スーパーGTドライバー、脇阪寿一が見るル・マン【トヨタ、ル・マンへの挑戦2015 Vol.2】

日本のスーパーGTで活躍するレーシングドライバー・脇阪寿一選手が、今回のル・マン24時間レースを訪れている。氏は今回、トヨタのWEC 2015年 第3戦 ル・マン24時間レース 特設ページ(http://ms.toyota.co.jp/jp/wec/special/2015-24h-lemans.html)内で、『脇阪寿一「11」days of Le Mans 2015』(http://ms.toyota.co.jp/jp/wec/special/juichi-wakisaka-lemans-2015.html)と題して現地からのレポートを行う他、自身のアメブロ(http://ameblo.jp/juichi-wakisaka/)においても頻繁にル・マンの様子を更新している。今回は、そんな脇阪寿一選手に話を伺うことができた。

「今回はル・マン24時間レースを訪れたことのない自分が、実際に現場に来てどう感じるのか? それを伝えるという使命のもとに来ています。」

とはいえ、これまでにも訪れたいという欲求はあったという。

「ル・マンに関しては、自分個人としての夢や願望として行きたいという想いは常にありました。しかし自身のレーシングドライバーというスタンスとして、様々な事情から行くことのかなわない場所でもありました。そうした背景もあって結局これまでは来ない場所でしたが、今回来てみて、この場所の、このレースの偉大さというものを噛み締めています」

話を聞いていると、自身の興味はもちろん、自身の多くのファンに向けてル・マン24時間レースの魅力を発信したいという想いが伝わる。そして何より、日本を代表するレーシングドライバーとして、今後の日本のレース界を牽引していく立場でこそ感じる本場欧州のビッグレースの現状。脇阪選手は、そうした様々な想いを感じているように見えた。

「日本のモータースポーツは欧州にはまだ追いついていない、と言われることもありますが、実際に現場に来るとそれだけじゃない理由があることもわかります。逆に日本の良さがあることにも気付きます。そうして現在の日本のスーパーGTを見つめ直す材料にもなりますね」

また実際に、トヨタのル・マンへの挑戦に関しても、

「とても正しい挑戦だと思います。特にハイブリッドに関しては、何もないところからトヨタがノックしてドアを開けて流れを作ってきた部分もあると思います。最近では昔から良く言われる、“レースで得たノウハウを市販車にフィードバックする”という話が難しくなっていますが、ハイブリッドの場合はそうした余地がまだあります。そう考えると歴史と伝統あるル・マン24時間という過酷な場で、まだまだ開発されていく技術もあると思います。またそうした中から、ハイブリッドを搭載したスポーツカーが生まれることで、子供たちに夢を与える…という流れが生まれても良いですね」

とはいえやはり、自身でも走りたい気持ちは強い。

「ここに来たら、ドライバーとして一度は走りたいと当然思いますね。ニュルブルクリンク24時間レースは自身で走っていますが、ここは違った雰囲気や空気感があって、世界3大レースと言われる所以も分かりましたね」

そうして思い描くのは、日本人として挑戦するル・マン24時間レース、である。

「やはり、日の丸の魂と日本の車と日本人ドライバーで、頂点を目指すべき最高の舞台はここなんじゃないかと思います。他のスポーツでは、例えばテニスで錦織さんが、ゴルフで松山さんが、日本人として世界で戦っている。そうした活躍をみて、多くの日本の方がその競技に興味を持つ、という構図があります。そう考えた時に、モータースポーツではここに最高の舞台があるのだから、ここで日本代表として挑戦できたら、と思います。そうして日本の多くの方に、モータースポーツへの興味を持っていただければと思いますね」

脇阪寿一選手は日本を代表するレーシングドライバーとして、ル・マンに挑戦するトヨタをそんな風に見ていた。そして同時に、トヨタのル・マンへの挑戦を通して、自身が属し今後を牽引していくだろう日本のレース界の将来を、改めて考える良い刺激となっているようだった。

ル・マン24時間は、そんな風に日本を代表するレーシングドライバーをも強く刺激する魅力に溢れたレースでもある。