Yahoo!ニュース

戦略的ローテーションでメンバー入れ替えへ。リオ五輪代表、タイとの第2戦キーマンはオナイウ阿道

川端暁彦サッカーライター/編集者
空中戦に強いオナイウ阿道は、タイ戦の切り札として期待される(写真:六川則夫)

初戦からメンバー入れ替えか

指揮官は第2戦に向けてアタッカー陣の入れ替えを示唆した
指揮官は第2戦に向けてアタッカー陣の入れ替えを示唆した

13日、北朝鮮との初戦で1-0と辛くも勝利を収めたU-23日本代表は、中2日でタイとの第2戦に臨む。手倉森誠監督は「ちょっと替わります」と先発メンバーの変更を明言。特に北朝鮮戦で思うような結果を残せなかった攻撃陣について、「ほかのアタッカーにチャンスを与えたい」と入れ替えを示唆した。

もっとも、第1戦の不出来を理由にしたメンバー刷新、あるいはタイ対策としての人員配置というより、「コンディション」(同監督)がメンバーを入れ替える最大の理由のようだ。「このチームは過去の大会(2012年・14年のAFC・U-19選手権、2014年のAFC・U-22選手権とアジア競技大会)で、いずれも決勝トーナメントの一発目(準々決勝)で負けている」と語る指揮官は、「(準々決勝で)余力を残した万全の状態にしておきたい」と、選手を戦略的にローテーションしていく重要性を強調した。

手倉森監督は特にFW陣について「(北朝鮮戦で)間延びした分、前線の選手が普通の試合より1.5倍くらい走っている」状態だったと分析。消耗したストライカーを休ませつつ、温存を図りたい考えを示した。準々決勝で「誰が出てくるか分からないチームになる」という相手のスカウティングをかわすメリットもあるとした。

ある種のリスクを伴う決断ではあるものの、入れ替えなしのまま消耗していって準々決勝以降を戦うほうがより大きなリスクだというジャッジなのだろう。これも北朝鮮戦で勝ち点3を確保していたからこそできる決断でもある。

ポイントは“高さ”

入れ替わった結果としての注目のスタメンは、前日練習が肝心な部分で非公開だったこともあって不透明。ただ、FW陣を入れ替えるとなると、自然と浮上してくるのがジェフ千葉のオナイウ阿道(あど)。身長180cmと特別に大きな選手ではないが、抜群の跳躍力と安定した空中姿勢を生かしたヘディングの強さに定評のあるストライカーで、正智深谷高校時代は「エアマスター」とも称された選手である。タイが全体に高さを欠くチームであることを思えば、はまり役であることは間違いない。

「高さ勝負で優位に立てるのでは?」というこちらの問いに、「それは僕もそう思っています」と力強く応えたオナイウは、「練習ゲームから良い形で動けているし、出たい気持ちはある」と意欲を語った。確かに14日の練習では、ミニゲームで2得点を挙げるなど状態は良さそうに見える。先発の可能性は十分にありそうだし、仮にベンチスタートであっても、どこかで出番はありそうだ。

高さという意味では当然セットプレーも大きなポイントになる。北朝鮮戦では用意していたパターンの内、「二つまでしか見せるな」との指示が出ており、まだバリエーションを残している模様でもあり、「何か」が見られるかもしれない。もっとも、トリックなしの高さでの真っ向勝負でも十分にやれそうではあるのだが。

タイはドリブラーぞろいの好チーム

タイはFCバルセロナにインスパイアされたような[4-3-3]の配置でボールを動かし、ワイドの選手がドリブルで仕掛けてくるスタイル。技術の高い選手がそろっており、手倉森監督は「特にカウンターはストロング」と警戒を深める。サイドバックの個での対応力が問われる場面が自然と増えそうで、その攻防が勝敗のポイントとなりそうだ。

チーム関係者は北朝鮮よりもチーム力としてタイが一枚上と見ているようで、個人的にも同感なのだが、一方で「北朝鮮と違って蹴り合いにはならないと思うので、自分たちのサッカーは出しやすい」(DF室屋成)という一面があるのも確かだろう。しっかりパスをつないで「地上戦で勝負してくる」(室屋)スタイルのチームだけに、無秩序にロングボールを蹴り込み続けてきた北朝鮮相手よりも相性的にはやりやすいのではないか。

スピーディなドリブラーをしっかり組織で封じつつ、じっくりボールを動かして自分たちで主導権を握り、その上で高さのアドバンテージを生かしてクロスボールやセットプレーで決め切る。何とも読めなかった北朝鮮戦とは異なり、勝利へのシナリオは確かに見えている。あとは抜擢される選手を含め、個々が最後までやり切るだけ。「緊張した」なんて言い訳が許されるのは、初戦だけである。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

川端暁彦の最近の記事