八戸学院光星、圧勝で2年連続V!10回目の甲子園へ――高校野球・青森大会

八戸学院光星、2年連続優勝!(著者撮影)

 圧倒的だった――と書いて、去年も同じ書き出しだったと思い出した。2年連続同じ顔合わせとなった青森大会決勝。今年もまた、1年前と同じように八戸学院光星が序盤から弘前学院聖愛を圧倒。2年連続10回目の甲子園出場を決めた。

「光星、ヤバい」

 電光石火の先制攻撃だった。

 初回、先頭打者の武岡が高めのボールを叩いてセンター前ヒット。続く島袋もショートの横を抜いて出塁する、ここで3番・近藤。ややスピードを殺した変化球だった。テイクバックしたところで一瞬止まってタメを作った近藤のバットが一閃したときにはボールはレフトスタンドへ向かって高々と舞い上がっていた。3ランホームラン。さらに、そのどよめきが静まらないうちに4番・原が今度はバックスクリーン右へ。

 まだ1回表、それもノーアウト。なのにホームラン2発、すでに4点。後ろの席の少年が口走るのが聞こえた。

「光星、ヤバい」。

 まさしく。しかもヤバい攻撃はまだ終わりではなかった。

 6番・伊藤から下山、太山と3連打。これで弘前学院聖愛の先発・下山をマウンドから引きずり下ろすと、代わった鎌田からも(澤波の四球をはさんで)武岡がこのイニング2本目のヒットをライト線へ放つ。そして島袋の犠飛でさらに得点を追加。

 ようやく1回表が終わったときにはスコアボードに「8」と表示されていた。まだ決勝戦は始まったばかり。弘前学院聖愛は攻撃さえしていなかった。

 しかし、すでに勝負はついていた。本当にヤバい攻撃だった。

 八戸学院光星は、その後も2回に大江がライトへ特大ホームラン。6回には近藤が2本目のアーチを描くなど豪快なバッティングで、結局、3人の投手から12得点。破壊的な攻撃力で優勝をもぎとった。

 その一方で、細かいプレーも確実にこなした(大量リードの4回、エラーで出たランナーを原がバントで送る場面があった)。また準決勝で「勝因」として挙げた守備はこの決勝戦でもほぼ完ぺき(牽制でのコミュニケーションミスが一つあっただけ)。

 つまり、負ける要素が見当たらない試合だった。

勝ち上がったからこそ

 敗れた弘前学院聖愛。初回がすべてだった。プレイボールで守備につき、ベンチに戻ったときには0対8。そこから反撃するのは難しい。

 4回に2本のヒットを連ね、相手のミスから1点。5回と6回に鎌田の2ラン、櫻庭のソロと2本の本塁打が出て、4点を返したが、追いかける力はもう残っていなかったと思う。走塁ミスもあったが、このゲームに関しては相手が上だったと認めるしかない。

 当然、2年続けて目前で甲子園を逃した悔しさは強いだろう。でも2年続けて目前まで迫った。勝てなかったのは決勝戦だけで、準決勝まではすべて勝ってきた。その事実に胸を張るべきだ。

 それは下山投手も同じだ。2年続けて決勝戦の初回で降板することになった。だが、2年続けて決勝戦の先発を託されたのだ。監督やチームメイトから実力を認められ、信頼されているからに他ならない。もっとも身近にいる仲間から認められ、託される。これほど誇るべきことはない。

 そして何より、勝ち上がったチームだけが味わうことのできる悔しさ――それが母校の、野球部の、個人の、次の挑戦へのエネルギーになる。

青森と東北の悲願への挑戦

 ノーシードながら大本命という立場で臨んだ大会を圧倒的な強さで制した八戸学院光星。当然、甲子園での期待も大きい。

 ちなみに今大会では5試合で60得点。昨年も46得点を奪い、「青森大会を席巻した」と評したが、それを凌駕する数字を記録した。

 かと言ってブルヒッターが並んでいるわけではない。右打者がライト方向に、左打者がレフト方向に強い打球を打つシーンも多かった。全国レベルでも通用する実践的なバッティングに見えた。間違いなく甲子園でも強みになるだろう。

 加えて、2年連続の出場で(センバツも含めて)甲子園経験が豊富というアドバンテージもある。つまり、八戸学院光星にとってこれまで以上にチャンスが大きい大会といえる。

 青森県民の、そして東北の悲願達成へ――。

 甲子園は8月6日に開幕する。

1965年生まれ。早稲田大学中退後、『週刊宝石』(光文社)にて経済を中心に社会、芸能、スポーツなどを取材。1990年以後はスポーツ誌を中心に一般誌、ビジネス誌などで執筆。著書に『冒険者たち』(学研)、『星屑たち』(双葉社)、『日韓ワールドカップの覚書』(講談社)、『東京マラソンの舞台裏』(枻出版)など。

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