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【注目の1台】スバル新型XVに初試乗。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

4月6日に発表されたスバルの新型XVを早速試乗する機会を得た。ただし、今回の試乗会は封鎖された道路で開催されたため、限定的な条件での試乗となるため印象も限られたものとなるが、注目されている1台なので早速レポートしたい。

今回試乗したのは、このXVで新たに採用された1.6Lエンジンを搭載した1.6i-Lアイサイトと、2.0Lエンジンを搭載した2.0i-Sアイサイトの2種類である。1.6Lエンジン搭載車は、最も安いモデルで税抜きだと200万円を切る価格が注目となるが、やはり実際に購入するとなると装備が充実したこの1.6i-Lアイサイトが売れ筋ということになるだろう。

この辺りに関しては解説動画も参照いただければ幸いだ。

さて、早速1.6i-Lで走り出すとまず印象的なのが、走り出しの軽快さだ。1.6Lはタイヤサイズが17インチとなる上に、エンジンは2.0Lのような直噴タイプではなく通常のポート噴射を採用する。そうしたことが反映されるのか、アクセルの踏み込みに対して素直に力が立ち上がる印象を受けるため、クルマが軽やかに動き始める印象がある。また17インチサイズのタイヤとの組み合わせのため、ハンドルの重みも軽やかな印象であり、走り出す時のスッと伸びやかな感じが好印象だ。

そして次に印象的なのが乗り心地性能の向上。先代のXVも登場時はその当時のスバル車の中で見ても最も乗り心地が良い部類だったが、今回のXVもやはり現在のスバル車の中で見ても1番!?と思えるような心地よさを示した。特に印象的なのは段差通過時で、トトンッと路面の継ぎ目をいなしていく様に「ほう」と思わされたのだった。

試乗コースには途中、スラローム区間等もあったが、ここでもハンドルの操作に対して自然に動く印象。シャープさはないが確かさはあって、安心感の高い乗り味走り味が実現されていたのだった。

実際に走ってみて、1.6Lエンジンで十分! と筆者は感じた。ただし細かな部分で気になる点はある。例えば巡行している状態からの再加速や交差点を曲がって再びアクセルを踏む…といったシチュエーションの際に、リニアトロニックCVTと1.6Lのエンジンの組み合わせゆえか、力が出るのがもたつく印象を覚えることがあった。この辺りは実際に試乗時に確認してみたいところだろう。

続いて2.0i-Sを試乗してみると、先に感じた巡行からの再加速やアクセルの踏み直しにおけるもたつきが感じられない。やはりこの辺りは2.0Lに軍配が上がるところだろう。特に同乗者が乗ることが頻繁…という人は1.6と2.0の乗り比べてで動力性能の違いは感じておきたい。

しかしながら走り出しの印象は、実は2.0Lの方がやや重い感じだったりする。これは装着タイヤが18インチということもあって、全体的にハンドルを回した時の感じが重みがあることに加え、2.0Lエンジンは直噴だからか、スタート時の低回転からの回転上昇に重みがある。またCVTとの組み合わせもあってか、1.6Lのような軽快な走り出しではなく、どっしりとした印象を受けるのだ。

また走り出してからの印象も1.6とは大きく異なる。2.0は走り出すとまず、1.6よりも遥かにスポーティな印象を受ける。これは18インチサイズのタイヤの影響で、ハンドルに重みがある上に、ハンドルを切ると1.6よりもシャープな応答が感じられるわけだ。

またタイヤがどっしりと路面に接している感覚も強いため安定感があって、これも重厚な感覚の源となっている。そうしてハンドルを切るとタイヤの性能の高さでシャープに曲がり始める…という印象なのだ。

この辺りの味わいの違いは好みによるところだろう。ハンドリングに関して1.6は軽快で気持ちよいともいえるし、言葉を返せば、頼りなさもあってスポーティさは譲る、と表現できる。2.0は重厚でスポーティともいえるが、言葉を返せば重さがある割に過敏、ともいえる…といった感じだ。もっともこうした印象は1.6も2.0も、基本的にはクラスの中で見ても良い走りを実現している上での、細かな部分での違いなので、誤解されないようにしていただきたい。

今後はナンバーが取得されて公道での試乗が可能となるので、その際にはさらに長く試乗して新車レビューで採点をしたいと思う。

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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