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勝利のために献身せよ。ハリルホジッチの代表メンバー選考基準を考察する。

河治良幸スポーツジャーナリスト

ハリルホジッチの代表監督就任が内定。12日の理事会で承認されれば正式に日本代表の新監督が誕生する。ビザ取得が順調なら当初は困難と見られた今月27日のチュニジア戦、さらに31日のウズベキスタン戦で指揮をとることも可能だ。

気になるのはメンバー選考だが、最初の2試合はおそらく技術委員会が主導となるため、アジアカップから大きな変化は無いかもしれない。それでも合宿や試合を重ねるごとに、特定の選手を優遇せず競争を活性化させるハリルホジッチの色がどんどん濃くなり、新しい血も入ってくるはずだ。

ハリルホジッチがポジションに限らず第一に求めるのは勝利のために全てを捧げるメンタリティだ。その目的のためにハードワークできること、素早い攻守の切り替えを身に付けていれば、チームのベースを担う選手として重宝されやすい。ただし、同胞のオシム元日本代表監督とも共通することだが、ただ頑張って走るだけでなく、状況に応じた質がともなうことが重要になる。

ハリルホジッチは少ないタッチで素早くボールをつなぎ、高い位置にボールが入れば、積極果敢にゴール前に迫力を出していくスタイルを理想とするが、あくまで目標は勝利であり、そのためなら自陣にタイトなブロックを築き、そこから長めのカウンターでゴールを目指すことも厭わない。システムも選手構成に合わせたベースは作るが、そこから複数の形にシフトできるチームを目指していくはずだ。

戦術的なバリエーションのあるチームを作り上げるために、ハリルホジッチはベースとなる万能型の選手とオプションになる個の力を持つ選手を組み合わせていくことになるだろう。例えて言えば前者は長谷部誠や山口蛍、後者は宇佐美貴史や永井謙佑になるか。本田圭佑や岡崎慎司は両方を出せる選手だが、攻撃的なポジションに関しては完成度より伸びしろを重視する可能性もあり、彼らとて安泰ではない。ハリルホジッチの求める要素をクラブでハイレベルに発揮すれば、これまでの代表経験に関係なく有力候補にあがってくるだろう。

・勝利のために献身できる

・意図を持ってハードワークできる

・複数のシステムに適応できる

・状況に応じて的確なプレーができる

・万能性or個の力

これらの基準からJリーグや欧州の日本人選手を見ていけば、ハリルホジッチの新チームをイメージしやすくなるかもしれない。最初のメンバー発表は18日(水)か19日(木)が見込まれるが、代表の扉は勝利のために献身できる全ての選手に開かれていることを強調したい。

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

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