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輸入車コンパクトSUVの本命、BMW新型X1が上陸。

河口まなぶ自動車ジャーナリスト

BMWジャパン株式会社は10月16日、同社のコンパクトSUVである「X1」をフルモデルチェンジして発表した。

ご存知の通り、BMWではこの手のモデルをSUVとは呼ばず、SAV(スポーツ・アクティビティ・ビークル)と呼び、X1の先代モデルは2010年に発売されて以降、世界中で73万台を販売した人気車。今回発表された2台目は、その人気を継承し、さら不動のものにしようとする狙いを存分に感じさせるプロダクトとなっている。

初代X1は、当時のBMW3シリーズのプラットフォームを用いて、そこに独自のボディを架装する構成だった。X1のデザインが特徴的だったのは、背高なSUVというよりは、ワゴンとSUVの中間的な車高を備えていたこと。このため見た目は、少し背の低いSUVという趣だった。

しかし2代目では全長が30mm短縮され、全高が35mm高められたことにより、上級モデルのX3やX5同様に堂々としたSUVスタイルが与えられている。また同時に今回は、メカニズムが3シリーズのものをベースとしたFRおよびその派生4WD系プラットフォームではなく、日本でもすでに販売されて新たなBMWの人気車種となっている2シリーズ・アクティブ/グランドツアラーのものを共用している。このプラットフォームは、BMWグループでは2シリーズ・アクティブ/グランドツアラー他、MINIでも用いられるFFおよびその派生プラットフォームになる。つまりコンパクトモデルは現在、FFプラットフォームへの転換が図られており、X1のその一環として扱われている。この他に、今後登場するコンパクトモデルもこのFF系プラットフォームを使うとされている。

新型X1で特徴的なのは何と言っても今回、1.5Lという小排気量の3気筒ターボエンジンを採用したこと。これは最高出力136ps、最大トルク22.4kgmを発生し6速ATと組み合わせる。また2.0Lの4気筒ターボは、192ps版と231ps版を用意し、8速ATと組み合わせる。駆動方式は1.5LがFF、2.0LがxDriveと呼ばれる4WDを採用している。

また今回はラインナップされていないが、気になるのは本国にあるディーゼル・エンジン搭載モデル。BMWは日本市場で既に上級の3シリーズにディーゼル・エンジン搭載モデルをラインナップしており、これが販売の主流となっている。そうした状況を受けて、X1も時代の流れとニーズに対応する可能性は強い。BMW広報部によれば「導入についてかなり前向きに検討している」とのことだ。

特にSUVの場合、大きく重いボディとなることで通常タイプよりも燃費性能が気になるところだが、この辺りに関しては今回導入した1.5L3気筒ターボエンジンに加え、ディーゼル・エンジンの燃費の良さで財布にも優しく、乗っていても後ろめたさを感じさせないウリとなる。最近のSUV人気は特に、ひと昔前と比べて燃費を心配する必要が軽減された辺りにも要素があると考えると、ディーゼルがラインナップされるのもそう遠くはないだろう。

価格は衝突回避・被害軽減ブレーキのほか、iDriveナビゲーションシステムやLEDヘッドライトなどを標準装備で、385〜591万円とされている。

進化した2代目では、SUVらしいデザインとちょうど良いサイズ、そしてSUVで気になる燃費を1.5Lの3気筒ターボ/2.0Lの4気筒ターボで解消した上で、安全装備を充実させて高い商品性を手に入れており、日本市場でも多くの販売が見込まれる。

また今回は、日本発売キャンペーンとして、G-SHOCKとのコラボレーションを展開。たくましく力強いキャラクターが商品コンセプトであるX1とG-SHOCKに共通することから、発表会場となった六本木ヒルズアリーナで開催されるエクストリームスポーツイベント「REAL TOUGHNESS」に協賛することで、若者層からの支持を狙う。

果たしてこのX1は、輸入車コンパクトSUVの本命、となるだろうか? 今後の販売台数の推移にも注目したい。

BMW X1の情報はこちら(BMWのwebサイト)→http://www.bmw.co.jp/jp/ja/general/news_events/campaign/201510_x1/index.html

自動車ジャーナリスト

1970年5月9日茨城県生まれAB型。日大芸術学部文芸学科卒業後、自動車雑誌アルバイトを経てフリーの自動車ジャーナリストに。日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。YouTubeで独自の動画チャンネル「LOVECARS!TV!」(登録者数50万人)を持つ。

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