織田記念100mVのケンブリッジ飛鳥、昨年との違いは「トップスピードでの余力」

桐生祥秀(東洋大2年)に注目の集まった4月19日の織田記念100m。決勝のレースを制したのはケンブリッジ飛鳥(日大4年)だった。

「60mを過ぎてからこれはいけるなと思いました」

中盤から一気に加速。得意の後半で追い上げを見せ、トップでフィニッシュに飛び込んだ。低温降雨というコンディションゆえに10秒37(-0.2m)とタイムは伸びなかったが、その走りは明らかに昨年までと変わっていた。

「昨年はケガが多かったのでケガをしないための体づくり、そしてトップスピードを上げる目的でこの冬からウェイトトレーニングを本格的に取り入れました。それがこのレースではいい感じで出せたんじゃないかと思います」

ケンブリッジは100mよりも200mを得意とし、リラックスしたしなやかな走りが持ち味。だが昨年2月にジャマイカに渡り、U・ボルトも所属するレーサーズトラッククラブで練習をした際、そこにいた選手たちとの体格の差を痛感したという。昨年、春に話を聞いた際には「自分はほかの選手と比べて前半の動きが大きいほうだと思いますが、その動きに力がついてきていない気がするんです。筋力がついたらもっとよくなるはず」と、走り自体もパワーアップさせたい考えを口にしていた。

ウェイトトレーニングはジャマイカから帰ってから取り入れ、短い期間ながらも成果に手応えを得ていた。昨年は3月にアメリカ遠征で10秒27(+1.4m)、そして5月の関東インカレでは10秒21(+1.6m)と立て続けに自己ベストを更新。だがその関東インカレの4×100mリレーの決勝で左足ハムストリングを痛め、以後はその故障を引きずり不本意なシーズンとなってしまった。

そしてこのオフに本格的にウェイトトレーニングを開始。専門のジムで指導を受けながら臀部を中心に鍛えたというが、上半身も明らかに大きくなったように感じる。体重も5kgほど増えたという。

織田記念では予選も10秒33(+0.5m)で全体トップ。動きのしなやかさが維持されながら力感が増した走りだった。そして決勝でも桐生や塚原直貴(富士通)と競り合いながらも硬さを見せることなく、優勝を果たす。

「昨年との一番の違いはトップスピードに入った時に余力があり、安定した状態で走れるようになったこと。トップスピード自体も上がっていると思います」

本人はレース後にそう手応えを口にした。

過去の実績を振り返れば、2013年の東アジア大会200mで優勝しているが、中学、高校、大学と全国大会で個人のタイトルを手にしていない。「今回勝てて、日本選手権の優勝も見えてきたかな」と明るい表情を見せる。またタイムの更新にも意欲をのぞかせ、「100mでは10秒1台は問題なく出せると思う。200mではまず2年前の自己ベスト(20秒62)の更新。そして20秒2台をコンスタントに出せたら」と目標を話した。

この日の決勝もトップスピードに到達するのが少し遅かったという。その課題が修正されれば、どこまでタイムを伸ばすことになるか。昨年は故障に苦しんだ大器が今年は飛躍しそうだ。