Yahoo!ニュース

香川2アシスト。シュトゥットガルトに勝利したドルトムントはCLでイタリア王者にどう挑む?

河治良幸スポーツジャーナリスト

2月20日(金)にシュトゥットガルト×ドルトムントが行われた。現状は残留争いとも呼べるカードだが、香川真司を擁するドルトムントは調子が上向いていることを内容でも結果でも示し、酒井高徳が先発したシュトゥットガルトはホームで苦しい状況を再び露呈する結果となった。

'''【日本代表について議論するページ】'''

前半25分、トップ下の香川が中に仕掛けたロイスに合わせ、3人の間に入り込みながらオーバメヤンに絶妙なダイレクトパスを通して先制点をアシスト。シャヒンがPKを与える形で一時は同点となったが、前半39分には厳しいマークをかわしてヒールパスを出し、ギュンドアンの飛び出しからの勝ち越しゴールを演出した。

香川が69分に交代で退いた後、終盤に相手のバックラインのミスからロイスのゴールで突き放したドルトムントは、ロスタイムにCKで1点差に迫られたものの逃げ切り3連勝。15分遅れてキックオフしたアタランタ戦で2−1と勝利したユベントスとのCLアウェー戦(24日)に弾みを付けた。

CLラウンドオブ16のユベントス×ドルトムントは第1レグがユベントスのホームで行われる。"日議”こと「日本代表について議論するページ」のインタビューで、イタリア王者に挑むドルトムントの戦いと香川のプレーを展望した。

'''【日本代表について議論するページ】'''

※なかむらりおたイラスト&フォーメーション付き記事はこちら

■ボールタッチのフィーリングが戻った香川

(日議)まずシュツットガルトxドルトムントの試合を見ての感想は?

(河治)ドルトムントの攻撃が良くなってきていますね。ボールの奪いどころはまだしっかり定まっていませんが、縦のクサビなどでカウンターでない局面でも効果的な崩しを狙うことができ、実際にそうした流れから2得点しました。その中で重要な役割を果たしたのが2アシストの香川であることは言うまでもありません。

(日議)今季初の3連勝です。チームと共に香川の調子も上がってきましたね。

(河治 )ボールタッチに自信が出てきたことが大きい。狭いエリアでもミスを気にせず、うまくボールを引き出して効果的なパスにつなげています。もともと2メートルもスペースがあれば決定的な仕事ができる選手ですが、その本来の持ち味がようやく出てきたなといった感じです。

しかも、練習からのイメージ共有が高まっているのだと思いますが、周りも香川を意識しながらプレーする様になりました。特に1つ前のパスを出したロイスの信頼は高いし、1点目を決めたオーバメヤン、2点目のギュンドアンとも香川のパスを信じて動き出しているのが分かります。

(日議)ゴールを決めるのも近いですか?

(河治)遠からず決めると思います。ミドルシュートをバンバン決めるタイプではないですが、多くの時間ゴールに近いところでプレーし、しかも周りが良く見えています。

シュトゥットガルト戦は他の選手がより可能性の高いポジションにいたということで、香川が受け手としてラストパスを引き出す場面がもっと出てくれば。

ただ、あまりそれにこだわるよりも、ここ3試合の役割を継続していれば、その中でゴールチャンスも出てくるはずです。

ポイントはそこでの精度ですが、フィーリングが良くなっているのでシュートにも良い影響が出るはずです。

■鉄壁のユベントス守備陣を崩せるか?

(日議)CLで対戦するユベントスも週末の試合を終えました。こちらもアタランタを相手に勝利しましたが、調子を上げてきたドルトムントが有利とみますか?

(河治)前節はチェゼーナと2−2で引き分け心配されましたが、ホームでアタランタにやや苦しみながらも2−1で勝利しました。金曜マッチだったのと、第1レグはホームでもありますし、良い状態でドルトムント戦に臨みそうです。

ここ数シーズンのCLでの実績からするとドルトムントですが、守備の状態を考えればユベントスにやや分があるかなと思います。

そこをドルトムントがしっかり突き崩したいところですね。

(日議)香川の役割は?

(河治)基本的には相手のCBと中盤の間に入ってアクセントになることですね。サイドで起点が出来れば、ロイスが中に切り込みながら2人ほど引き付け、そこで香川がうまく受けてオーバメヤン、あるいはブワシュチコフスキのフィニッシュにつなげる形も出せますが、ユベントスはシュトゥットガルトよりも縦にコンパクトでMFとDFのサンドが厳しいです。

そこでロイスと香川がうまく相手のディフェンスを分散させて、一瞬でも隙を作りたいです。ユベトスは司令塔のピルロを起点に前の3人にポグバが絡んで攻撃してきます。

機を見たサイドバックの攻め上がりもありますが、6人がボールより後ろでリスク管理する傾向が強く、相手がカウンターしにくい。ドルトムントもしかりで、ポゼッションではないですが、ユベントスの守備が揃った状態での崩しを求められる。香川の役割は大きいでしょう。

(日議)そこを崩せばドルトムントはゴールできますか?

(河治 )ユベントスの守備陣は欧州でも屈指ですし、基本は2センターバックと攻守にバランスの取れた両サイドバックの構成ですが、バルザーリが戻ってきたので、状況に応じて3バックや守備重視ならキエッリーニを左サイドバックに回して、カセレス、バルザーリ、ボヌッチ、キエッリーニの4枚ブロックを形成することも可能です。

彼らは裏に抜けられなければ、シュートコースを切るブロックが非常にうまいので、GKブッフォンがセービングしやすい状況を作り出せます。DFとMFの合間で香川やロイスがアクセントを作ればチャンスはできますが、そこから受け手がタイミング良くDFと入れ替わってブッフォンと1対1になる様な状況を生み出したい。

あるいはDFの横に入った瞬間にニアのギリギリやサイドネットの内側を狙う様なシュートです。まさにシュトゥットガルト戦でギュンドアンが決めた様な形ができれば。周囲がうまく起点になってくれれば、香川がまさしくその仕事をしてくれるかもしれません。

■ハイプレスはまだ機能不全。ボランチの働きとポグバ封じがカギ

(日議)ユベントスの攻撃陣を迎えるドルトムントの守備はいかがですか?

(河治 )レバントフスキが移籍して、実は苦しくなっているのが守備の部分です。前からプレスがはまらず、ボールの取りどころが後ろになっている傾向は大きくは改善されていません。

CBのスボティッチとフンメルス、GKヴァイデンフェラーの頑張りに救われていますが、ユベントスはテベスとジョレンテがいますし、彼らにいいパスが何度も出てしまうと、屈強な守備陣をもっても防ぎきれません。

第1レグはアウェーということもありますし、ボランチのシャヒンとギュンドアンがしっかり起点を潰し、両サイドバックがやや中にしぼってバイタルの守備に厚みを付けたいです。ピルロのパスを限定するのは香川の仕事になりますが、より機動的に動いて幅広くパスを出して来るポグバを封じることができるかはボランチの守備にかかっています。

ここは生命線になりそうですね。

(日議)ズバリ勝敗予想は?

(河治 )ドルトムントから見れば現時点で40%ですが、第1レグは何とかアウェーゴールを取って1−1で引き分けなら、ホームで熱狂的なサポートを受けることができます。それを条件に60%ドルトムント。

どちらにしても、ラウンドオブ16の中でも接戦の可能性が高いカードでしょうね。

<予想布陣>

フォーメーション図(日議)

ユベントス 4−3−1−2

GK:ブッフォン

DF:リヒトシュタイナー(カセレス)、バルザーリ(ボヌッチ)、キエッリーニ、エブラ(パドイン)

DMF:マルキジオ、ピルロ、ポグバ

OMF:ビダル

FW:ジョレンテ、テベス

ドルトムント 4−2−3−1

GK:ヴァイデンフェラー

DF:ピシュチェク、スボティッチ、フンメルス(パパスタソプーロス)、シュメルツァー

DMF:ギュンドアン、シャヒン

OMF:ブラシュチコフスキ(ムヒタリャン)、香川、ロイス

FW:オーバメヤン

スポーツジャーナリスト

タグマのウェブマガジン【サッカーの羅針盤】 https://www.targma.jp/kawaji/ を運営。 『エル・ゴラッソ』の創刊に携わり、現在は日本代表を担当。セガのサッカーゲーム『WCCF』選手カードデータを製作協力。著書は『ジャイアントキリングはキセキじゃない』(東邦出版)『勝負のスイッチ』(白夜書房)、『サッカーの見方が180度変わる データ進化論』(ソル・メディア)『解説者のコトバを知れば サッカーの観かたが解る』(内外出版社)など。プレー分析を軸にワールドサッカーの潮流を見守る。NHK『ミラクルボディー』の「スペイン代表 世界最強の”天才脳”」監修。

河治良幸の最近の記事