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U-17のオランダ撃破がU-18日本代表も刺激。鹿島内定の染野「絶対にFWのポジションを譲らない」

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:YUTAKA/アフロスポーツ)

ブラジルで行われているU-17W杯で森山佳郎監督が引きいる”02ジャパン”ことU-17日本代表は強豪オランダに3−0で勝利し、大会での躍進に向けて最高のスタートを切った。

そのオランダ戦で大活躍したのが前回U-20W杯に飛び級で参戦したセレッソ大阪内定の西川潤(桐光学園)と湘南ベルマーレ内定の若月大和(桐生第一)の2トップ。早生まれの二人は同学年で、同じ高体連に在籍する鹿島アントラーズ内定のFW染野唯月(尚志高)にも刺激になっている。

「本当に西川選手や若月大和選手は結果も残しているし、その中で自分にもいい刺激になっている」と語る染野は現在、再来年のU-20W杯を目指すU-18日本代表で、来月6日からベトナムで行われるU-19アジア選手権予選に向けた合宿に参加している。今回はU-17W杯とU-18日本代表という二つに別れて活動しているが、U-20W杯の最終予選となる来年のU-19アジア選手権では現在のU-17とU-18が”融合”する形で1つのチームになる。

前回の世代に引き続きU-18日本代表を率いる影山雅永監督も最終的にU-17世代から半分ぐらい入ってくることを想定し、現在のU-18メンバーにも「ハングリーな奴らが押し上げてくるからな」とハッパをかけているようだ。

もちろん現在のU-18日本代表にも190cmの櫻川ソロモン(ジェフユナイテッド市原・千葉U-18)をはじめ有望な前線のタレントが揃い、染野もその一人。そこにU-17から西川や若月、J3でゴールを量産中の唐山翔自(ガンバ大阪ユース)といった選手が突き上げてくることは必至で、今回はクラブ優先で招集が見送られたエース候補の斉藤光毅(横浜FC)を含め、歴代のアンダー代表でも最も厳しいと見られるFWの競争が待っている。

「自分ももっとやらなくちゃいけないという気持ちにもなりますし、そこで絶対にFWのポジションを譲らないというのは自分の役目だと思う」

「ライバルが多ければ多いほど」成長に繋げられるタイプだと自負する染野は「自分が足りないところを持っている選手が多いので、そういうところを盗みながら、うまく学びながら自分が成長しながらポジションを勝ち取って行きたい」と語り、まずはベトナムの地でゴール量産を目指す。

U-17の活躍に刺激を受けているのは染野だけではない。湘南ベルマーレのMF柴田壮介は同じアカデミー育ちの後輩であるMF田中聡、湘南入りが内定している若月と右サイドバックの畑大雅(市立船橋高)と3人の”チームメート”がオランダ戦で勝利に貢献したことを喜ぶと同時に、負けられない気持ちを強くしている。

「あいつらが世界で戦っていて、自分たちもやらなければいけないと思いますし、やれると思っています」

実際にU-18のメンバーでもU-17のことは「あいつらすげえな」と話しているそうだが「それが変なプレッシャーになったりはしてないと思います」とポジティブに捉えている。湘南といえば前回のU-20日本代表で当時の”影山ジャパン”をキャプテンとして支えた齊藤未月の存在がある。

柴田も今年2月にスタートした現チームの活動でキャプテンマークを巻いて、チームを鼓舞してきた。今回のU-19アジア選手権予選に向けて、影山監督からまだキャプテンの打診は無いそうだが、キャプテンマークを巻く巻かないに関係なく「そのぐらいに気持ちでやれれば」と意気込みを示している。

U-17W杯で”02ジャパン”が躍進するほど注目は高まるはずだが、最終的に同じチームとなる1つ上の世代の選手たちも大いに刺激にしながらアジアで次のステージへの権利を勝ち取るはず。その先に”融合”という名の激しい競争が待っている。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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