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【ACLうぉっち】アジア王者への最終関門。鹿島よ「完全アウェー」に飲まれるな!

河治良幸スポーツジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

日本時間の本日24時(11日0時)鹿島アントラーズがイラン王者のペルセポリスとACLファイナルの2ndレグを戦う。会場はテヘランのアザディ・スタジアム。イラン代表の”聖地”でもある巨大なスタジアムは鹿島にとって”完全アウェー”の雰囲気になることは間違いない。

Jリーグ随一のタイトル数を誇る鹿島が悲願のアジア王者へ、さらに12月に行われるクラブWCの出場権をかけて挑む戦いに向け、タグマのウェブマガジン【KAWAJIうぉっち】の【ACLうぉっち】で無料公開している記事をYahoo!ニュースでも紹介する。

「KAWAJIうぉっち」から転載■

鹿島アントラーズはアジア王者の座をかけてACLファイナルの2ndレグに挑む。日本時間の10日24時、会場はペルセポリスのホームであるアザディ・スタジアムだ。イランのテヘランにある世界的にもトップレベルの大型スタジアムであり、イラン代表の試合では10万人を超える観客がスタンドを埋めたこともある。

17時間をかけて現地入りした鹿島。ホームの1stレグで2−0と勝利し、相手にアウェーゴールを与えなかったことはアウェーの2ndレグを戦う上で非常に大きいが、1点を早い時間に失うようなことがあるとあっという間に飲み込まれてしまう危険がある。厳しい戦いを乗り越えてきた鹿島の選手たちは周りが言わなくても分かっているはずだが、難しい戦いになることは間違いない。

イラン勢としては8年ぶり、クラブ初の ACL決勝であり、王者が決まる2ndレグということで8万人を超えるペルセポリスのサポーターが詰めかけると予想される。筆者も主に代表戦で”完全アウェー”の取材を何度も経験しているが、多くの選手に聞いてきた1つの結論として、選手にとって最も嫌なのは一致団結した相手の応援チャントでもヤジでもなく、1つ1つの何でもないようなホームチームのプレーにいちいち歓声が沸くことだ。

例えば相手のボールになった時やホーム側のボールでタッチラインを割った時、ファウルでFKを取った時など、スーパープレーでもなければ惜しいシュートでもない、本当に何でもないプレーにスタンドが沸くため、プレーの判断基準を自分たちの中で難しくして行ってしまうというのだ。例えばクリアに逃れる必要もない間合いがあってもクリアして相手ボールにしてしまうとか、ディフェンスで慌ててしまうといったことが起こりうる。

そうした状況でいかに自分たちを見失わず、平常心を保てるかどうか。おそらく上海や水原のアウェーすら比較にならない環境の中でも鹿島の選手たちが冷静に、したたかにゲームをコントロールしていくことを期待したい。

レフェリングについては大会が進むに従ってクオリティも公正さも高まっている様には受け取れるが、何しろアザディ・スタジアムの雰囲気の中だ。試合の中で基準を早くチームで共有して、1つ1つの判定に苛立たない様にしていくことが重要になる。

ただ、そうしたことは鹿島の選手たちなら大きな心配はない。より難しい要素は独特すぎる芝の質だ。筆者は実際にアザディ・スタジアムの芝を触ったことがあるが、まるでスポンジか何かの様にクッション性が強く、深すぎてグラウンダーでボールを回すのはかなりしんどそうだった。また走っての感触も日本のスタジアムや東アジアのアウェーとも違うはずだ。

左サイドバックで主力を担う33歳の山本脩斗は1stレグの試合後の取材で「行ってみないとわからない部分があるので、ただその芝、状況によっても違うと思いますし、ただACLでいろんなところでやってるので、まず行ってみてそれに合わせた色々変えていく必要がある」と前置きしながらも、ベースとなる自分たちの戦い方は変えずにやっていくことの必要性を強調していた。

「チームとしてやることは変わらないですけど、そういう芝の状況や観客、やっぱり大勢いるので声が通らなかったり、その中でどうやらなきゃいけないかはこれまで経験してきているので、そういうところを生かしたい」

その山本も試合展開は「1点を相手が取ったら勢いがものすごいと思いますし、そういうのは水原でも経験してますしね。間違いなく難しい戦いになる」と気を引き締めるが、相手の隙を見て先制点を取れればそれがアウェーゴールにもなり、ペルセポリスは4点を取らなければいけない状況に追い込まれる。仮にそうなったとしても”楽勝”ではなくギリギリの駆け引きを鹿島が制した結果であるはずだが、どういう流れになっても勝負をものにしていける強さがアジア制覇の条件になってくるだろう。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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