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【カワジうぉっち特別企画】「みんなで選ぶE-1日本代表」メンバー発表

河治良幸スポーツジャーナリスト
2017年のE-1メンバー。中村、三浦、土居が今回選ばれればリベンジの舞台に。(写真:西村尚己/アフロスポーツ)

”森保ジャパン”は9月に新全試合のパラグアイ戦、そしてW杯アジア二次予選のスタートであるミャンマー戦に臨みましたが、いわゆる”国内組”は4人でした。

しかし、年末に日本代表は東アジアサッカーの祭典であるEAFF E-1選手権に参戦します。FIFAの公式大会ではないため選手の拘束力がなく、Jリーグから協力してもらう形で代表チームが編成されるため、原則的に全て国内組となります。

そこで'''「カワジうぉっち」'''の特別企画としてJリーグのファンサポーターによる「E-1日本代表メンバー」23人をSNSの投票で選びました。

浦和レッズはACLで準決勝に進出しており、年末にカタールで行われるCWCに出場となった場合は対象外になる見込みですが、今回はその前提を外して候補者に入っています。また事実上の代表引退を表明している酒井高徳(ヴィッセル神戸)は対象外としました。早期の帰化が期待されるパトリック(ガンバ大阪)も推薦者はいましたが、今回はエントリーを見送っています。

投票エントリー

□GK部門(3人:候補7人)

中村航輔(柏)

林彰洋(FC東京)

大迫敬介(広島)

東口順昭(ガンバ)

高丘陽平(鳥栖)

高木駿(大分)

西川周作(浦和)

□SB部門(3人:候補9人)*本職の左SBを一人は選ぶ

室屋成(FC東京)

松田陸(セレッソ)

小池裕太(鹿島)*

丸橋祐介(セレッソ)*

佐々木翔(広島)*

広瀬陸斗(マリノス)

内田篤人(鹿島)

西大伍(神戸)

田中達也(大分)

□CB部門(4人:候補11人)

畠中慎之輔(マリノス)

福森晃斗(札幌)

荒木隼人(広島)

中谷進之介(名古屋)

鈴木義宜(大分)

槙野智章(浦和)

三浦弦太(ガンバ)

谷口彰悟(川崎)

犬飼智也(鹿島)

瀬古歩夢(セレッソ)

渡辺剛(FC東京)

□ボランチ部門(4人:候補12人)

喜田拓也(マリノス)

三竿健斗(鹿島)

山口蛍(神戸)

橋本拳人(FC東京)

大島僚太(川崎)

田中碧(川崎)

守田英正(川崎)

扇原貴宏(マリノス)

川辺駿(広島)

稲垣祥(広島)

名古新太郎(鹿島)

齊藤未月(湘南)

□2列目部門(6人:候補13人)

仲川輝人(マリノス)

柏好文(広島)

小野瀬康介(ガンバ)

土居聖真(鹿島)

関根貴大(浦和)

奥埜博亮(セレッソ)

和泉竜司(名古屋)

江坂任(柏)

前田直輝(名古屋)

白崎凌兵(鹿島)

脇坂泰斗(川崎)

小塚和季(大分)

倉田秋(ガンバ)

□FW部門 3人(候補9人)

古橋亨梧(神戸)

オナイウ阿道(大分)

藤本憲明(神戸)

鈴木武蔵(札幌)

永井謙佑(FC東京)

興梠慎三(浦和)

小林悠(川崎)

山崎凌吾(湘南)

呉屋大翔(長崎)

投票結果

■GK部門 3枠

1中村航輔(柏レイソル) 1440票

2大迫敬介(サンフレッチェ広島) 1029票

3西川周作(浦和レッズ) 560票

バックアップ:東口順昭(ガンバ大阪) 548票

GKはJ2の首位を走る柏レイソルの中村が全体の2位となる得票数で選出された。柏のサポーターはもちろんJ2をよく観ているファンや対戦したクラブのサポーターもその実力を認めて投票したと見られます。

代表選手はJ1から選ぶべきではという声も一部ありましたが、もともとA代表の常連メンバーでしたし、二度の脳震盪を克服して、勇敢なセーブを見せる勇姿は高い評価に値するもの。レイソルが順調に昇格すれば来年は再びJ1で実力を証明できるでしょうが、その前に東アジアの猛者を相手に能力を示す機会を得られるか、実際のメンバー発表が期待されます。

2位の大迫は東京五輪世代でもありますが、川島永嗣も認める通り、若くしてA代表に求められる高度なスキルを攻守両面で身に付けており、あとは経験をどんどん積んで行けば、世界でも通用する守護神に成長する可能性は十分にあると言えます。もしかしたら来年1月にタイで行われるUー23アジア選手権に参加するためE-1から外れるかもしれませんが、入れば貴重な経験になるはずです。

西川は言わずと知れた経験豊富な選手で、E-1経験者でもあるため、メンバーに入れば非常に心強い存在です。ただ、浦和はアジア王者としてCWCに参戦する可能性が残っているので、結果的に選べない状況になれば喜ばしいことだと思います。その場合も僅差でバックアップとなった東口がいるので、クオリティの不安はないでしょう。

■SB部門 3枠

1室屋成(FC東京) 1176票

2西大伍(ヴィッセル神戸) 1005票

3小池裕太(鹿島アントラーズ) 919票

バックアップ:広瀬陸斗(横浜F・マリノス) 607票

9月の代表構成に従いサイドバックは3人としました。堂々の1位となったのはJ1首位のFC東京で力強く右サイドを支える室屋。2年前のE-1では苦い経験をしており、そこから大きく成長しているので、個人的にもE-1で見たい選手の一人です。9月の代表戦ではセンターバック本職の冨安健洋が右サイドバックで印象的なプレーを見せたこともあり、E-1では良いアピールを期待したいものです。

西の選出もJリーグでもパフォーマンスを考えれば納得度が高く、またA代表の経験ちからも頼れる存在になるでしょう。特に攻撃的に戦いたい時に有効なタレントで、サイドハーフ起用が可能なところも魅力です。ただ、今回のメンバー構成的には右サイドハーフの選手が3人いるので、右サイドバックに専念することになるでしょう。

小池はアルビレックス新潟ユース出身の選手で、流通経済大を休学してベルギーのシント=トロイデンに加入しましたが、そこから特別指定選手として在籍したことのある鹿島に期限付きで加入すると、安西幸輝のポルティモネンセ移籍もあり、第17節の広島戦からスタメン起用されると、急成長を見せてJリーグでも注目される存在になりました。

投票は3位ですが左サイドバックのスペシャリストと言うことで、このメンバーでは同ポジションのスタメン起用が見込まれます。代表の経験は未知数ですが、センスが発揮されれば勝利のキーマンになってきそうです。

■CB部門 4枠

1畠中槙之輔(横浜F・マリノス) 1408票

2犬飼智也(鹿島アントラーズ) 1004票

3三浦弦太(ガンバ大阪) 791票

4福森晃斗(コンサドーレ札幌) 788票

バックアップ: 鈴木義宜(大分トリニータ) 541票

現在の”森保ジャパン”メンバーでもあるマリノスの畠中が貫禄の1位。そして鹿島の犬飼が2位となりました。犬飼はけが人も多く出た鹿島のチーム事情にあって継続的に出場しながら、JリーグやACLで粘り強いディフェンスを見せています。アジアで十分に戦えることは証明していますが、代表ユニを着てどれだけ発揮できるかというのは未知だけに楽しみもあります。

畠中は個人の能力面では攻撃も守備も申し分ないですが、彼の場合はフルメンバーでも主力を狙っていくべき立場であり、長短のパスというスペシャリティはありますが、統率力に関しては吉田麻也も昌子源もいない国内組の代表で、真価を示せればフルメンバーでの序列を上げることにもつながるでしょう。

三浦も本来は”森保ジャパン”の常連になってしかるべきですが、開幕時はやる気が空回りしてかミスも多く、そうしたパフォーマンスが代表から遠ざかる理由になったと思います。しかし、シーズンの中で明らかに復調しており、本来の能力を発揮できるはずです。ただ、欧州組に畠中も加えたフルメンバーに割って入るには目覚ましいアピールが必要だと思います。

福森は攻守にクレバーな選手ですが、何と言っても左足のキックという強力な武器があります。特に桐光学園の大先輩である中村俊輔を彷彿とさせる直接FKは代表にあまりスペシャリストがいない状況で、大きなアピールポイントになります。E-1のような短期決戦ではFKの得点がそのままチームを優勝に導くゴールにもなりえます。そうした期待も今回の選出に表れているでしょう。

■ボランチ部門 4枠

1扇原貴宏(横浜F・マリノス) 1411票

2喜田拓也(横浜F・マリノス) 1345票

3三竿健斗(鹿島アントラーズ) 1233票

4橋本拳人(FC東京) 959票

バックアップ:大島僚太(川崎フロンターレ) 859票

Jリーグで攻撃的なスタイルを前面に押しだしながら躍進を続けるマリノスのボランチ・コンビがダブルで入りました。さらにA代表での実績もある三竿とミャンマー戦で国内組としては唯一スタメンで起用された橋本というメンバーで、それぞれ個性もあって興味深い構成です。

扇原は開幕当初は中盤を逆三角形にした布陣でなかなか出番を得られていませんでしたが、天野純の移籍もあり、さらにコパ帰りの三好康児が移籍を見越してかジョーカー的な役回りになった状況で継続的に出番を得てから、存在感の溢れるプレーでマリノスの躍進を支えてきました。つなぎの技術もさることながら、中盤では高さがあり、相手の迫力ある攻撃も止めきれるスケールを持っています。彼を入れるとセットプレーの高さを確保できることも大きいです。

喜田は状況判断力と戦うスピリットの両方を持ち合わせた選手で、ボールを奪う能力が高い上に、効果的なファーストパスでチャンスの起点になる攻撃ビジョンも伸ばしています。攻守のバランス感覚が高く、状況判断に優れる三竿と首位のFC東京、さらに代表で自信を付けている橋本の4人をどう組み合わせるかは森保監督を良い意味で悩ませるでしょう。

バックアップになった大島は能力で言えばナンバーワンかもしれませんが、やはり怪我が多く、今回も最近のJリーグを欠場している影響は大きいでしょう。終盤戦に復帰して活躍すれば、本当のE-1メンバーに入る資格は十分にあります。

■2列目部門 6枠

1仲川輝人(横浜F・マリノス) 2002票

2土居聖真(鹿島アントラーズ) 1300票

3白崎凌兵(鹿島アントラーズ) 679票

4前田直輝(名古屋グランパス) 615票

5柏好文(サンフレッチェ広島) 517票

☆6枠目は僅差で4人並んだため決選投票

 <6枠目:決選投票>

 小野瀬康介(ガンバ大阪) 481票 →メンバー入り

 和泉竜司(名古屋グランパス) 377票 →バックアップ

 関根貴大(浦和レッズ) 237票

 小塚和季(大分トリニータ) 182票

4ー2ー3−1の左右サイドハーフとトップ下という3ポジションを想定して6人を選出しました。これまでA代表の待望論も多く見られる仲川が最多の2002票を獲得しました。登録上のポジションはFWになると思いますが、得意の右サイドからパスワークに絡みながら、持ち前のスピードを生かした仕掛け、精力的なディフェンスなどでチームを活性化してくれるでしょう。

今シーズン絶好調を持続している土居も前回E-1を経験しており、さらに成長した状態で日本を3大会ぶりの優勝に導くパフォーマンスが期待されます。その土居とともに鹿島の左サイドで主力を張る白崎も鹿島サポに限らず高い評価を得ているようです。サイドハーフの選手としてはサイズもあり、常にゴールから逆算したポジショニングとバイタルエリアに進出するセンスは抜群です。

ちょうど南野拓実が担っている役割になりそうですが、ワイドに流れてのプレーなどもできますし、ファーサイドから回り込んでフィニッシュに絡むなど、攻撃のバリエーションは凌駕するものがあります。昨年末のCWCで悔しい思いをしたことが今年の爆発的な活躍につながっているように思います。ACLでの活躍も目立ちますが、中国や韓国を相手に決定的な仕事ができれば欧州組を押しのけて、フルメンバーのA代表復帰を果たすポテンシャルもあると思います。

前田と柏というJリーグ屈指の突破力を持つ両翼もメンバー入り。前田はドリブルからのクロスやラストパスのイメージも強かったですが、今シーズンはカットインからの得点力も高めています。柏はもともとウィングバックでのプレーが多かったですが、4バックをベースとする城福監督のもとでサイドハーフとして縦の突破力とクロス、そして「柏といえば左45度」と本人も自負する”柏ゾーン”からのシュートが日本の強力な武器になりそうです。

6枠目は上記の4人が僅差だったため決選投票を行いました。そしてメンバー入りを果たしたのは小野瀬康介です。下位に苦しむガンバにあってチャンスの多くを右サイドから生み出し、豊富な運動量でもチームに貢献しています。E-1のメンバーの中でどれだけのパフォーマンスを発揮できるか、いい意味で最も読みにくい選手の一人で、大会のラッキーボーイになる可能性もあります。

惜しくもバックアップとなった和泉も抜群のセンスを持つ万能タイプで、現在の名古屋では左サイドハーフですが、サイドバックなどもこなせるマルチロールです。こういう選手を一人は入れておきたいと森保監督が判断すれば、リアルなE-1のメンバーには入るかもしれません。

■FW部門 3枠

1古橋亨梧(ヴィッセル神戸) 1214票

2鈴木武蔵(コンサドーレ札幌) 967票

3オナイウ阿道(大分トリニータ) 901票

バックアップ:永井謙佑(FC東京) 712票

A代表入りを待望する声の多い古橋がFWの1位に支持されました。2列目やサイドもこなせる選手ですが本質的にゴールに向かうプレーが持ち味のアタッカーで、2トップを採用した場合にも適応できます。神戸ではイニエスタやビジャといった外国人助っ人との流動的なコンビネーションが目を引きますが、彼らがいなくても攻撃センスを証明できる機会としてE-1は抜群の環境でしょう。

鈴木武蔵は現在のフルメンバーにも選ばれているので、今更ここで語るまでもありませんが、センターバックの畠中と同様に、チームの中心として国際舞台でどれだけ存在感を示せるかがアジア予選などでの起用法にも大きく影響しそうです。ここで大黒柱として働きを見せられれば、長らく日本代表の悩みの種になっている”大迫の代役不在”を解決する足がかりになりますし、もちろん単に”大迫の代役”ではない鈴木武蔵ならではのアクロバティックなフィニッシュも見せて欲しいところです。

フィニッシュの豪快さではオナイウ阿道も負けていません。もともと身体能力の高さは誰もが認めるところでしたが、大分では無駄な粗さが取れて、効果的なポジショニング、動き出しからゴール前に絡めるようになっています。スタメンはもちろん試合終盤のジョーカーとしても決定的な働きが期待できるタイプで、相手のマークを破ってラストパスに合わせる形は前田や柏といったサイドアタッカーとの相性も抜群でしょう。鈴木武蔵との身体能力抜群の2トップも強力なオプションになりそうです。

現A代表のメンバーでもある永井は惜しくもバックアップとなりましたが、実際は森保監督の評価と信頼も高く、FC東京をこのまま高みに導ければE-1でも有力候補になるはずです。

'==みんなで選んだE-1日本代表メンバー==

GK

中村航輔(柏レイソル)

大迫敬介(サンフレッチェ広島)

西川周作(浦和レッズ)

DF

室屋成(FC東京)

西大伍(ヴィッセル神戸)

小池裕太(鹿島アントラーズ)

畠中槙之輔(横浜F・マリノス)

犬飼智也(鹿島アントラーズ)

三浦弦太(ガンバ大阪)

福森晃斗(コンサドーレ札幌)

MF

扇原貴宏(横浜F・マリノス)

喜田拓也(横浜F・マリノス)

三竿健斗(鹿島アントラーズ)

橋本拳人(FC東京)

土居聖真(鹿島アントラーズ)

白崎凌兵(鹿島アントラーズ)

前田直輝(名古屋グランパス)

柏好文(サンフレッチェ広島)

小野瀬康介(ガンバ大阪)

FW

仲川輝人(横浜F・マリノス)

古橋亨梧(ヴィッセル神戸)

鈴木武蔵(コンサドーレ札幌)

オナイウ阿道(大分トリニータ)

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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