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世界の戦いは”個”で勝利する。J実績抜群のDF中山雄太がU-20W杯でイメージする守備のビジョン

河治良幸スポーツジャーナリスト
中山雄太は組織を統率するだけでなく、個で勝利することを強く意識して世界に挑む(写真:田村翔/アフロスポーツ)

U-20W杯に5大会ぶりに参戦する日本は5月21日に南アフリカとの初戦を迎える。15歳で”飛び級”選出された久保建英や予選に相当するU-19アジア選手権でMVPに輝いた堂安律といった攻撃のタレントに注目は集まるが、内山篤監督が2年をかけて強化してきたチームの生命線は組織的なディフェンス。その組織を後ろから統率するのが中山雄太だ。

中山と言えば昨年からJ1柏レイソルでレギュラーに定着し、1歳先輩の中谷進之介との若きセンターバック・コンビで守備を支えた選手であり、Jリーグの実績は今回のメンバーでも群を抜いている。しかし、中盤もこなす攻撃センスやサイドバックも担える機動力、若手らしからぬラインコントロールでクレバーなイメージが定着した一方で、ここ一番での対人守備に課題を抱えているのは明白だった。

「シンプルな対人の部分だったり、練習でもそうですし、試合の中でも意識したり、前に意識していたことを変えるというのにも取り組んでいた」

A代表のハリルホジッチ監督が”デュエル”と表現する、対人戦での個の強さ。そこに磨きをかけないことには上の代表での活躍や個人としてのステップアップは難しい。その自覚を持ってトレーニングに取り組みながら、Jの戦いにも臨んでいる。しかし、南アフリカの映像を観てさらに意識を強めた様だ。

「(南アフリカは)やっぱり身体能力が高いですし、日本で考えているものよりも、縦に行く力というのは高い。いい準備をしてた中でも、それを上回る様なプレーが出て来ると思うので、そこはそういうのもあるんだというのを頭の片隅に置きながらプレーしたいと思います」

そう語る中山にとってもホンジュラスとのテストマッチは良い意味で彼の目を覚ます経験となった。基本的な連携のミスや切り替えの遅れから失点や大きなピンチにつながった部分もあったが、組織で守れているつもりでも一瞬の隙から個の力で圧し切られてしまう。そうした怖さを大会の前に体感することができた。

「(ホンジュラス戦が)生きて来ると思いますし、生かすのが自分だと思う。そこで受けたもののは本当に多くありましたし、あれがあったのと無いのでは違うと思うので。それを生かせるかどうかっていうのは南アフリカの試合で問われるのかなと思います」

内山監督もチームの生命線としてあげる組織が崩れることは日本の危機であり、そうした状況をなるべく作らないことディフェンスリーダーの中山には求められる。しかし、一方でどれだけ組織を突き詰めても必ずある”個がさらされる”シチュエーションを中山は楽しみにすらしている様だ。

「組織の中でもそれを崩そうとしたり、自分たちが崩れてしまう場面や1対1は絶対に出ると思うので、その場面では個人技と言ったらいいか難しいですけど、そこに対して自分は意識してきたつもりです。見せ所じゃないですけど、そういう部分になるのかなと思います」

世界を基準に見れば181cmというサイズはセンターバックとして決して大きい方ではない。しかし、強い意識と研ぎ澄まされた守備のビジョンを全て出せば勝負できる。そして自分の現在地も分かる。

「ここで結果を出すことで自分の自信にもなります」と語る中山。チームの勝利は自分の自信とアピールにもなるという強い意識を持って、Jリーガーとしてチーム随一の実績を持つ男がいよいよ世界に挑む。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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