豊洲市場 年80億円の赤字に加え、長期修繕費は建物だけで65年間で1200億円

建設当時の豊洲市場(2016年9月)(写真:ロイター/アフロ)

東京都の豊洲市場(江東区)が開場した場合、市場会計全体の赤字が単年度で140億円程度になることや、建物の修繕費が65年間で1200億円程度に上ることが、市場問題プロジェクトチーム(市場PT)関係者の話で明らかになった。25日夜に開かれる市場PTの会議で、東京都が報告する。豊洲市場や築地市場に限らず、市場の継続性をめぐる本格的な議論を呼びそうだ。

■豊洲市場だけで毎年80億円の赤字

公営企業である東京中央卸売市場は、会計を11市場全体で一括管理しており、ひとつの市場の収支だけを抽出して議論することが難しい。豊洲市場の開場によって市場全体の赤字額が膨らむ恐れなど、現状の市場会計の方式のままでは各市場が持つ課題を見つけにくくなる恐れがある。

市場PT関係者によると、豊洲市場に移転した場合、市場会計全体では単年度で140億円程度の赤字となる。そのうち豊洲市場分だけでみると80億円程度の赤字が出ると報告されるという。

詳細な数字は不明だが、豊洲市場の建物の減価償却を含めた経費の概算が、毎年170億円程度に上るのに対して事業者からの利用料による収益は70億円程度にとどまるため、単純計算でも100億円のマイナスとなる。

なお、2752億円かけた建物建築費の減価償却は38年で設定(年間72億円あまり)されている。

■築地市場は2015年度は黒字 都は跡地を4386億円で計算

赤字補填の手立てとして、都側は築地市場の跡地処分(4386億円)と年20億円程度の一般会計からの補助金を活用し、他の市場への影響を極力小さくする提案を行う。市場PT側としても、この程度の一般会計からの補填なら、現状と大きく変わらず、影響は小さいと見る。

一方、市場PT側は、小池百合子都知事が17日付の毎日新聞の記事で、豊洲市場開設に掛けてきた費用が「サンクコスト(=回収不能な費用)にならないためには、客観的、現実的に考えていくべきだ」と話したことを踏まえ、赤字体質の改善策として指定管理者制度やコンセッション方式の導入も念頭に置いている。さらに、豊洲への移転を前提に考えた市場全体の持続可能性には、築地市場の全事業者が豊洲に移転できる状態であることが必須だと考えているという。

25日の会議では、市場PTが昨年9月から都側に要求してきた各市場ごとの収支も初めて明らかにされる。その報告によると、築地市場は2015(平成27)年度は、7億円から8億円の黒字だった。

■修繕費は、建物だけでも65年間で約1200億円

市場PTがこれまで公表したところによると、都は、設計を担当した日建設計に対し、豊洲市場の建物のライフサイクルコスト(建設から解体までの総経費)を出すよう求めてこなかったため、将来にわたる豊洲市場の維持コストがどの程度掛かるか不明なままだった。

25日夜の会議では、建物と機械、電気などに分けて都側が簡易計算した狭義の意味のライフサイクルコストが公表される。

前出の市場PTの関係者によると、長期修繕費だけ試算では、建物だけで65年間で、約1200億円(年19億から20億円)が計上されているという(建築物のライフサイクルコストに基づく延床面積から出した試算)。すでに明らかになっている開場した場合の年76億円あまりの維持管理経費に、毎年約20億円から26億円が65年間加わる計算になる。

今回発表される数値は、建設から解体までの全てのコストを含めるという本来の意味のライフサイクスコストの算出方法とは異なるため、総額が小さく見積もられている可能性が高い。

いずれにしても、戦後から「どんぶり勘定」が続いてきた中央卸売市場の会計や運営方針に大きなメスが入ることは間違いなさそうだ。