メルセデス・ベンツ、16年ぶりの首位へ。

11月時点で対前年比9.6%のプラス、5万8665台

メルセデス・ベンツ日本は11日、神奈川県の大磯で開催した「オールラインナップ試乗会」におけるプレゼンテーションで、同社広報部マネージャー嶋田智美氏によって2015年の同社についての振り返りが語られ、2015年の新車登録台数において11月時点で累計5万8665台を達成しているという報告があった。

この数字は、同社初の6万台越えとなる6万839台でVWに続く2位を獲得した2014年の11月時点と比べると、9.6%のプラスとなる。また上半期は前年比19・1%の3万2677台と、昨年首位だったVWの2万6919台に対して既に4500台以上の差を付けている。加えて下半期ではVWのディーゼル不正問題等による登録台数の低下も相まって、11月時点でVWとの差は約8000台となっており、2015年度の首位をほぼ確実なものとした。

メルセデス・ベンツが輸入車新車登録台数でNo1の座につくのは、1999年以来16年ぶりのこと。ちなみに輸入車新車登録台数は、1966年以降VWがその座を守ってきたが、バブル景気に沸いた1990年に初めてメルセデス・ベンツが首位となり、1994年まで首位を守った。その後1995年から1997年まではVWが再び首位となったが、1998年と1999年は再びメルセデス・ベンツが首位となった。さらにその後は2015年まで、VWが首位を守り続けてきた。

こうした経緯をモデルラインナップから振り返ると、まず1990年に初めて首位となった理由は、バブル景気によるところが大きい。特に当時は「小ベンツ」と呼ばれた190Eがメルセデス・ベンツの新たなユーザーを開拓した頃。その後1993年には「Cクラス」が登場したことで、メルセデス・ベンツの民主化が始まったことが理由だ。また1998年、1999年で再び首位を奪還した際には、1998年に登場した同社初のコンパクト・モデル「Aクラス」が、メルセデス・ベンツの大衆化に一役買い、加えてSUVの「Mクラス」が登場するなど、これまでとは異なるユーザーを開拓した点も大きい。

同じように2015年の好調を振り返ると、まず大きな力となっているのが基幹車種である「Cクラス」の販売で、9月の段階で約1万6000台を販売したという。また同じプラットフォームを用いている「Aクラス」「Bクラス」「GLAクラス」「CLAクラス」「CLAシューティングブレーク」の”戦略5車種”が、300万円前後の価格帯に投入されたことで新たな世代のメルセデス・ベンツを牽引したことも大きいという。実際にこの5車種はどのモデルでも約6割以上が新規客となっており、新たなメルセデス・ベンツのユーザーを獲得した。

こうして見てみると、初めて首位となった1990年も、再び首位となった1998年も、そして2015年も、ブランドを改革するような新たなモデルの投入や動きがリンクしていることが分かる。そうした事実から考えると、2015年のNo1は現社長兼CEOの上野金太郎氏が2012年12月に就任して以降のメルセデス・ベンツ日本の取り組みが反映されたものといえる。

上野金太郎社長就任の2012年から変化が始まる

事実、メルセデス・ベンツ日本は2012年から、それまでとは全く異なるイメージを打ち出し始めた。その典型といえるのが2012年11月17日に発表した現行Aクラスのプロモーション。「NEXT A-Class」と呼ばれるキャンペーンを展開し、この時にメルセデス・ベンツとしては世界初となるオリジナル・アニメーション「NEXT A-Class」を日本独自で製作。これが大きな反響を呼んで、後に本国のWebサイトでも紹介された。

メルセデス・ベンツという世界で最も古い自動車メーカーが、日本のアニメとコラボしたことは世に大きなインパクトを与え、ここからメルセデス・ベンツのイメージは変化。若い世代にも振り向いてもらえる可能性を広げた。さらにその後は六本木ミッドタウン前に、「メルセデス・ベンツコネクション」というカフェやレストランを備えたアンテナショップを展開して、メルセデス・ベンツの世界を気軽に体感してもらう場所とした。これも日本独自の発想によるもので、今やメルセデス・ベンツ日本のプロモーション戦略は世界中から注目されている。

その後も様々にユニークなプロモーションを展開。GLAクラスではスーパーマリオブラザーズとコラボレーションしたほか、つい先日にはAクラスのマイナーチェンジで、テクノポップユニット「パフューム」とのコラボレーションも実現している。

また同時にプロダクトが次々に新型となるタイミングが上手く重なった点も大きいだろう。若い世代に向けた戦略5車種が裾野を広げたわけだが、これと同時にフラッグシップモデルのSクラスや、基幹車種Cクラス等がそれまでのメルセデス・ベンツとは異なるイメージの新世代デザインへと一新され、一気にデザイン・トレンドを牽引する立場も務めた。それに加えて、直噴ターボ、クリーンディーゼル、ディーゼル・ハイブリッド、プラグインハイブリッドと、時代に併せて様々なパワーソースを用意した点も功を奏した。さらに安全面ではディストロニック・プラスを素早くほぼ全てのモデルに展開するなどして他社に差をつけた。また最近のトレンドであるSUVを数多くラインナップしており、その数は輸入ブランドの中でも最も多い。そしてハイパフォーマンスモデルを送り出すメルセデスAMGでは、日本が世界4位の市場となっており、高額なモデルが数多く売れている。

こうしてメルセデス・ベンツは今、かつての高級車ブランドから、新世代も注目する総合ブランドへと変化を遂げた。そして現在、メルセデス・ベンツ日本では実に26車種130モデルという、国産自動車メーカーをも超える豊富なラインナップを用意している。

なるほど2015年の輸入車新車登録台数No1にも納得が行くというものだ。

※下の動画は最新のメルセデスAMG C63Sクーペ。来年前半に日本導入予定。