佐々木15奪三振!甲子園賭けて花巻東と決勝――高校野球・岩手大会

佐々木と大船渡ナイン、完勝

 初回から150キロ台の速球を投げ込んだ。

 一関工の先頭打者・熊谷を三振に打ち取ると、4番・小畑には157キロ。早くも二つ目の三振を奪った。

 その後もスコアブックには「K」の文字が並び続ける。2回に一つ、3回に二つ、4回に二つ、5回に二つ……。結局9回を完投し、毎回の「15K」。打たれたヒットは2本だけ。危なげないピッチングで一関工を完封した。

 バックの守備もこれまでの試合同様、堅かった。もちろんノーエラー。一関工の足を使った攻撃も、キャッチャー・及川が好送球で封じた。

 及川はバッティングでも活躍。1回裏、いきなりライト前ヒットで出塁。4番・佐々木のセカンド内野安打で先制のホームを踏んだ。

 チームとして放ったヒットは6本だったが、この試合ではバントも効果的に使った。四球で出たランナーをバントで進め、着実に得点を加えて3回までに4対0。その後は一関工の左腕・平野投手に抑えられたが、それでも8回、ダメ押しの5点目を奪い、勝利を確実にした。

 一方、敗れた一関工にとっては、序盤、先頭打者にことごとく出塁を許したのが痛かった。中盤以降は平野、金子のリレーで大船渡打線を抑えただけに悔やまれる立ち上がりだった。

 また攻撃では佐々木投手に封じられたが、それでも2回岩淵が放ったライト前、4回金子がセンター前に弾き返したバッティングは見事だった。そして、やはり序盤、積極的に盗塁を狙い、相手にプレッシャーをかけようとした。しかし結果的にはこれが裏目に出た。

 もちろんチームとして狙いをもって仕掛けた攻撃。この一戦に賭ける意気込みは伝わってきた。

甲子園まであと1勝

 大船渡はノーシードながら、ついに決勝戦まで辿り着いた。その原動力が佐々木であることは間違いないが、ここまで5割を超える打率を残している及川、この日もパワーを見せた木下など打撃陣も好調。チャンスに発揮する集中力も持ち合わせている。

 また安定した守備力だけでなく、大和田、和田の投手陣も力がある。特に身長160センチの大和田は制球力があり、ボールのキレも十分。横手から投げるボールは簡単には打たれない。

 そんな実力を備えたチームだからこそ、“狂騒曲”に踊らされることなく、ここまで勝ち上がることができた。

 さて決勝戦。相手は花巻東だ。(この試合の前に行われた)黒沢尻工との準決勝では、中盤まで1対5。苦しい展開だった。それでも終盤10点を奪い返し、逆転勝利。連覇に王手をかけた。

 この大会では、敗退直前まで追い込まれた初戦以降、一度も楽な試合をしていない(もちろんコールド勝ちもない)。しかし、それでもやっぱり勝ち上がってきた。その分のたくましさを感じさせるチームに仕上がってきたという気さえする。

 黒沢尻工戦ではエースの西舘がリリーフで好投。集中打をみせたバッティングも含めて、上り調子でもある。

 もちろん焦点は「佐々木対花巻東打線」ということになるのだろう。

 佐々木に関して言えば「163キロ」が強調されるが、実はコンビネーションもいい。準決勝の7回に奪った3者連続三振はスライダー、フォーク、ストレート(155キロを外角低めにズバッと決めた)。

 高く上げる右足に目がいきがちだが、投球フォームのバランスがよく、リリースポイントがブレることもほとんどない。当然、コントロールも相当いい。

 つまり、スピードボールだけではない佐々木をどう打ち崩すか。それが花巻東が挑むテーマとなる。

 決勝戦は明日13時、県営球場。

 岩手の夏を制して甲子園をつかむのは――。全国の高校野球ファン、注目の一戦となる。

1965年生まれ。早稲田大学中退後、『週刊宝石』(光文社)にて経済を中心に社会、芸能、スポーツなどを取材。1990年以後はスポーツ誌を中心に一般誌、ビジネス誌などで執筆。著書に『冒険者たち』(学研)、『星屑たち』(双葉社)、『日韓ワールドカップの覚書』(講談社)、『東京マラソンの舞台裏』(枻出版)など。

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