゴールに絡めればアピールに(Photo: Yoshiyuki Kawaji)
遠藤渓太にとっても仲川を生かしてゴールに絡めればアピールに(Photo: Yoshiyuki Kawaji)

その遠藤は香港戦の仲川について「テルくんはテルくんなりに気を遣ってプレーしていたと思います。もうちょっと使ってあげるようなプレーが増えたらいいのかなと思って見てましたけど、中でやってる人たちはそれ以上に難しかったかもしれない」と前置きしながら、左ウィングバックと右シャドーという対角線の関係になる仲川の生かし方のイメージを語りました。

「間違いなく初速が速いので、自分が裏に抜けたクロスに入ってきてくれると思いますし、中国戦はなかなかクロスが合わなかったことが多かったですけど、そこにしっかりと入ってきてくれるかなと。自分がミドルサードというか抉らないタイミングで出した場合も、斜めのタイミングで抜け出してくれると思うので、そこを使えるのかなと思います」

遠藤にとって仲川はF・マリノスで頼れるチームメートであると同時に、ポジションを争うライバルでもあります。しかし、だからこそ仲川の特徴を人一倍認識しており、もし代表で仲川を生かすことができれば結局は自分の結果にとっても良い方に行くという考えがあるでしょう。

代表チームというのは誰と組んでもチームにとっても自分にとっても良い結果を出せないと残っていけない世界。それでも所属クラブで一緒にやっている選手が同時にピッチに立っていれば、それを生かさない手はありません。F・マリノスの仲間であり、ライバルでもある二人が同時にピッチに立った場合にどういった効果が起こるのか。韓国戦の1つの注目点になりそうです。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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