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近年稀に見る接戦をボルボXC60が制す。【日本カー・オブ・ザ・イヤー2017−2018】

河口まなぶ自動車ジャーナリスト
筆者撮影

 大混戦となった2017-2018日本カー・オブ・ザ・イヤーは、ボルボXC60が輸入車として2度目となる日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーに輝いた。またボルボとしても史上初となる日本カー・オブ・ザ・イヤーの受賞となった。

 ボルボXC60の得票数は294点。二位となったBMW5シリーズは52票差の242点。三位のトヨタ・カムリは62票差の232点と、実に僅差での争いとなった。実際四位となったスズキ・スイフトも210点と、実に4台が200点台という混戦だった。

 日本カー・オブ・ザ・イヤーにおいて、上位二台が僅差での争いを行なったことはあるが、ここまで複数台で接戦になった例は極めて稀なことである。

 そうした接戦となったひとつの理由として考えられるのは、今年の大本命と言われていた日産の新型リーフが、先の完成検査問題を受けて、日本カー・オブ・ザ・イヤーへの参加を辞退したことにある。他に例のない、量産の電気自動車として二代目へと進化した日産新型リーフの先進性は、多くの選考委員からの配点を集めると考えられていた。しかしながら、日産リーフが辞退したことにより、イヤーカー競争が激化したわけだ。

 そんな状況の中で頭角を示したのが、ボルボXC60とBMW5シリーズセダン/ツーリングという輸入車の2台。またホンダの軽自動車N-BOXも高く評価されており、イヤーカーの行方は一層混沌とした状況となった。

 日本カー・オブ・ザ・イヤーの採点方法は、選考委員に全25点が与えられており、選考委員は日本カー・オブ・ザ・イヤーに相応しいと思うクルマに必ず10点を入れ、残りの15点を4台に配点する。これまでは10点が多いクルマが日本カー・オブ・ザ・イヤーを受賞することが多かったが、今回は本命が不在からか10点を獲得したクルマが多岐にわたる傾向にあり、それに合わせて残り4台に配する15点のうちの配点を、いかに多く獲得するかが勝負になったといえる。つまり10点を得られなかったとしても、2位としての配点が多く得られるか、あるいはいかに多くの選考委員から漏れなく点を得られたかどうかが勝負になったといえる。事実、10点をもっとも多く集めたのはトヨタ・カムリで14名が10点を投じた。次いでスズキ・スイフトは、11名が10点を投じた。そして10点の獲得では3位となるのがボルボXC60で、9名が10点を投じた。こうした結果からも、ボルボXC60が10点以外の点をいかに多く集めたかがわかる。

 そうした激しい競争の中で今年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを制したボルボXC60の実力を分析してみよう。

 ボルボXC60は、ボルボの新世代プラットフォームを用いたSUVの基幹モデルであり、今後のボルボの新世代を築くための意欲作。特に今回のモデルでは、デザインを新世代にシフトして高いクオリティの確保と独自のスカンジナビアン・デザインを巧みに融合した。またパワートレーンに関しても、ガソリン・エンジンだけでなくディーゼル・エンジンもラインナップする他、プラグインハイブリッドを搭載したモデルも用意するなど、様々な選択肢を用意している。それに加えてボルボのお家芸である安全に関しては、最先端の運転支援システムを搭載しており、これはメルセデス・ベンツやBMW、そしてスバルなどと並びこの分野でのトップ争いをする仕上がりを見せている。またこれに加えてイマドキのクルマに求められるコネクティビティを充実させるなど、新たな世代のクルマとして非常に高い商品性を実現している。

 ボルボ・カー・ジャパンの木村社長は受賞のコメントの中において、「長らく低迷していたボルボ・ブランドでしたが、これによって日本市場での完全復活ができる」と語った。

 ちなみに筆者の配点は、スズキ・スイフト10点/BMW5シリーズ7点/マツダCX-5 3点/ボルボXC60 3点/ホンダN-BOX 2点というものだった。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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