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横浜F・マリノス、好発進!――Jリーグ序盤戦

川端康生フリーライター

3試合で11ゴール!

3月2日に開幕した2013年のJリーグも3節が終わり小休止。日本代表のワールドカップ予選があるので、この週末はリーグ戦は行われない(ナビスコカップは開催中!)。

第3節を終えた時点で、すでに全勝チームは横浜F・マリノスとセレッソ大阪のみ。この2チームを、2勝を挙げている浦和レッズとFC東京が追う展開で、今季のJリーグは滑り出した。

とりわけ目を引くのが横浜F・マリノスだ。3戦3勝。加えて得失点差も「+8」と好スタートを切っている。

昨シーズンは出足でつまずいた。

開幕から7戦未勝利(ナビスコカップも含めれば10試合勝てなかった)で、一時は17位と低迷。決して悪いゲームばかりではなかったが(失点は少なかった)、何せゴールが奪えず(得点はもっと少なかった)、白星をつかむことができなかった。

もちろん(チームとしても個人としても)ファンダメンタルズの高いチームだから、徐々に盛り返して、終わってみれば4位。それなりに立派な成績を残しはしたのだが、チームもサポーターも満足できたシーズンではなかったはずだ。

むしろ「最終的には地力を発揮して“帳尻”を合わせたけど……」、そんな印象を残したシーズンだったと思う。

それが今季は開幕から湘南ベルマーレ、清水エスパルス、ジュビロ磐田と撃破。3連勝で首位に立っている。

しかも、4対2、5対0、2対1と、3試合で11ゴール。昨年は(初勝利を挙げるまでの)7試合で4得点しか奪えていなかったのだから雲泥の差だ。

(マルキーニョスはすでに5得点も挙げている。横浜の好調が続けば、鹿島アントラーズ在籍時の2008年以来のタイトルも!)

開幕戦で垣間見えた変化の兆し

とはいえ、開幕戦を見たときには“それほど”には映らなかった。

システムは昨季終盤から採用している「4-2-3-1」。中村俊輔というスペシャルな存在を生かした攻撃は昨シーズン同様。そして、ボールがないところでの動きの少なさもやはり昨シーズン同様。

中村のフリーキックで先制したものの、その後キリノに2ゴールを決められて湘南ベルマーレに逆転されたあたりまでは、だいたい昨シーズン同様のチームだったのだ。

変化の兆しが見えたのは1対2と逆転されてからだ。

まずディフェンスでのチェイスが速く激しくなり、そんな個々の選手の守備意識(というよりボールを奪い返す意識)が、チームとしても機能し始め、さらには攻撃のアクションにもつながるようになった。

ボランチの中町をはじめ、積極的に裏へ出ていく選手が増え、運動量の落ちてきた湘南のスペースを攻略。そしてフィニッシュの局面では、斉藤学、マルキーニョスといった横浜が誇るタレントが個人能力を発揮し、次々とゴールを陥れていった。

「前半は互いの距離感が悪く、ハードワークができなかった。それが後半になって大きく改善した」と試合後にコメントした樋口監督が、「逆転勝ちしたことで、これまでとは違うチームカラーになれるかも」といったニュアンスのことを口にしたが、その後のゲームはまさしくその通り。

続く清水エスパルス戦では大量得点で大勝、第3節のジュビロ磐田戦では後半に勝ち越しゴールを奪って快勝したのである。

<「点を与えない」が「点を取れない」チーム>からの変身

これまでの<「点を与えない」が「点を取れない」チーム>(つまり負けないが、勝ち切れない。昨季も負け数はリーグ最少の「7」だったのに引き分けが「14」もあった)から変身を遂げようとしている横浜F・マリノス。

もちろん、まだシーズンは始まったばかり。このままポール・トゥ・ウィンを決められるほどJリーグは甘くないし、横浜自身の変貌もまだ途上。

それでも、もともと守備が堅く、大崩れしないチーム。しかも3試合を終えた時点で得失点差「+8」……。

スタートダッシュに成功した横浜は、追撃するチームにとって手強い存在である。

フリーライター

1965年生まれ。早稲田大学中退後、『週刊宝石』にて経済を中心に社会、芸能、スポーツなどを取材。1990年以後はスポーツ誌を中心に一般誌、ビジネス誌などで執筆。著書に『冒険者たち』(学研)、『星屑たち』(双葉社)、『日韓ワールドカップの覚書』(講談社)、『東京マラソンの舞台裏』(枻出版)など。

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