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2016リオ五輪へ、U-21日本代表が強化合宿を開始。「俺はメダルを取る覚悟がある」(手倉森監督)

川端暁彦サッカーライター/編集者
大阪府内での合宿をスタートさせたU-21日本代表(リオ五輪代表)

“4年後”を狙う25名

6月9日、リオ五輪を目指すU-21日本代表(手倉森誠監督)が大阪府内での強化合宿をスタートさせた。集まったのはDF岩波拓也(神戸)、植田直通(鹿島)、MF大島僚太(川崎F)ら既にJ1クラブで実力を示しているクラスの選手を含めた25名。手倉森誠監督が「山口蛍のようにロンドン五輪からブラジルW杯へ行った選手がいる。4年後のW杯を意識してもらいたい」と語ったように、次代の日本代表を担うべき選手たちが集う合宿である。

軽めのウォームアップメニューを手始めに練習に臨んだU-21代表。8日のJ3・FC琉球戦に出場していたJリーグU-22選抜の選手たちは別メニューとなる中、岡田ジャパンの成功以降、もはや年代別代表の練習における日常風景ともなった体幹トレーニングも行っていた。

軽めの体幹トレーニング。左から鈴木武蔵(新潟)、秋野央樹(柏)、中島翔哉(富山)
軽めの体幹トレーニング。左から鈴木武蔵(新潟)、秋野央樹(柏)、中島翔哉(富山)

片腕立ちなど、難しい姿勢で一定時間「静止」するトレーニング。いわゆる「プルプル系」の練習であるが、鈴木武蔵(新潟)のようにピシッと決まる筋力を持つ選手もいて、能力の差を感じさせた。

軽快なボール回しを見せるMF矢島慎也(浦和)
軽快なボール回しを見せるMF矢島慎也(浦和)

この日の練習はパスワーク中心。「出したら動く」という基本的な意識付けに加えて、ビルドアップで縦に付けること、それを追い越していくことを意識付けるようなトレーニングが印象的だった。

横にボールを動かす意識を養いすぎて縦に入らなくなるというのはよくある話なので、その狙いは分かりやすい。

浮き球を使ってボールをさばく神戸FW松村亮と奪いに行くDF山中亮輔(千葉)
浮き球を使ってボールをさばく神戸FW松村亮と奪いに行くDF山中亮輔(千葉)

エリアを狭く区切っての、いわゆる「鳥かご」。エリアの中は5対5だが、フリーのレシーバーを区切ったエリアの外に置き、「外にいるフリーの選手を使うことで相手の守備を広げながら、ボールを保持する」意識を作る。手倉森監督からも「広がりを使え。厚みを作れ」との指示が飛ぶ。

ミニゲームでの一コマ。MF田鍋陵太(名古屋)にMF秋野央樹(柏)が襲いかかる
ミニゲームでの一コマ。MF田鍋陵太(名古屋)にMF秋野央樹(柏)が襲いかかる

最後はピッチの縦幅をハーフサイズ、横幅をペナルティーエリアのライン上に区切って、7対7(GK含む)でのミニゲーム(オフサイドあり)をこなし、この日の練習を締めた。

真剣な表情で練習を見守る手倉森監督
真剣な表情で練習を見守る手倉森監督

この合宿開始に当たって手倉森監督は選手たちに向かって「関塚ジャパンが金メダルを取ったアジア大会(今秋開催)は金以外では誰も認めてくれないだろう。4位になった五輪では、メダルを取らないと誰も受け入れてくれないだろう。俺はそれらを取りに行く覚悟がある。お前らはどうなんだ?」と問い掛けたという。まだまだスタートを切ったばかりの手倉森ジャパンだが、チームとしての目標地点は早くも明確化されたようだ。

サッカーライター/編集者

1979年8月7日生まれ。大分県中津市出身。2002年から育成年代を中心とした取材活動を始め、2004年10月に創刊したサッカー専門新聞『エル・ゴラッソ』の創刊事業に参画。2010年からは3年にわたって編集長を務めた。2013年8月をもって野に下り、フリーランスとしての活動を再開。古巣の『エル・ゴラッソ』を始め、『スポーツナビ』『サッカーキング』『サッカークリニック』『Footballista』『サッカー批評』『サッカーマガジン』『ゲキサカ』など各種媒体にライターとして寄稿するほか、フリーの編集者としての活動も行っている。著書『2050年W杯日本代表優勝プラン』(ソルメディア)ほか。

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