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お散歩アウトドアのすすめ 強いストレスに曝された生活を取り戻す小さな試み。

加藤智二日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン
冷たい雨に散る桜、池の鯉もどこか寂しげ ※写真はすべて筆者が撮影

 新型コロナウイルス関連の記事は多くの方が見聞きし、食料品・医薬品の買い出し以外の外出抑制など「三密を避ける」ことは徹底されつつあります。

 そういった対策の中で急にクローズアップされてきたと感じるのが、汚染された?手で自分の顔を触ることで感染するリスクです。金属やプラスチック表面ではウイルスの活性が長時間残るからといわれています。

 この様に日々アップデートされる情報に接しながら、目に見えない敵と静かに戦う中で溜まっていくストレスを軽減するためにおすすめの「お散歩アウトドア」をご紹介します。

 電車バスに乗らなくて徒歩圏内のお散歩やお庭の手入れで身近な小さな自然、木々や草花の香りを意識してみましょう。いつもよりゆっくり歩くのがコツです。

 

忙しい日常で見逃していたご近所さんのお花たち
忙しい日常で見逃していたご近所さんのお花たち

 小雨降る日でも、あたたかな陽射しが降りそそぐ日でも、自宅を出てご近所散歩をするとたくさんの気づきがあります。お花好きのご近所さんとお話が盛り上がることは時節柄ないでしょう。しかし会釈と笑顔が必ずちょっとささくれかけた心を穏やかにしてくれること間違いなしです。

 

ハーブとしてよく育てられているシソ科のローズマリー
ハーブとしてよく育てられているシソ科のローズマリー

 足を延ばして森林浴は難しくても、植栽からはみ出しているハーブと友達になるのも良いですね。ローズマリーの葉っぱをサッと撫でるだけで爽やかな香りが湧きたちます。「変わらぬ愛」「追悼」「誠実」という花言葉だそうです。ハーブとしては若返り効果や肌の弛みやむくみを抑える収れん作用があるそうです。

 これを機会に自宅に鉢植えやプランターに様々なハーブ栽培に挑戦するのも良いと思います。

 

石垣のすき間にたくましく生えるカキドオシ
石垣のすき間にたくましく生えるカキドオシ

 シソ科の多年草で良い香りがします。乾燥させて健康茶として利用されているようです。

 うっかり「雑草」と一括りしてしまうのですが、有名なエピソードがあります。

 かつて生物学者としての御顔を持っていらっしゃった昭和天皇が「雑草という草はありません。どんな植物でもみな名前があって、それぞれ自分の好きな場所で生を営んでいる。人間の一方的な考え方で、これを雑草として決め付けてしまうのはいけない。注意するように。」と言われたそうです。

 

キク科 ペラペラヨメナ? 外来帰化植物と思われます。
キク科 ペラペラヨメナ? 外来帰化植物と思われます。

 玄関先の石のすき間で花を咲かせるスキマ植物の中には外国から入り込んだ植物も多くみられます。もしかしたらお庭から逃げ出したかもしれませんね。こういった経緯を自分なりに調べてみて、日本の自然や環境について考えてみるのも良いことだと思います。

 お子さんがいらっしゃるご家庭であれば、押し花用の古雑誌、小さなチャック付プラスチック袋、デジカメなどで自由研究も良いと思います。家族の絆を強くする切っ掛けになるかもしれません。

 でも、お父さんが強引に引き込むというより、花や緑を見ながら何気ない会話からスタートしましょう。

 

あなたのご近所にあるかもしれない地域の守り神 神社
あなたのご近所にあるかもしれない地域の守り神 神社

 

 宅地が押し寄せて窮屈そうですが、地域を見守る神社がありました。皆さんの地域にはどんな神社がありますか?

 お稲荷さんは元々、農業の神様ですが、現在は商工業を含め産業全体の神様として信仰されているので、商店街や工業地帯であっても祀られている可能性が大いにあります。そして自然災害時の避難場所であったりすることもあります。家族全員でぶらぶらと人ごみ避けて探してみてはいかがでしょうか。合わせて避難場所までの経路を家族で共有するようにしておきましょう。

 最後に小さな神社から大きな神社まで、日本に身近な神社の手水舎の話題をひとつ。

 古墳時代の第10代崇神天皇の時代、渡来外国人の急増による治安の乱れや疫病が蔓延し人口が急減したといわれています。この時「手水舎」を普及させ、不浄を漱ぎ清める作法を世に広めたといわれています。現在も形式化されたとはいえ、家庭における「手は洗った?うがいをすませた?」といった習慣に繋がっていると考えると感慨深いものがあります。

手水舎 湧きでる清らかな清水を上手に利用する知恵が詰まっています。
手水舎 湧きでる清らかな清水を上手に利用する知恵が詰まっています。

 私が教えていただいた作法です。細かな作法は他にもあるかと思います。

 目的は清浄な場所に入る前に、手を洗う、口をゆすぐ、道具を汚さない、次の人が気持ちよく使えるように元通りにするといった点が合理的な為に定着したのだと思います。

 現代版の疫病対策としては十分ではないですが、そこに込められた心が日本に残っていると信じています。

 1:右手で柄杓(ひしゃく)を取り、手水をすくう。

 2:最初に左手を清める。

 3:次に柄を左手に持ち替え、右手を清める。

 4:もう一度右手に柄を持ち替え、左の手のひらに手水を溜め音を立てずに口をゆすいで清め、そっと吐き出す。

 5:柄杓の椀に直接口をつけないてはいけません。

 6:左手をもう一度清める。

 7:最後は柄杓の柄を片手で持ち、椀部が上になるよう傾け、柄に手水をしたたらせて洗い流します。。

 8:柄杓を元の位置に静かに戻す。

天からの慈雨が禍の洗い流してくれますように。
天からの慈雨が禍の洗い流してくれますように。

 再び、子供たちの元気な通学風景がやってくることを願っています。その為にできることをしていきましょう。

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日本山岳ガイド協会認定山岳ガイド・カメラマン

ネパール・パキスタン・中国の8000m級ヒマラヤ登山を経験。40年間の登山活動で得た登山技術、自然環境知識を基に山岳ガイドとして活動中。ガイド協会発行「講座登山基礎」、幻冬舎「日本百低山 日本山岳ガイド編」の共同執筆。阪急交通社「たびコト塾(山と自然を学ぶ)」、野村證券「誰でもできる健康山歩き」セミナー講師。山岳・山歩きに関するテレビ番組への出演・取材協力。頂上を目指さない脳活ハイキングの実践。登山防災協議会会員、一般社団法人日本山岳レスキュー協会社員、公益社団法人日本山岳ガイド協会安全対策委員会委員長、山岳ガイドステージⅡ。

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